Like a fairy tale 95





「バルトフェルド艦長」

マリュー・ラミアスが彼に声をかけた。

港の1ブロックは所謂三隻同盟のために開放されている。

「なんだね」

「あの...あのMSのパイロットとはお知り合いですわよね?」

マリューの言う『あのMS』が何かを少し考えてみたがどれだか分からない。

「どの、MSかな?」

「銀色の...シルバーレイです」

「申し訳ない。今のザフト、というより先ほどの戦闘にはシルバーレイが2人揃ってしまったのだよ」

と肩を竦める。

マリューは「え?」と驚いていた。

「女性の、パイロットの方ですが」といわれてうなずく。

「彼女は、12年前にザフトを引退したシルバーレイの娘だ。彼女が、どうかしたのかな?」

「いえ。艦を助けていただいたのに、お礼を言いそびれて。もしかしたら、今を逃すとお礼を言えず終いになりそうなので」

彼女の言葉に「お礼?」と首を傾げつつもふむ、と黙る。

たぶん、このあとまた来るだろうが。来ないかもしれない。彼女は“”でザフトの中では大きなウェイトを持つ名前だ。

「あの、僕が呼んできましょうか?」

傍にいたニコルが声をかけてきた。

「ん?」とバルトフェルドは振り返る。

「ああ、そうか。同期だしな。積もる話もあるのだろう?いいだろう、お願いしてみよう」

バルトフェルドがいい、ニコルは頷いた。

「お、ニコル。どこ行くの?」

を迎えに行くんです」

聞いてきたラスティに答える。

「んじゃ、オレも行く!」

とラスティがいい、

「お、何?迎えに行くの??オレもオレも!」

とミゲルが手を挙げた。

が。

「お前は、オレを手伝え」

とホーキンス隊長の右腕、ハイネ・ヴェステンフルスに引っ張っていかれた。

「ええ!何で!?」

「ホーキンス隊長も、本当にいい加減だ。『オレの代わりよろしく!』って言ってたちを引き連れて本部に戻るし!!」

どうやら隊長業務を押し付けられているようだ。もちろん、ただいま隊長不在の隊とジュール隊の面倒も見ることになっているようで。ブツブツ文句を言いながら指揮をとっている。

「じゃあ、僕たち行ってきますね」とニコルがバルトフェルドに言って港を後にした。



「失礼します」と丁度たちが部屋から出てきたところだった。

!」

ラスティが名前を呼んで駆け出す。

「ああ、ラスティ!」

は軽く手を挙げた。

その勢いでラスティはに抱きつこうとしたが、イザークが彼女を引き寄せてラスティは空振りに終わった。

「俺のだ」

の腰に手を回してイザークが言う。

「な!何だよ!イザークんちもんちも大変なことになったんだから、婚約は解消だろう?だったらオレにだって」

ラスティが言うとイザークは勝ち誇ったように口角を挙げてふん、と鼻を鳴らす。

「残念だったな。遅かったぞ」

ラスティがを見る。

「ははは」と照れくさそうに笑って「ごめんね、ラスティ。もう少し早かったら...」とが言うものだから、ラスティは落ち込み、イザークはに「もう少しラスティが早かったらラスティのほうに靡いていたというのか、貴様ぁ!」と怒鳴り始める。

その光景を苦笑しながら見守るニコルとディアッカとは対照的にアスランは状況が飲み込めずに混乱していた。

「おーい。本部の廊下で騒ぐな。学校じゃないんだぞ」

ガチャリとドアを開けてその隙間から顔をのぞかせたホーキンスに言われて6人は敬礼をしてそそくさとその廊下を後にした。



「ところで、2人は何で?」

に聞かれてニコルは「あ、」と声を上げる。

「忘れてました。えーと、アークエンジェルの艦長さんがにお礼を言いたいって」

「お礼?」

は眉間に皺を寄せた。

「何?身に覚えないの?」

ディアッカがからかうように聞いてくる。が頷くとはぁ、と溜息を吐いた。

「ドミニオンの主砲から、アークエンジェル守ったんだろう?」

ディアッカの言葉には頷き、イザークは意外そうな表情をする。

「オーディンと戦っていただろう?」

「ああ、その前にちょっとね。なるほど」

イザークの問いに軽く答えては頷いた。

「けど、別に。通信を送ったと思うけど、あれは借りを返しただけで...」

「ま、いいじゃん。話がしたいって向こうが言ってるんだし」

ディアッカが軽く言う。

「ああ、とイザークの隊はうちが面倒見てる。てか、ハイネがな。隊長に押し付けられたって文句を言いながら」

「こんなに隊長に放っておかれる隊ってどうなんだろうな」

ディアッカが呟くとイザークが「うるさい!」と噛み付いた。

相変わらずの風景に、さっきまで生死をかけて戦っていた光景が嘘のように思える。

は肩を竦めてアークエンジェルが停泊してある港へと足を進めた。










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桜風
08.7.28


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