Like a fairy tale 73





オーブの最後を見届けてカーペンタリアに帰投した。

プラントでは、現在情勢が混乱しているようだ。

あのラクス・クラインが反逆者となり、人々を惑わせているという。

それを否定するザラ議長の演説を見ていたが、クルーゼが電源を消す。

よもや帰国命令はラクス・クラインの事ではないかとクルーゼは言う。

クルーゼの独り言のような言葉にイザークが「信じられない」と意見を言う。あの、ラクス・クラインが反逆者だと信じがたい、と。

他の隊員も同じようで表情が暗い。

「さまざまな人間の思惑が絡み合うのが戦争だ。何と戦わねばならぬのか、見誤るなよ」

クルーゼはそう言ってレストルームを後にした。


荷物を纏めて帰国準備をすませる。

「あれ、フレイはどうするんだろう?」

はそう考えたが、これ以上フレイを気にしたらイザークが煩いだろう、と思い余計なお世話を焼くのは辞めた。

なにより、クルーゼが連れてきたのだから、彼が面倒を見る気だろうし。

部屋のブザーが鳴り、

、そろそろだ」

と声を掛けられた。

ドアを開けると小さな鞄を持ったイザークが立っている。

「久しぶりだね、プラント」

が少しだけ嬉しそうに言う。

「まあ、な。ああ、母上がと食事をしたいと言って来ている」

イザークの言葉には思わず足を止めた。

「何ですって!?」

「評議会の方も忙しいらしいが、絶対に時間を確保するから。お前を連れて来いってさ」

は天井を仰ぐ。

「どうした?」

「服装、何か仰ってなかった?」

が聞くと

「いや、特には聞いていないが。どうした?」

「エザリア様から沢山の贈り物、主にドレスだったけど、を頂いているの。どれをご要望なさるのかしら...」

遠い目をしていうにイザークはきょとんとしてやがて噴出す。

「好きなのにすれば良いだろう?」

「ドレス自体に苦手意識があるんだけど?」

の言葉に「それは、災難だな」と言ってイザークはクスクス笑っていた。


シャトルに乗り込んだ。

は荷物をラックに仕舞いこんでいる。

「イザークのも貸して」

が声を掛けたのでイザークはの足元に自分の鞄を置いた。

「本国は久しぶりだろう、イザーク。家族に顔を見せて安心させてあげたまえ」

「は!ありがとうございます」

「それとも、と共にどこかに行く予定なのかな?2、3日の休暇は出ると思うぞ」

イザークは驚いてを振り返る。

ラックを閉まったが丁度振り返った。

「何?」と聞いてくる。

イザークは「何でもない」と返して、目の前で立ち止まったままのフレイに向かって「早く座れよ」と冷たく言う。

はその声に肩を竦めた。

フレイは慌ててクルーゼの隣の席へ行き、おずおずと座る。

ふん、と鼻を鳴らしてイザークはの隣に腰を下ろした。

「女の子に冷たく当たったらダメでしょう?」

がこっそりイザークに耳打ちすると「やかましい」と返される。

フレイがそろりとイザークを振り返る。

「怖がる事はない」

クルーゼが言った。自分がちゃんとフレイを守る、と。

その言葉に安心してフレイは肩の力を抜く。

「寝ちゃいな。着いたら起こすよ」

がイザークに言う。

「ああ、分かった」

イザークは腕を組み、椅子に深く体を預けて目を瞑った。

「ああ、どれ着てったらいいんだろう...」

眠りかけた時に耳にしたの呟きに思わず噴出す。

「起きてたの?!」

が言うと

「今、丁度寝られそうだったんだがな」

と言いながら肩を揺らしている。

「一緒に選んでやろうか?」

からかうつもりでイザークは言ったのだが、は目を輝かせて「本当!?」と聞く。

「あ、ああ...」

思い切り当てにされた事態に困惑しつつも、別に嫌ではないので了承してしまう。

どうせ、母の提案した食事会はジュール邸ではなく、最高評議会のあるアプリリウスのどこかでするのだろうから。









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桜風
08.6.2


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