Like a fairy tale 68





イザークがクルーゼに確認に行ってから十数分後。

クルーゼと共にイザークが戻ってきた。

は敬礼をする。

、あのスパイは!?」

イザークに聞かれ、

「スパイじゃないって本人が言ってるでしょう?中よ」

と応える。

イザークはまたしても怒りそうになったが

「イザークから聞いたよ。彼女が出て来てしまったようだね」

とクルーゼが言う。

「ええ。何でも『怖くて』出てきたそうです」

の言葉にクルーゼはふむと言いながら顎に手を当てる。

そして、部屋のドアを開けた。

の声を確認するためにフレイはドア付近に居たようで、突然帰ってきたクルーゼに驚いて部屋の隅に移動した。

クルーゼに続いて入ったイザークを見て怯え、が入ってきたら彼女を盾にしてその後ろに隠れる。

は困惑したように自分の背中に隠れるフレイを見た。

「どうやら、彼女はには気を許しているようだな」

呟くクルーゼ。

は、まさか...と思ったが

「では、。カーペンタリアに着くまで彼女の面倒を見てくれ」

といわれ、心の中で思った『まさか』が現実となる。

「隊長!コイツは地球軍ではないのですか!?」

イザークが訴えると

「それは違うぞ、イザーク」

と応える。

「彼女は軍人ではない。確かに、ナチュラルだろうがな」

は困った表情を浮かべてイザークを見る。助けを求めてみた。

それを目にしたイザークはふん、と鼻を鳴らして「自業自得だ」と一言言った。

はフレイを振り返る。

とにかく、着ているものをどうにかしないと連れ歩けるはずがない。

「ちょっと待っててくれる?」

そう言ってが部屋を出ようとしたらベルトを掴まれた。

「ど、どこ行くの?」

怯えながらフレイが言う。

「ザフトの制服。事務官に予備がないか聞いてみるの。あなたはこの部屋に居たくないでしょう?けど、その格好のまま連れて歩くのはちょっと難しい。だから、外見だけでも皆と一緒にしないと」

のいうコトは分かる。

だが、そうなると、この部屋に残るのは仮面をつけている何を考えているか分からないクルーゼと、さっきから怒鳴りっぱなしのイザークだ。

ひとりで部屋に居るとき以上に怖い。

フレイはフルフルと首を振った。

は「困ったなぁ」と呟く。

「あのね、当然だけど隊長にこんなことは頼めないし。イザークに頼んだとして、イザークが事務官に女性用の制服のあまりがないかって聞いたらイザークがそっちの趣味だと思われかねないのね?」

「どんな趣味だ!」

イザークが突っ込むが気にしないは続ける。

「だから、流石にそんなことが噂になったらこんな怒鳴りっぱなしのイザークでも気の毒でしょう?私も嫌だしね。だから、事務官に聞いてくる。たぶんあるはずだから、それを持って戻ってくるから」

待ってて、とが言った。

「まあ、そんなに私が怖がられているというのなら、また部屋を留守にしよう。イザークも気になるならと共に行動すればいい。制服を持ってきたらここで着替えて部屋を出ると良いだろう?」

クルーゼがそう言う。

「でも、コイツの部屋は?!」

イザークが問うとクルーゼの目線はまっすぐに向かう。

「あ、同室ですか?」

「ああ、ベッドは余っているだろう?」

クルーゼの言葉には頷く。

「ちょっと待ってください、隊長!がナチュラルなんかと一緒に...」

「では、そういうことで」

イザークの反論に聞く耳を持たず、クルーゼは部屋を出て行った。


「ったく。何を考えていらっしゃるんだ、クルーゼ隊長は!」

イザークが不満タラタラでと共に事務官を探して歩く。

「まあ、あの子。フレイ・アルスターっていうんだけど。隊長が連れて帰った子よ」

が言う。

「アルスター?どこかで聞いた名前だな」

イザークは記憶のどこかに引っ掛かっているその名前を呟いた。

「前の大西洋連邦事務次官が、ジョージ・アルスター。クルーゼ隊が落とした艦にいたでしょ?」

「ああ。あのラクス嬢を人質にした」

イザークは思い出した。

「じゃあ、やはり軍人じゃないのか?」

「隊長は違うって仰ったじゃない。それに、親が軍人でも子供がそうだとは限らないでしょう?」

イザークは納得いかないといった風に鼻を鳴らす。

「で?隊長が連れて帰ったってどういうことだ?」

先ほどの言った言葉を思い出して聞く。

「うーん。私の記憶違いかもしれないけど。ほら、アラスカで補給に戻ったときがあるでしょう?」

イザークは頷く。

「あのとき、隊長機の中から女の子の声がかすかに聞こえたの。私もノルンに乗る前だったからすぐ傍で聞いたわけじゃないけど。だから、ね。あの時隊長はジョシュアから戻ってこられたでしょう?」

「しかし、何故?」

「捕虜の扱いじゃないとは思うけど。まあ、私たちが詮索するのは良くないと思うな」

「知らない方が良いこと、というヤツか?」

挑発するようにイザークが言う。はニコリと微笑んで頷いた。

丁度前方に知った事務官を見つける。

は彼女を呼び止めて制服の予備を貰うことができた。

「イザーク、ずっとついて来るつもり?」

が言う。

「ああ、今のところそのつもりだ」

「着替えは、覗いちゃだめよ?」

の言葉にイザークが怒鳴ったのは言うまでもない。









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桜風
08.5.19


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