| 「ホントに良いの?」 ホールで何度もがノルンに確認をする。その問答に飽きたようにノルンは頷いて「いいから!パパが外で待ってるよ!!」と言ってを追い出した。 車の傍に立っていたイザークはやっと出てきたを見て苦笑した。 「どうぞ」とドアを開ける。 「ありがとう」としょんぼりしながら助手席に座るに肩を竦めた。 ドアの外まで見送りにきたノルンが手を振っている。 「ノルンが手を振ってるぞ?」 「うん」としょぼくれたままは手を振り返し、イザークはアクセルを踏んで車を滑らせた。 「そんなに俺と出かけるのはイヤか?」 ここまでがっかり感を隠さずに寧ろ全開のにイザークは少し悲しくなってきた。 「ううん。嬉しいけど...」 「顔と声が伴っていない『嬉しい』だな」 溜息混じりにそういうと「だってぇ...」と甘えた声を出す。 しかし、元来あまりくよくよしない性格のは10分も経たない内に気持ちを切り替えたのか、表情も変わった。 「ねえ、イザーク」 「何だ?」 「知ってるんでしょ?ノルンのナイショの内容」 突然核心を突かれた気持ちになる。 「何故だ?」 「オトメの勘よ!」 「オトメ...ねぇ」と溜息混じりに言うとぽかぽかと叩かれた。さすがに運転中であるためそれの邪魔にならない程度の力加減だ。 「まあ、いいだろう?こうして2人出かける機会なんてないんだから。今のうちだぞ?」 イザークは上機嫌にそういった。 いつも邪魔が入る。 子供たちが嫌いなわけではない。だが、時々わざとだろう?と問いただしたくなるすばらしいタイミングでを取っていくのがジュール家の子供たちの特技だったりする。 こうして、2人きりで出かければ間違いなく、子供たちの邪魔な入らない。 「そういえば、」とが呟いてイザークを見た。 「どうした?」とちらりと視線をに向けて続きを促す。 「結婚してからイザークと2人きりのデートって初めて?」 改めて言われてイザークも少し過去を思い出してみたが、確かにそうだ。 最初の戦後の忙しいときに強行スケジュールを組んで結婚して、自分は評議員で忙しく飛び回っているときにの妊娠の話を聞き、仕事が落ち着いたら間もなくノルンが生まれて、この時点で2人きりでどこかに出かけると言うことが出来なくなった。 家の者たちは何度かそれを勧めてくれたが、が子供を置いて出かけようとはしなかった。 そして、2度目の戦争。 それが終わって、やっぱり忙しくてヴィンセントが生まれて...今に至る。 子供たちはにべったりだったから自我というものが芽生えてからもから離れたがらないし... しかし、今回は絶対に子供たちがついてこないことを確信していた。 シンに大感謝だ。 「ま、中々ないことだからな。子供たちのことを少しくらい忘れろ」 「...鋭意努力してまいりたいと思います!」 たぶん、ムリじゃないだろうか... 何となく、の表情を見てイザークは吐きそうになった溜息を呑んだ。 「いらっしゃい!」 来客を告げられてノルンはパタパタと走ってホールに向かう。 「お?やる気充分だね!」 そう言って来客こと、ラスティは持っていた花束をノルンに渡した。 ノルンはきょとんとして少しはにかんで「ありがとう」と礼を言い、ラスティを案内した。 「おー、やってるやってる」 案内された部屋はある種雑然としていた。ヴィンセントが何か集中しながら作っており、その手伝いをしているのはレイ・ザ・バレルだ。 「ヴィンセント、ラスティお兄ちゃん来てくれたよ」 作業に没頭している弟にノルンが声をかける。 はっと顔を上げて勢い良く立ち上がったヴィンセントは「いらっしゃいませ」とお辞儀をした。 「あ、これはどうもご丁寧に」と言いながらラスティも頭を下げる。 「じゃあ、ラスティお兄ちゃん。ここ、任せても良い?」 ラスティは軽く手を上げて了承の意思を示した。 「今の、ラスティ?」 キッチンで作業中の女性陣が興味津々に聞いてきた。 今日は来客が多いのだ。 「うん。お花、もらっちゃった」 少し嬉しそうにノルンが言う。チラとルナマリアはフレイを見た。 「...なに?」 「なんでもない」 フルフルと首を振って作業を再開した。 何だって、あのラスティ・マッケンジーと言うのは朴念仁なんだろう... プラントの経済はもちろん、地球側の企業との取引等の企業業績はかなり上位に名を連ねているマッケンジーの次期代表となる人物だ。相手の心理を読むのは得意だろうと思うよ、と以前に聞いたこともある。 それなのに、何故だ...? そうか。とルナマリアは思いついた。 きっとヤキンの生き残りと言うのは、ひと癖もふた癖もある人物で、寧ろそれくらい癖が無いと生き残れなかったのだ。 そうか、そうか... うんうんと頷いているルナマリアを見ながらノルンは首を傾げ、フレイは溜息を吐く。 ホントに、この子はこういう話が好きなんだから... |
桜風
11.7.11
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