Like a fairy tale 98





「まったく。ワンパターンだと思わないのか」

不意に掛けられた声に振り返る。

イザークは呆れたように首を傾げていた。

「ああ、部下から聞いた。ありがとう」

何のことか分かったイザークは頷いての隣に座る。

「本当に高いところが好きだな」

「気持ちがいいでしょう?風も通るし、遠くまで見通せる」

「まあな、」とイザークも同意して乱暴に手足を伸ばした。

「母上は、意外と丁重な監禁状態らしい」

イザークがぽつりと言う。

どこから得た情報なのだろう?

「そう。でも、少し安心したね」

の言葉に頷いた。

「明日も、アークエンジェルに行くよ。イザークも行かない?」

「わかった」とイザークは返した。

「さっきの、」とイザークは切り出す。

「フレイ?うん、迷ってるみたい。オーブには、なんだか帰りたくないんだって」

「プラントに残るというのか?プラントも混乱しているから中々生活が厳しいぞ。ザフトに入っても、今度は彼女を守ってやるものがいないだろう」

イザークの言葉に「私もそう思う」とは頷いた。

「...これ以上、ホーキンス隊長を頼るなよ」

イザークの言葉には肩をすくめた。

確かに、イザークの言うとおりだ。瓦解したザフトを支えられそうなのは意外にも、というのは失礼だが、ホーキンスくらいだろう。その上、カインとエザリアの方も何とかすると言ってくれている。

これ以上、仕事を増やしては彼が倒れかねない。

「そんな目で見てもダメだ」

「お祖父様に、相談してみたら...」

「ま、いい返事はないだろうな」

はがっくりと肩を落とした。

「それはそうと、明日。俺にも付き合え」

イザークが言った。

「どこ行くの?」

イザークの返事を聞いては思わず笑みをこぼす。

「了解!」

敬礼をしたにイザークはふん、と鼻を鳴らして顔を背けた。なんだか、ちょっと気恥ずかしかった。




ドアをノックする音がして入室を促す。

「すみません、わざわざ来ていただいて」

そう言ってホーキンスは立ち上がって2人の来客にソファに座るように促した。

「それで、どういったご用件でしょうか?」

「エザリア・ジュールを何とかしたい。協力してほしい」

ホーキンスの言葉に彼らは驚いて「しかし...」と言葉を濁す。

「エザリア・ジュールの立場。確かに微妙です。寧ろ、悪い。けど、何とかしてやりたい。彼女の息子、イザーク・ジュールはお2人もご存知ですね?」

彼らは頷いた。

「彼には、味方がいない。父親が亡くなって母親が家督を継いだ。ジュールの家督を狙っているものも親戚の中には少なくなかったでしょう。けれど、エザリア・ジュールは夫の想いと息子を守るためにあのジュールを継ぐことにした。それは、本当に無理やりといった感じだったらしく、お陰で親戚との縁がほとんど切れているらしい。
そんな中にあの少年を投げ込みたくないんですよ。成人しているとはいえ、まだ子供だ。補佐してやれる大人が居ないんだ。もちろん味方なら外には居る。友人も少なくないし、..婚約者だって彼の傍にいる」

最後の単語に彼らは驚いた。

「エザリア・ジュールがあんなことになったんです。解消するのでは?」

「プラントの今の制度、婚姻統制によっての婚約ですし、本人たちがそれを望んでいるんです。外野が色々言ってもダメですよ。...つまり、エザリア・ジュールはあのプラントを核から守ったの義母になる。私は残念ながら、政治方面へのコネクションがないので、お2人をお呼びしました。お2人は中立を保っておいでだった。そして、どちらかといえば、穏健派だ。他の議員たちの説得をお願いできませんか?」

ひとりがソファに深く背を預ける。

「確かに。イザーク・ジュールの境遇は、気の毒だ。息子の親友でもあるらしいし、分かりました。出来ることをしましょう」

その言葉にホーキンスは頭を下げる。

「そうですね。私の息子の命は嬢に救っていただいたようです。このプラントも。と、なれば。ここで力を尽くさなければ、ばちが当たってしまうし、息子に何を言われるか分かったものじゃない」

そう言って立ち上がり、それに続いてもうひとりも立ち上がった。

「ありがとうございます。エルスマン議員、アマルフィ議員」

ホーキンスは立ち上がって頭を下げた。

「しかし、現在評議会の代表はカナーバ議員です。彼女を説得できない限りは、今の流れは止められないと思いますよ」

アマルフィの言葉にホーキンスは頷く。

「カナーバ議員には、すでに面会を申し込んでいます。明日、お会いできることになっていますので」

ホーキンスの言葉に2人は顔を見合わせる。手際がいい。

「ホーキンス隊長。ザフトを除隊された折には、政治家を目指されては...?」

エルスマンの言葉にホーキンスは笑って首を振った。

「こんなこと、もう二度としたくないと思っているところです」

彼の言葉に2人はクスリと笑い、「では、」と部屋を後にした。


2人が出て行ったあと、ホーキンスは伸びをする。

「ほんっと。オレはこういう根回しみたいなのは、好きじゃないんだよ」

はぁ、と深い溜息を吐いた。

今日は寝れそうにない。

この後は、と適当にメモしているスケジュールを見た。

先ほど以上の深い溜息が漏れた。

一応、これでも自分の隊が気になっているのにそこまで手が回せそうもない。

「ハイネがうるさいだろうなぁ...」

窓の外に映る夜空を眺めてまた溜息を吐いた。









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桜風
08.8.8


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