Like a fairy tale 87





ノルンとオーディンの戦いを遠くに見ながらクルーゼは口角を上げる。

初めて会ったときから、カインの狂気は何となく見えていた。

上手に必死に抑えていたその狂気。

利用できると思った。

英雄で、ザフトの光で。そして、そのザフトの犠牲になった戦士。

娘がザフトに入ったと聞いて最初はその名前だけが目的だった。何せ、“”はどんなに落ち零れでも、隊に居れば箔がつく。

そして、意外なことに彼の娘は本物の“”だった。

幸運なことは重なった。

彼女の婚約者が同じく自分の隊に配属された。使える、と思った。

実際、彼女は婚約者を心配して色々と立ち回ってくれていた。


そして、彼女の父も自分のために力を使ってくれる。

「本当に、素晴らしいよ。“”は」

フリーダムと戦闘を繰り広げながらクルーゼは呟く。

戦闘宙域にシャトルが浮かんでいた。

ドミニオンからの脱出艇だ。

ふん、と鼻を鳴らして砲撃を向ける。

それはフリーダムが防いだ。

そして、ドラグーンシステムの砲撃がシャトルに向かって放たれる。


その様子が目に入ったはビーム砲を撃ち、干渉して軌道を変えた。

シャトルの推進部が被弾するが、炎上はしていない。

アークエンジェルで補給を受けたらしいデュエルがそのシャトルの回収に向かった。

「余裕だな、

そう言っビーム砲をに向けた。

はビームサーベルを抜く。

「この私にサーベルで勝負を仕掛けるとは。我が娘ながら、浅はかだと思うよ」

「それは、こちらのセリフです。パワーがノルンの4倍でも、貴方はノルンには勝てません!」

そう言っては父に向かっていく。

確かに、言うだけあって、スピードは遙かにノルンの上をいっている。

だが、反応速度はノルンの方が上だ。

は父の砲撃をかわしながら徐々に距離を詰めていく。の右腕が被弾し、ライフルごと失う。

しかし、その分軽くなり、はまずオーディンの頭部を破壊した。

オーディンはそのままビームサーベルを振る。

ノルンの左足を失った。

構わずそのままオーディンの持っているビームサーベルを破壊し、肩部のミサイルを壊した。回路が集中している箇所も破壊する。

自爆は、してほしくない。

オーディンが沈黙した。

その間に、ドミニオンへストライクが向かっていた。

はオーディンを抱えてエターナルに向かうことにした。



ドミニオンからの脱出艇をアークエンジェルに収容したイザークは外の、オーディンとノルンの戦況を気にしていた。

「おーい、イザークー!!」

メカニックに呼ばれた。

何故自分の名前がアークエンジェルのメカニックに呼ばれるのか分からないが、自分の名前を呼ぶ方へと向かった。

「何だ」

「おう、ブリッジから」

そう言ってモニタに視線を向けた。

イザークもそれに視線を向ける。

治療を終えたディアッカが映っていた。

「何だ」と不機嫌に言うイザークに

から伝言。イザークはエターナルに来てくれるととても嬉しいなぁ、だって」

「...わかった。けどこの艦は、誰が護衛するんだ?」

「あー...」

ディアッカが応えに詰まっているとストライクが戻ってくる。

連れて帰ったのは、重症の地球軍仕官と、きっとブルーコスモスの盟主だ。

「オレが、ストライクに乗る」

ストライクの帰投の知らせを受けてディアッカが言う。

「大丈夫なのか、そのザマで」

「そこのオッサンよりはマシでしょ」

そこのオッサンこと、フラガを指して言う。

しかし、

「こんなの、かすり傷だ」

と言い出し、艦の護衛も自分がすると言って聞かない。

まあ、どの道MSがあるなら、どちらかが艦の護衛が出来る。

そう思ってイザークはデュエルに向かった。

「あの!」

声を掛けられて振り向くと先ほど救出したシャトルに乗っていたフレイが立っていた。

「何だ」

、は?」

「生きている。...今のところはな。危なっかしいから監視しに行くんだ」

イザークがいうと安心したようにフレイは微笑んだ。

を、お願い」

「貴様なんぞに言われるまでもない」

そう言ってイザークはデュエルに乗り込み、エターナルに向けて発進した。









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桜風
08.6.30


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