A memorial day 4





予想通り、休日のショッピングモールは人がごった返していた。

このモールは湖の真ん中にある島と言った感じのつくりとなっており、水に囲まれている。

これは、まあ...早く帰りたいかも。

はヴィンセントの手を引いて遠い目をしながらはしゃいでいるノルンの後を歩いた。

肩に少し大きめのバッグを掛け、今日のは髪留めで髪をひとつにまとめてアップにしている。

服装は華美なものは好きではない。どんな動きにでも対応できるような機能重視でいつも選んでいるので今回もそれだ。これはもう、クセみたいなものなのだろう。

荷物持ちはもちろん自分だ。イザークは休みが取れるかどうか微妙だと言っていたので、無理をしないように釘を刺すと案の定、休めなかった。

というか、家族サービスをしたいと言う同僚に拝み倒されてしまったのだ。

は笑って「イザークらしいじゃん」と言った。


「ヴィンセント、大丈夫?」

「はい。ぼく、まだあるけます」

「疲れたら言ってね?」

「ははうえは、だいじょうぶですか?」

「うん、まあ。大丈夫」

依然遠い目をしては返した。


6時間。

6時間で済んで良かったというべきか、やっぱり6時間は長いよねって言うべきか...

は心から悩んだ。

とはいえ。ノルンは大満足だし、ヴィンセントにも服を購入した。「これが良い」と珍しく主張したのだ。

少しフォーマルな感じの服だった。

まあ、服の趣味なんてそれぞれだし。

「ごめん、ここで待ってて。お手洗い」

はそう言って子供たちをモールの中央広場のベンチに座らせて購入した服の入った袋などを預けて手洗いに向かった。

しかし、近場のそれは長蛇の列で、少し便利の悪いところのを利用せざるを得なくなった。




フレイは久しぶりのオフを満喫していた。

妹と一緒に買い物に来ていたが、途中で別れた。待ち合わせ時間と場所を決めて、そこで落ち合おうということにしたのだ。

一緒にショッピングをするのは楽しい。でも、普段から仕事でも一緒に居るので、時々は離れて行動したいと思ったのだ。

ミーアも同じ考えだったらしく揉めずにこうしている。

しかし、まずいな、とフレイは腕時計を見ながら早足に歩いた。

時間が過ぎていたのだ。

楽しくて、すっかりショッピングに没頭してこの状態。

絶対に怒られるな、と反省しながら待ち合わせ場所のモール中央広場へと向かった。

しかし、段々人の動きが鈍くなっている。

寧ろ、自分が進みたい方向の逆に人が流れている。

何だろう...

人の流れを掻き分けてモールの中央広場が見えるところまでやってきた。

そこには人型兵器、MSが2機あり、その足元にはマシンガンを構えた男たちが居た。人数の割りにMSが少ない。

そして、その男たちがマシンガンを向けている人たちの中に、自分の大切な人が居た。

「ミーア!」

駆け出そうとして腕をつかまれた。

振り仰ぐとオレンジ色の髪が視界に入る。

「キケン、キケン」

そう言ってフレイを下がらせたラスティは人質の様子とその周囲の『敵』の人数を確認している。

「離して!」

「ダメ。突っ込む気でしょ?」

「ミーアが居るの!!」

「見えてる。ついでに、驚いたことにノルンとヴィンセントも居た」

静かに答えるラスティにフレイは目を見開く。

「助けなきゃ!」

「うん。助けるから。フレイは大人しくしててよねー」

軽い口調。でも、その視線は何かを考え、弾き出している。

「やっぱ、ひとりはキツイよなー」

ポツリと呟いた。

それは、フレイも分かる。

「私が...」

「僕も居るので2人です。それに、ミーアを助けるのは僕の役目ですよ」

ひょいと顔を出してきたのはニコルだった。

「あー、そっか。ニコル、今日は演奏してたんだよね。チャリティだっけ?」

「ええ、マッケンジーの企画だったと思いますけど?」

いたずらっぽくニコルが笑う。

「あははー、まあねー」

「2人だとまだ心細いでしょ?」

またひとつ顔が増えた。

「3人なら、行けるってのは単純だけど。その3人目がなら大丈夫かなー?」

ラスティがニコリと微笑んだ。

「子供たちを置いてどこに行っていたんですか?」

少し責めるようにニコルに言われ、「生理現象」とが返した。

「子供も一緒に連れて行けば良いのに...」

ラスティの言葉に「ごもっとも」とは肩を竦めて返した。

何だろう。こんなに緊迫した空気の中、なんでこんなにのんびり世間話が出来るんだろう...

のことを知らないラスティのSPたちはそんなことを思っていた。

「えーと、フレイ。悪いけど、ミーアにはもうちょっと人質で居てもらうよ?あと、このバッグ持ってて」

「う..うん...」

良く分からないが、が誰かを犠牲にすることを前提に話をするはずがない。

「あいつら、ブルーコスモス?」

ラスティが言う。

「違うと思う。それに似た新興勢力があるらしいけど...この間、その関係でイザークが呼び出された」

「機密事項では?」

「今は知らない方が怖い」

の言葉にニコルは神妙な面持ちで頷く。

「人質交換でが代表。良いかな?」

ラスティの言葉には頷いた。

「応じてくれたら、そのまま流れに任せて。こっちも動くから」

「応じてくれなかった場合は、僕たちも一緒に暴れます。、無茶はしないでくださいね」

ラスティとニコルの言葉にそれぞれ頷いては息を吸った。

こんな緊張感、久しぶりだなぁ...









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桜風
11.5.30


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