A memorial day 7





ミーアを落としてはすぐにMSのハッチを外から開けた。

なんと、ロックをかけていなかったのだ。

凄いなぁ...と感心しつつも、まずは手前に座っているパイロットを引きずり落として乗り込む。

落としても下は湖だから、簡単に死にはしない。気絶するくらいは痛いかもしれないけど...

そして、奥の方に座っているパイロットとの距離を一気に詰めた。

そのまま髪留めのダッカールを外してヘルメットの正面に突き立ててひびを入れ、パイロットの視界を奪う。

そしてそのままみぞおちに拳を入れた。

しかし、相手もそれなりに訓練をつんでいる様で、やはり最近たるんでばかりいる自分の拳ひとつでは落とせなかった。

これはまずい...

そういえば、最近イザークに膝枕をしても「硬い」と文句を言われなくなった。そうだ、鈍っているのだ。

パイロットはヘルメットを脱いでそして傍においていた拳銃をに向ける。

これは、ピンチと言うやつだ。

スッと自分の中で何かスイッチが切り替わった気がした。

引き金を引くそのタイミングを見計らって突っ込む。

慌てた相手はまともに照準を合わせないまま銃を撃った。

その衝撃で体勢を崩したパイロットを無理やりシートから引き抜いて投げ飛ばす。

意外とうまくいった。

ちょうどハッチを開いたままの場所にパイロットは転がる。

はそのままトドメに蹴っ飛ばして落とした。


ハッチを閉じてロックを掛け、スラスターを全開にして上空へと向かった。

グンと重力がかかり少し驚いたと同時に、こんなに負荷がかかっていたこと思い出せないくらいMSに乗っていないことを思い出して苦笑する。

「いつまでも現役のつもりでいるってどうなのかしら?」

呟いて、はそのままサーベルを抜いた。

もう1機。ミーアたちを人質に取っていたとき一緒に居たMSが少し前にいる。

しかし、機体が重い。

自分が今まで乗っていたMSが軽かったのは知っている。それを重視して設定の変更もたくさんしたし。

しかし、これほどまでに重かったのだろうか...

昔、D装備にしたジンに乗ったことがある。そのときはD装備と言うこともあった。まだMSに慣れていないこともある。だから、重かった..ような気はした。そんな思い出はある。

しかし、とは舌打ちをした。

これだけいっぱいに踏み込んでこの程度のスピードしか出ないのか...

今まで仲間のMSが少しのんびりだなーって思っていたが、それが普通だったのかもしれない。


やっともう1機の機体に追いついた。

レーザーライフルを避けながら、後方を気にする。

あのショッピングモール。ラスティの会社が結構出資しているということを今日初めて知った。

壊したらまずいかな...

それでなくとも、こんなたくさんの人が居るなかドンパチと言うのはどうかと思う...

「さっさとケリをつけたいなぁ...」

しかし、MSがコロニーの中に入り込んでいる。

これは由々しき自体ではないだろうか。こんな大きなものの侵入を、プラントは、ザフトは許しているのだ。

彼らが正規軍ないとはいえ、やはり、問題なのではなかろうか...

いや、寧ろ囮か?

MSが居るならおそらくこのコロニー周辺、少なくともプラントの周辺、月までには母艦となるものがあるはずだ。それを叩くつもりで、泳がしているのかもしれない。

あー、それくらいしそうだなー...

悪い大人2人を思い浮かべては心の中で溜息を吐いた。

しかし、外に母艦が居るとなれば、もしかしたらこのコロニーにもあと数機MSが居て、応援に来るかもしれない。そうなったら、正直自信ないぞ?

センサーに機影がある。

遅かったか、と思ったがザフトの機体だった。

!』

チャンネルが分からなかったのだろう。スピーカーを使って声を掛けてきたのは、ディアッカだ。

そして、そのまま何も言うことなく、ディアッカとは敵機を挟む。

ちょうど敵の応援も駆けつけたらしいが、ザフトもやってきた。

『なるべくドンパチなしで!』

やはりスピーカーを通してが言う。

『できるだけ、そのつもりだけどな。国防委員長閣下直々の命令だし』

は目の前の敵に迫り、回路が集積してあると思われる箇所にサーベルを突き刺した。

目の前のMSが沈黙し、そのまま飛行できずに落下する。

は慌てて急降下してそれが着水する前に何とか回収できた。

ばらばらにして戦闘不能にする方が楽だったが、どう考えてもこの湖にこれだけの体積のものを落とせばせっかく出来たばかりのモールが台無しになる。

それは避けられるものなら避けたほうが良いだろう。

突然、こみ上げるものがあった。

まずい。

は敵機を乱暴に置いて自身もMSから降りた。

その場で体を横にする。

!」

駆けて来たのはフレイだ。

危ないからもっと遠くに避難しててほしかったよ...

そう思いながらは寝転んだまま手を振る。

ザフトのMSは敵機を攻撃しなかった。だが、その代わりコロニーから追い出すように動いている。

ああ、外に網を張っているのか...

コロニー内の戦闘はこちらのリスクが高すぎる。コロニーが崩壊したら大変なことになるし、MSの戦闘で市民の死傷者が出るのだって避けるべきだ。

「大丈夫?」

ひょいと顔を覗きこんできたのはラスティだ。口調は軽いが、心配そうな表情をしている。

「顔色、悪いとか?」

「ええ。大丈夫ですか?」

「酔ったかも...」

力のないの声にラスティとニコルは顔を見合わせた。

あの、ザフトの、寧ろプラントの英雄のがMSに乗って乗り物酔い?あのシルバーレイが??

「わたしもそう思う」

苦笑しては2人に言う。

「大丈夫か?」

別の声が加わった。

ノルンとヴィンセントを抱えたディアッカだ。

「ママ!」とノルンがに覆いかぶさり、ヴィンセントは泣くのを堪えている。

「乗り物酔いって、ホントに辛いのね...」

の言葉にディアッカは肩を竦めた。

部下らしき人物に声をかけてその場を少し離れる。

「送っていくよ」

ラスティが言う。

しかし、SPが止めた。次のスケジュールが入っている。今でも押しているのに...と。

そういったSPをラスティが睨んだが、「オレが送るって」と戻ってきたディアッカが言う。

「えー?」

「さっき、オレのMSはミゲルに頼んだから乗って帰ってくれるらしいし。、今日は車だろう?送ってく。仕事しろ、ラスティ」

「それを言うなら、ディアッカだって...」

不満たらたらにラスティが返す。もうちょっとサボりたい。

「国防委員長閣下の許可は得ている。協力してくれたたまたまMSに乗れる民間人が少し気分が優れないらしいから送っていくって話したら了承してくれたぞ?」

あの人も、ホント甘いよなぁ...

ニコルは心の中で苦笑した。

「では、ミーアとフレイは僕が送ります」

そう言ってその場の話をまとめたのはニコルだった。









Next


桜風
11.6.20


ブラウザを閉じてお戻りください