Like a fairy tale 93





イザークがデュエルでジェネシスの跡地へと向かう。

沢山の残骸が浮かんでいる。

それは、ジェネシスだけでなく、ザフトの艦や、地球軍のMS。本当に酷い戦争だった。

周囲を見渡しても、白銀色の機体が見えない。

...?」

あのエターナルにまで届いた爆炎の光だ。大きなものだというのは分かっていた。

だが、ここまでとは...

!!」

スピーカーをオンにして名前を呼ぶ。

「返事をしろ!迎えに来たぞ!!」

まだ生きている地球軍のMSが残っている。

「まさか!?」

イザークは呟いて周囲を見渡す。

上方に向かってビームライフルの光が伸びた。

イザークはそこに向かう。

オレンジのジンと、他にも数機ザフトの機体が固まっていた。

その真ん中に白銀色の機体がある。

!!」

イザークはデュエルを向かわせた。



「よ、イザーク!」

オレンジ色のジン。ミゲル・アイマン。恐らくそうだと思っていた。

「ミゲル!」

「オレも、オレも!!」

と通信を送ってきたのは

「ラスティ!?」

ラスティ・マッケンジーだった。

「よく、生き残ったな」

「お前もな。てか、隊長してたんだって?いいなぁ、オレもクルーゼ隊に残ってたら隊長になれたかもしれないってことか?」

ラスティが言うと「落とされてたかもなー」とミゲルが茶々を入れる。

「うるせぇ!」とラスティが返していた。

、は...?」

「ああ。多分、中だ。返事がないけど、中に熱反応があるから」

ノルンが流されないように抱えていてくれたようだ。

、迎えに来た。というか、何だ、さっきの通信は!!」

スピーカーからイザークが怒鳴る。ノルンに通信を送ってもミゲルの言うとおり返事がない。またしても通信部がいかれたのかもしれない。

イザークはデュエルでノルンの腕を掴み、コックピットを開ける。

コックピットを蹴ってまっすぐノルンに向かい、ハッチを開けた。

はコックピットの中で膝を抱えて丸くなっている。顔は膝につけていた。

、大丈夫か?」

こくりと頷いた。

ノルンの推進部が爆発に巻き込まれたのか、破損している。

「来い、帰ろう」

の腕を引いてデュエルのコックピットに向かう。

彼女がコックピットからやっと出てきた姿を目にすることが出来たミゲルたちは安堵の息を吐いた。

の瞳が濡れている事に気が付き、ラスティは目を逸らす。

「ああ、ホーキンス隊長はエターナルに居るぞ」

イザークがミゲルに通信を送った。

「はあ?オレら放ってそんなトコにいるわけ?あー、まあ。分かったわ。早めに戻ってきてくださいって伝えといて」

「分かった」と言ってイザークは通信をきる。


?」

ずっとイザークにしがみついているにイザークが優しく声を掛けた。

「ノルンも、一緒に」

「分かっている。の母上の名前だったんだな」

が頷いた。

デュエルはノルンの手を引いてエターナルに向かう。

「ママが、最後は守ってくれたの。爆炎に巻き込まれそうになったら、ノルンが今まで出したことのないスピードで飛んで...」

「そうか」

国際オープンチャンネルでカナーバ議員の声が流れる。

途切れ途切れだが、地球軍へひとまずの停戦の申し込みだ。地球軍がそれに応じないはずがない。

「終わった、ぞ」

イザークが声を掛けると「うん」と頷く。

「今までありがとうね、イザーク」

の言葉に「はあ?!」とイザークは声をあげる。

「きっと、私とイザークの婚約は破棄だよ。お父様、あんなことしちゃったもん」

寂しそうにが言う。

「それを言うなら、俺の母だって。たぶん、カナーバ議員がこれを流しているという事は、きっと無事ではない」

は驚いてイザーク顔を見た。イザークは困ったような表情を浮かべて頷く。

、前に言ったよな。戦争が終わったらお前に言いたいことがあると。今、聞いてくれるか?」

が頷いた。

様。私と結婚していただけますか?」

は目を丸くした。

「親の決めた、プラントの決めた制度は関係ない。これは、俺の意思だ」

「...その言葉、絶対に後悔させてやる」

の返事にイザークは「はあ?!」とまた声を上げる。

「何だ、その返事は!!」

は嬉しそうに微笑み、

「10年後、20年後。もしかしたら、死ぬときに『ああ、あのとき早まったなぁ』って思っても私は知らないよ」

と言う。ずっと、一緒に居るとは言っている。

「どこまで素直じゃないんだ。まったく!...それでも、今の言葉は取り消さないからな。全く、2歳の頃のはとても素直で可愛かったというのに」

イザークの最後の呟きには反応する。

「ちょ!イザークも見たの!?」

「ああ、見せていただいた。俺が帰るのを嫌がって泣いたは本当に可愛らしかった」

は口をパクパクと動かした。

「い、イザークだって!凄く優しかったじゃない。おでこにキスして...」

「ああ、そんなものいつでもしてやる。今はヘルメットが邪魔で仕方ないと思っているんだ。お前も我慢しろ」

フッと笑うイザークには顔を背けた。

「ホントに、後悔しない?」

が呟く。

イザークは溜息を吐きながらに視線を向けて

「そんなもん、するくらいなら最初からプロポーズなんかするか。いい加減、観念しろ」

と言い放つ。

「イザーク、顔が真っ赤だ」

イザークを見上げているが言う。

「やかましい!」

は嬉しそうに微笑み、

「うん、ありがとう。私、イザークを好きになって本当に幸せよ」

静かに呟いた。

「...お互いさまだ」

イザークも短く返した。


エターナルに戻るとカインと、ホーキンス。ニコルが出迎えてくれた。

「これから、大変だぞ」

ホーキンスが言う。

イザークは頷いた。も頷く。

「ま、無理はするな。今回の戦争でお前等子供たちは沢山無理をした。今度はオレたち大人が無理する番だ」

ホーキンスはそう言っての頭を優しく撫で、イザークの頭を乱暴に撫でる。ちょっと私情が篭っている。

通信が回復し、ホーキンスは自分の隊に命令を出した。

「じゃ、また後で。少しくらいゆっくりしてろよ」

ホーキンスが去っていく。



イザークの母が言っていた。戦後の方が沢山仕事があると。

彼女の思っていた戦後にはならなかった。

それでも、戦争は一応終結し、そして、戦後を迎える。

本当にこれからが大変だ。新たな戦争が始まらないよう、自分たちの子供の世代があんな悲しく辛い思いをしないよう。

思い描いていた優しい未来を作っていく。

はイザークを見上げた。

イザークはの視線を受けて微笑んで力強く頷いた。

「大丈夫」、と。









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桜風
08.7.14


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