A memorial day 3





ノルンの秘密を明かせないまま、は何となく悶々とした日々を過ごしていた。

中々やるな、と思う。

こういうところで子供の成長を喜んでいいのだろうか...

真剣に悩んでいるとノルンがこちらの様子を窺っていることに気が付く。

何だ?告白してくれるのか??

は期待に満ちた瞳を向けた。

しかし、そうではなかった。

「ここ、連れて行って」

そう言って見せたのは数日前にオープンしたばかりのショッピングモールだ。

マティウス市ではなく、マイウス市。

隣の隣。

そういえば、最近マイウス市は商業に力を入れてきているなと思い出す。

「じゃあ、今度のお休みに行こうか?」

いや、休みだと人が多いかもしれない。

うーん、と唸っているに気づかずノルンは大喜びだ。

そうなんだよな。これが『女の子』の反応なんだろうな...

「ぼくもいっしょにいきたいです」

ヴィンセントが手を挙げた。

ノルンが渋るかな、と思ったが上機嫌ノルンは「いいよー」と返す。大抵幼いヴィンセントが一緒だと買い物にあまり時間が掛けられないからノルンは嫌がるのに...

ここでも子供成長を目にした気がしてなんだか寂しさを覚えた。



「それで。何でが子供返りしてるんだ?」

呆れた口調でイザークが言う。

「だってぇ...」

数年前の本人にこれを見せてみたいものだ。

イザークは何となくそう思った。

あのときのと言ったら...

クスクスと笑うイザークには首を傾げた。

そんなに面白いことが書いてあるのかなとイザークの持っていた本を覗き込む。

「いや、も可愛くなったもんだと思ってな」

からかわれているとが分かったは頬を膨らませる。

「はぁ...これでヴィンセントまで親離れしたら、わたしどうしたらいい??」

「俺が居るだろう」

「イザークかー...」

物凄く不服そうに言われてイザークは肩を竦めた。

「ちゃんと子離れしろよ。でないと、少し子供が大変だ」

自身の体験を口にしてイザークが言う。

それが何から来ている言葉かは察して「はーい」と言ってまたイザークに甘える。

先日のようにその気になってに構い始めるとまた邪魔が入る。そうに決まっている。

そんなことを思いながらイザークはじゃれてくる妻を適当にあしらっていた。

すると、すぐにノックの音が聞こえる。

「はいはーい」

嬉しそうにはドアに向かっていった。

ほらな?いいところで邪魔が入るに決まっているんだ...

うんうん、としたり顔で頷いていると「イザーク」とが呼ぶ。

「ああ」と返事をしておやすみなさいの挨拶に来た子供たちに挨拶を返してイザークは「さて」と気持ちを切り替えた。

「そんなに構って欲しいなら俺が構ってやる」

そう言ってベッドに座って先ほどまでイザークが読んでいた本に興味を持っているに覆いかぶさった。

何度か唇を重ねて気持ちが高まったそのとき、アラームが鳴る。

「通信」

「放っておけ」

「仕事のでしょ」

そのとおりだ。

音でそれが何かが分かるようにが設定した。プライベートならまだしも、仕事のなら、これは放っておけない。

イザークは面倒くさそうに体を起こして通信に出る。

なるべく仕事の話は耳にしないようにしているだが、目の前で出られてしまっては耳を塞ぐことをしない限り聞こえてしまうし、数年前まで籍を置いていたのでザフトのことならたいていの事が分かる。

「あらら」

苦笑してはイザークが出かける準備を始める。

イザークは渋々着替え始めた。

「今晩帰れるの?」

「帰るよりも泊まった方が楽だからな...」

溜息混じりにそういった。

「わたしも仕事始めようかなー」

ポツリとが呟く。

「子供たちが完全に親離れするまで待ってやってくれ」

の性格からいって、大人しく家庭に納まっているのは多少窮屈そうだな、とは思っている。

だが、子供たちに寂しい想いはさせたくない。それについては、も同じなので特に異は唱えないが、ときどき零す。仕事がしたい、と。

彼女の友人たちはバリバリ仕事をこなしている。

触発されることが多いのだろう。

「じゃあ、行ってくる」

「いってらっしゃい」

ニコニコと手を振っているに苦笑してイザークはキスをして部屋を出た。

しかし、まあ。それにしても。ここ最近にはどうにも情緒不安定なところがあるなぁ...

の言動を思い出してイザークは首を傾げながら急な呼び出しのあった現場へと向かった。









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桜風
11.5.23


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