| は一歩足を踏み出した。 「あ、」と振り返る。 「どうかした?」 ラスティが聞くとはフレイを見た。 「フレイ、ノルンたちが解放されたらあの子達の面倒見てね。絶対に、絶対にノルンが持っている袋の中身は汚したり濡らしたりしないで。ホントにお願い!!」 でないと、この6時間が無駄になってしまう。 は心の中で一言付け足した。 「あ、そうだねー。フレイはちょっと下がってて。この屈強そうなお兄さんたちに守ってもらってね」 そう言ってラスティは自分のSPの独りに耳打ちをした。 それがかろうじて聞き取れたのはニコルで、苦笑している。 『彼女にかすり傷ひとつも許すなよ。傷を許したら...わかるよね?』 はで唇を読んでラスティの発言に苦笑した。 「素直じゃないよねー」 の呟きにニコルは苦笑しながら頷いた。 「ほら、このお兄さんが守ってくれるって。大丈夫だから。あ、君はノルンとヴィンセントね。知ってるよね?」 自分と一緒に何度かいたから知らないなんて言わせない。 言外にそういう圧力を与えるラスティに彼は頷いた。 「お世話掛けます」 は頭を下げてそして顔を上げた。 「あ、あと。プラントの警邏隊が来たら『民間人ですけど、MS乗るかもしれませんのでー』って本部に伝えてもらうように言っておいて」 はそう言って今度こそ足を進めた。 「ちょっと!」 胸を張って、堂々と。は手近に居た武装した男に声を掛けた。 「な、何だ?!」 「人質をこんなにとってどうするの?」 「は?」 「人数が多けりゃ良いってもんじゃないわ。取りこぼしが多くなるし、助けようって方も助かる可能性が低いなら突っ込んでくるかもしれない。ザフトの本気を見せられて、貴方たちは耐えうる自信ある?」 何なんだ?、と人質も含めてその場の空気が変わった。 「ママ!」とノルンが声を上げる。 ヴィンセントは蒼くなりながらもノルンを守ろうとしている。良い子だなぁ... は子供たちを見てニコリと微笑んだ。 そして、ミーアに視線を向ける。 彼女はの言いたい事を汲んだ。 すっくと立ち上がり、「私ひとり。人質はそれで充分だと思うわ」と宣言した。 そこにミーア・キャンベルがいることに気づいていなかったらしく、男が慌ててミーアを拘束した。 何となく、組織としてまだ新しいからか確たる何かと言うものが感じられない。ブルーコスモスのような狂信的なものではないのだろうか...? 「彼女は傷は付けちゃダメよ?人質としての価値が下がるわ」 がそういうと男たちはおっかなびっくりでも人質にとることにしたようだ。放っておくと何か怖いから。 人質はミーアとを残して開放された。 拘束されたの足元にノルンが駆け寄る。 「ママ!」 「大丈夫」そう言ってはノルンを抱きしめた。それはカムフラージュでフレイが居るから彼女の傍を離れないようにと伝えたのだ。ヴィンセントには顔を向けて「ノルンを守ってね」と言う。 とても素直なヴィンセントは目に涙を溜めて頷いた。 さっと周囲を見渡した。 ニコルとラスティの姿はない。次の作戦に移った様だ。 「ニコルが居る」 短く、小さな声では言う。 耳の良いミーアにはこれくらいの声でも届くだろう。 案の定、ミーアは一瞬驚いたように目を瞠り、その後すぐに何事もなかったかのように、怯えるフリをした。 ニコルが居るのだ。怯えることは何もない。きっと、助けてくれる。 プラントの警邏隊が到着した。遅い対応に周囲は文句を口にする。 武装集団は慌ててMSに乗り込んだ。MSのない者たちは警邏隊に抑えられている。 だが、武装集団には人質が居る。それを材料に開放させることもたやすい。 彼らはきっとそう踏んでいる。 「複座型か...」 MSの手に掴まれて見事な人質となったはそう呟いた。出来れば、複座型でない方がよかったんだが... 上空へ上がっていく中、の視界に光るものがあった。 視線を向けるとボートに乗って準備万端なニコルとラスティがいる。鏡で光を反射させたようだ。 は頷き、懐かしい手信号で了解の意思を示しMSの腕から抜け出してミーアの掴まっている方へ飛び乗った。 ミーアを救出する。彼女と視線を合わせたら意を決したように頷いた。 「動かないで。大丈夫だから」とミーアに声を掛けて横抱きにした。 「ニコルーーーー!」 は叫んでそのままミーアを腕から離す。 「ここは『ニコル』じゃなくて、『ラスティ、大好き』だと思う」 ボートを運転しながらラスティがぼやいた。だって、今はボートの運転技術を要するところだから。ミーアの落下地点にボートを停めたところで彼女が降ってきた。 ニコルがきちんと抱きとめる。 「腕、大丈夫?」 ラスティが声を掛ける。 「ええ、これくらい。あのときの爆発に比べれば。...大丈夫ですね?」 お姫様抱っこをしたままニコルは腕の中のミーアに声を掛ける。 「え、あ。ちょっと、怖かったかも...」 「まあ、乱暴な救出劇だとは思うけど。さて、逃げとかないとねー」 そう言ってラスティは近くのボートを停められる岸に向かった。 ニコルが上空を振り仰ぐ。 「今更ですけど、大丈夫でしょうか」 ニコルの呟きにラスティは苦笑した。 「あ、ニコルも思う?そういや、だって、4年のブランクがあったんだよねー」 に何かあったら大変だ。 だが、今の状態ではもう何も出来ない。 「あとで一緒にイザークに怒られようなー」 ラスティがニコルに言うと「ですね」と諦めた表情で頷いた。 2人の会話を耳にしたミーアはとても心配そうに上空のMSを見上げる。 「...」 |
桜風
11.6.6
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