Like a fairy tale 86





もセンサーに反応があり、新手のMSを認める。

反応がザフトで先ほど現れた新しい機体と同じものかもしれないと思った。

しかし、現れたのは、ノルンだった。


そして、それはドミニオンに向けてビームライフルを発射する。

は自身のビームライフルをその射線のすれすれに向けて撃ち、自身のビームで相手のビームに干渉して軌道をずらした。

「何をする、

その声に、は驚くということは無く、奥歯を噛み締めた。

「お父様...」

銀色に光るその機体に乗っているのは、の父、カイン・。かつて地球軍に恐れられたあのシルバーレイだ。

「お父様こそ、なぜ此処に。貴方はザフトではない」

「ああ、ザフトではない。当然だ。私を裏切ったザフトに何故力を貸さねばならん」

父の言葉には思わず舌打ちをした。

「では、何故そんなものに乗っているのですか!」

「壊すためだよ、。全てを、な」

そう言ってビームライフルを構えた。

も構える。それは父に向けて。

、何をしている。あの艦には、ブルーコスモスの盟主が乗っていると聞いた。だから、私は撃つのだ」

「お父様は、守るために戦うとは言わなかった。だから、私はそれを止める!」

、お前は知らないだろう。お前の母、私の妻は..」

「知ってます。ブルーコスモスの『青き清浄なる世界』という定義の曖昧なそんな世界のために殺されました」

の言葉にカインは驚く。

「何故知っている?父は、お前には話していない、と。だから、私もお前には何も...」

「うちの親戚に、お祖父様の緘口令を守る者が居るとお思いですか?知っていました。でも、お父様が私に話そうとなさらなかった。だから、知らないフリをしていました」




被弾したディアッカを抱えてアークエンジェルに着艦するためにやってきたデュエルのコックピットにも2人の通信が入る。

「い、ザーク。知ってた?」

負傷したというのにディアッカが問う。

「いや、“事故”だった、と聞いている...」

あの時のの表情が浮かぶ。酷く悲しそうに目を伏せていた。

「まあ、オレたちコーディネーターにとったら、イヤな事故だよな。でも、ないことでもない」

「...アークエンジェル、被弾したバスターを持って帰った。着艦する。許可を」

ディアッカの言葉に対して何も返さず、イザークはアークエンジェルに向かって通信を送った。




「では、。分かるだろう?憎いだろう?ほら、あそこに居るんだ、ブルーコスモスの盟主が」

そう言ってライフルの引き金を引いた。

はその正面に回ってシールドでそれを弾く。

!いい加減にっ!!」

娘のその行動に段々苛立ったカインの口調が強くなる。

「いい加減になさるのは貴方です。今、ここであの水色スーツを殺したところで、盟主の名前が変わるだけです。何も変わりません。貴方は、アカデミーを卒業した私たちに言いました。『守るために引き金を引け。私怨で人を殺せば、それは人殺しだ』と。
今、貴方は壊すために引き金を引いている。私怨のために。だったら、私はそれを黙って見過ごせません!父を人殺しとして容認できるほど、私は冷たい人間ではない」

「ブルーコスモスの盟主。確かにいくらでも替えがきく。だが、ブルーコスモスを全て殺せばすげ替える首などないだろう?なら、そうすればいいんだ。
取り敢えず、今目の前に居るのが偶々盟主であり、少し好都合と言うわけだ」

そう言いながらミサイルを放つ。

はそれを全て撃ち落とす。

「そして、その先に貴方は何を見るのですか!どうせ次はザフトというのでしょう?地球軍を滅ぼし、そしてザフトも壊滅させる」

「ああ、そうだ。私の力を利用するだけ利用して。そして、妻の死を報せず、負傷したからやっとプラントへの帰国を許可された。私を待っていたのは、妻ではなくその墓標だ。だから、今度は私がザフトを、プラントを利用するのだ。お相子だろう?
、お前は殺さないで居てあげよう。安心しなさい。エザリア・ジュールは国防委員だ。残念だ...が、息子はお前の婚約者だ。生き残らせてやろう。ほら、これで安心したろう?、寂しくない。だから、そこをどけ!!」

父の見せる狂気には唇を噛む。

こうなるのだったら、あの時問い質せばよかった。それこそ、体を、命を張って止めればよかった。

久しぶりに本国に戻ったあのとき、擦れ違った車はクルーゼの運転でその助手席に父が乗っていた。

その組み合わせに何とも違和感を感じていた。

不安に思ってホーキンスに確かめた。ホーキンスも父に違和感を感じていた。だけど、それ以上に何も出来なかった。いや、しなかったのだ。

そして、クルーゼが“鍵”と言ってフレイに持たせた情報が地球軍に渡った途端に始まった核攻撃。

今になって思えば止めれたことが沢山あったかもしれない。

は父に向けてライフルを構える。

、いい加減にしなさい。このオーディンはそのノルンをベースに造っている。お前のノルンと同じだがパワーはその4倍はある。私も、娘は殺したくない」

「そのオーディン、と仰いましたか。どのくらい乗っていらしたのですか?」

が問うと

「今回が初めてだ。が、私に乗りこなせないMSはないよ」

そう言ってスラスターを全開にした。

確かに速い。

が、はそう慌てていない。

ノルンをベースに造ったと言っていた。

だったら、この機体を成長させるのは実戦だ。

もスラスターを全開にした。









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桜風
08.6.30


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