Like a fairy tale 96





ニコルに案内されて、アークエンジェルの艦長、マリュー・ラミアスと対面した。

をつれてきたニコルとラスティ。ついてきたイザークたち、そして、バルトフェルドも少し離れているとはいえ、同じ部屋にいた。

「初めまして、でよろしいでしょうか?です」

が挨拶をする。ザフトの敬礼で。

「そうね、初めましてにしておきましょう。マリュー・ラミアスです」

そういって彼女は手を差し出す。

は微笑んでその手をとって握手を交わした。


「その。御礼が遅くなって申し訳なかったわ。ありがとう。あなたのおかげで、こうして死んだはずの人間がたくさん生きています」

は少し驚いた表情を見せた。

が、

「いいえ、通信でも送ったと思いますがジョシュアで助けていただいたお礼です。あのフリーダムのパイロットはずっと貴艦でパイロットをしていたキラ・ヤマト氏だと伺いましたので」

が返す。

今度はマリューが驚いた表情をした。

「キラ君を、知っているの?」

「直接は、何も。声は、彼からの通信で聞きましたけどね。ただ、アスランの親友で、幼馴染で。そして、ストライクのパイロットだったけど、フリーダムに乗っているというのは聞きました」

「そう...」とまだ驚いた表情のままマリューは相槌を打った。

「聞いても、いいかしら?」

マリューの言葉には頷いた。

「なぜ、ドミニオンの艦長の生存を知らせてくれたの?」

は少し考えて、

「あなたは、というか。アークエンジェルは元は地球軍の艦です。お知り合いだったら、と思いまして。組織を離れても、友人は友人ですから」

という。イザークはディアッカを見た。

その視線を受けてディアッカは意外そうな表情を見せる。

「まあ、私の場合。自分に銃口を向けた兵士は殺すって決めていたのであの場合は、もしあなたの立場だったらそのまま助けないか、一思いに、という流れにしていたでしょうけど」

の言葉にマリューが驚く。

「そう、なの?アスラン君や、ディアッカ君でも?」

彼女の言葉に頷いた。そして振り返ってアスランたちに手を合わせる。「ごめんね」と。

「でも、そうね。それでも、あなたは私の友人たちを助けてくれたわ。本当に、ありがとう」

「いいえ。たまたまです。貴艦が私に銃を向けなかったから。向けていたら、落としました」

「それは、運が良かったと言うべきかしら?」

は首を振った。

「わかりません。私の父は12年前にザフトを引退しました。部下を助けた折に負傷して。そして、父が助けた部下は、ずっと寝たきりだといいます。意識はあります。言葉も交わせます。けれど、彼はもう動けないそうです。この、プラントの医療技術をもってしても。だから、父は自分が彼を助けたことはまったくのエゴで自己満足だと言っていました。
今回私があなたの友人の艦長を助けたことがこの先どうなるかは、分かりません。一生恨まれるかもしれません。私はもちろん、彼女を連れて帰った貴女も」

の言葉にマリューは瞳を閉じる。

「そうかもしれないわね。でも、生きていたら未来はあるわ。だから、本当にありがとう。彼女は、一命をとりとめたわ」

そういって頭を下げる

も「こちらこそ、ありがとうございます」と頭を下げた。


「もう、気が済んだかな?」

2人の会話が一段落をしたようなのでバルトフェルドが声をかけてきた。

マリューは頷く。

「とりあえず、申し訳ないが。今のザフトの動きを教えてくれんかね。戻りたいとか除隊したいとか言っているのがいてな」

バルトフェルドが言うとが先ほどホーキンスとした話をする。

「んー、でも。君はすぐに除隊はしないんだろう?」

「ええ、まあ。まだ使えますからね、“”ってのは。混乱が落ち着くまで使って、そのあとはザフトに“”は残しません」

「あの、どういうことなのかしら?聞いてもいい?」

マリューが聞く。

「ああ。彼女、の一族は軍人家系でね。ザフトの中でその名前の力は絶大なのだよ。ま、彼女の父親が引退して以降は、まあ。なんとも言いがたいけどな」

その言葉を受けては苦笑いを浮かべる。

確かに、なんとも言いがたい。

「地球軍が恐れていたシルバーレイは彼女の父親だ。12年前、引退をした。んー、じゃあ、除隊、復隊はまとめてするということかな?」

「復隊は、人数的に少ないでしょうし、復興にはなるべく人がいたほうが良いでしょうから早めに処理されると思いますが、除隊は少し時間がかかるでしょうね」

の言葉にバルトフェルドは唸った。

「本当は、この艦もアークエンジェルやクサナギと共に出港したいとは思っているんだがね」

は驚いた表情を見せた。

「隠してしまおうと思っているんだ。場所は...」

「聞きません。何かあったとき、答えなくてはならなくなりますので」

が制した。

バルトフェルドは声を上げて笑う。

「うん、さすが。あっさりしているねぇ。ま、そういうわけでね。混乱している今のうちにどさくさに紛れて行おうと思っていたんだけど...」

とひとりごちた。

「ホーキンス隊長に相談されては如何ですか?色々と立ち回ってくださるおつもりのようです」

イザークの提案にバルトフェルドは少し唸って「そうしかあるまいな」と頷いた。









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桜風
08.7.28


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