Like a fairy tale 69





借りた制服を持って隊長室に向かう。

ブザーを鳴らして「です」と名乗るとドアが開いた。

「はい、これに着替えて。で、着替え終わったら出てきてね」

そう言っても廊下に出た。

暫くしてフレイが出てくる。

「じゃあ、部屋まで案内するわ」

「本気だったのか!?」

イザークが驚いて声を上げる。

「本気って...多分他に空いている部屋は無いわよ。一度カーペンタリアに戻ったら色々と整理するから空き部屋が出てくるでしょうけど。取り敢えず、それまでって所でしょう?」

はそう言ってフレイを促して自室まで一緒に行く。

その道すがら、食堂とレストルームだけは案内しておいた。


「おい、。考え直したらどうだ?」

は深い溜息を吐く。

「あのさ、部屋について来てまで言うこと?隊長がそう仰ったんだから、まあ、命令でしょう?」

「俺から隊長には話してみるから」

「さっきさらりと却下されてたじゃない。イザークは彼女を何処になら良いというの?隊長室もダメ。私の部屋もダメ。...イザーク、まさか、フレイと同室がよかったの?」

が聞くと

「そんなわけあるか!」

とやはり怒鳴る。

慣れていないフレイは肩をビクンと竦めた。そして、静々との背中に隠れる。

「じゃあ..本当は私と一緒の部屋になりたかったけどなれなくて、当たり前に同室になっちゃったフレイが羨ましいとか...」

「そうは言ってないだろうが!」

また怒鳴る。

「イザークってさ。おなか空かない?」

突然のの言葉にどうリアクションしていいのか分からないイザークは眉を顰める。

「怒鳴り過ぎってこと。イザーク、覚えてないの?バトルロイヤルでもトップよ、私は。心配してくれてありがとう」

が言うとイザークはグッと詰まってふん、とそっぽを向く。

取り敢えず室内の説明をする。

説明と言ってもそんな大したものはない。

「水の使用はなるべく制限してね」

の言葉にフレイはコクリと頷いた。

「さて、丁度良いから。食堂行きましょう。フレイはいつもどうやってご飯食べてたの?」

「あの人が、もって来てくれてたの」

隊長自ら、ということか...

とイザークはフレイを見た。

その視線にまたしても怯える。

「ああ、ごめん。行きましょう。ほら、イザーク出て出て」

イザークを促して部屋を後にした。



食堂でトレイを持ってなるべく隅に座る。フレイが怯えるし、見知らぬ人物を見れば皆物珍しがるだろうから。

「食べ物は、多分大丈夫でしょう?美味しいわよ、意外と」

そう言ってはフォークを口に運ぶ。

イザークも不機嫌に手を動かしていた。

フレイは、おずおずとフォークを口に運ぶ。

どうやら周囲が気になっているようだ。

「おう、!」

メカニックが声を掛けてくる。

「今日はまだドックに顔出してねぇだろ?ノルンが寂しがってるぜ」

がドックに来なかったのが珍しくて気になっていたようだ。

確かに、いつもやたらと、下手したらメカニックよりも長時間ドックに居てノルンの調整に時間を費やしている。

戦闘後は特にその時間が長い。

「やー、まあ。うん。あとで行くよ」

がしどろもどろに応えた。

「ん?その隣のは?見ない顔だな」

フレイの顔を覗きこみながらメカニックが言う。

がフォローをしようと口を開いたとき

「今回の作戦からこの艦に居たようだ。日も浅いから記憶に残っていないんじゃないか?」

と黙々と食事を続けていたイザークが言う。

フレイは勿論、も驚いてイザークを見る。

「ああ、そうか。ま、今回は急な配置換えが山とあったしな。なるほど、よろしくな、お嬢ちゃん」

メカニックはすんなり納得して去っていった。

「イザーク?」

変なものでも食べたの?と言いたいのをグッと堪える。だって、イザークが口にしているものは今自分が食べているものと同じだから。

「そいつは、と一緒に行動するようになるんだろう?」

「まあ。慣れるまでは、たぶん...」

「なら、お前が変なの連れて歩いてるなんてなったら、いい迷惑だ」

イザークの言葉に納得した。

「ああ、そっか。ごめんね、イザークも変な目で見られちゃうよね」

が言うと

「違う!貴様だけの話だ。俺は別に何を言われても気にならん。第一、のことだから、隊長から面倒を見るように頼まれたとか面倒くさくて説明しないだろう。誤解されるだけだぞ、それだと」

とイザークが否定した。

つまり、が変な目で見られないように、と気になって口を出してしまったらしい。

さすが婚約者。性格をよく把握してくれている。

「つまり、私のことが心配だったのね?ありがとう」

が言うとイザークは勢いよく立ち上がる。

「イザーク、人参残してるよ」

が指摘するとそれをフォークで刺してのトレイに放る。

イザークは何も言わずにそのままトレイを返却場所に置いて食堂を後にした。

「あの...」

「照れてるの。怒鳴ってばかりだけど悪い人じゃないってのは、これで分かってくれたかしら?」

の言葉にフレイは小さく笑って頷いた。









NEXT


桜風
08.5.23


ブラウザを閉じてお戻りください