A memorial day 11





再び来客が告げられた。

今回は家の者が物凄く慌てている。

ノルンが出迎えに行くと、そこには呆れた表情のディアッカが居た。

「ありがとう、ディアお兄ちゃん」

「まさか、本気とは思わなかったけどな...」

なんだかぐったりしている。

「...あー、ディアッカ。お疲れ」

人の気配がしたのかラスティが出てきて、別室に居たニコルもひと段落ついたのか出てきて苦笑した。

「おひさしぶりです、アスラン」

「あ、ああ...ほら、カガリ。やっぱり言ったとおりだろう?」

眉間に皺を寄せてアスランが自分の隣に立つ人物に声をかける。

「何だと?!招待状をもらったんだぞ、私は!!」

「いや、もらったんだけど...」とアスランはその勢いに押される。

「あらあら。いいではありませんか。楽しそうなことですし。ノルンさんがせっかくご両親を喜ばせようと考えたことなのですから。ね、キラ?」

ラクスに言われてキラとしてもちょっとやりすぎ感がある気がしないでもないが、まあ、「そうだね」と答えた。

「あ!」とニコルに遅れてホールにやってきたミーアが声を上げた。

そして「ねえ!」とニコルに耳打ちをする。

「ああ、いいですね。ラクス、ちょっと良いですか?」

「ええ」と頷いてラクスはニコルとともに別室に向かった。

「あ、お茶が入ったら呼びにいくよー」とノルンが声をかけると「楽しみですわ」とラクスが微笑んだ。

「ミリィお姉ちゃんとカガリお姉ちゃんはキッチンでフレイお姉ちゃんたちを手伝って」とノルンが言うと「オッケー」と請け負ってミリィは大切な商売道具をジュール家の家人に預けてキッチンに向かった。

「ディアお兄ちゃんはラスティお兄ちゃんたちと一緒に飾り付けの手伝いをして?あと、アスランお兄ちゃんと、キラお兄ちゃんは..手先が器用だって聞いたんだけど...」

ノルンが伺うように2人を見る。

「オレも器用だよー」とラスティが主張するが、「ラスティお兄ちゃんはもう部屋に戻ってて!」と怒られてしまった。

「まあ、不器用では、ないと思うけど...」とアスランが答え、「僕も、まあまあだとは思うけど」とキラが答える。

「じゃあね、お願いしてみたいことがあるの」

そう言ってアスランたちをこれまた別室に連れて行った。


「隊長、そろそろ飾り付けをしなくては!時間がなくなってしまいます!!」

小さな隊長、ヴィンセントに敬礼を向けてラスティが提案する。

この子の集中力、すごいよなー...

ラスティは心から感心した。それは本日最も長時間一緒に作業していたレイも感じていたことだ。

「へ?あ!ほんとだ。ありがとう、ラスティおにいちゃん。えーと...」

そう言ってヴィンセントが部屋の中を見渡す。

「ディアおにいちゃんは、あっちをおねがいします。レイおにいちゃんは、こっち。でー、えーと」

考えているヴィンセントの視界が不意に高くなった。

「んじゃ、オレはこっちなー。隊長は高いところをお願いします!」

そう言ってヴィンセントを肩車してラスティは勝手に自分に振り分けたエリアに向かった。

ヴィンセントは最初目を白黒していたが、やがて楽しくなって喜び始める。

ラスティって子供の相手意外と得意だよなー...

そんなことを思いながらディアッカは隊長に指示された持ち場を飾りつけることにした。



暫くしてドアをノックする音がした。

「はいはーい」とラスティが返事をするとトレイに茶器を載せたノルンが入ってきた。

「お?良い匂い」

ディアッカが真っ先に手を休め、その様子を見たミリィは溜息を吐いた。これ見よがしに。

「休憩してくださーい」

ルナマリアは別室にいる者たちを呼びにいっているのか、今のところ姿が見えない。

紅茶の用意をするノルンの手つきは慣れたものだった。

「ノルン、慣れているんだな」とレイが声をかけると「えへへ」と笑っている。

別室にいた者たちも加わって大休憩会が開かれた。

遅れてやってきたエザリアはこのときに合流した。迎えに行っていたのはシンだった。

「あらあら。良いときに来てしまったわね」

そう言って悠然と室内のソファに腰掛ける。

「ああ、そうそう。フレイ。今別の部屋に置かせているのだけれども、私が昔着ていた服を貰ってくれるかしら?」

フレイは目を丸くした。

「え?!」

「ほら、貴女とよくショッピングに行くでしょう?服の好みとか、結構把握したつもりだし。ホントは、娘のに譲ろうと思っていたけど、ほら、あの子ってああでしょう?だったら、フレイが着てくれるかもしれないって期待したのだけど...」

困惑しているフレイに「貰っとけば?」と声をかけたのはラスティだった。

「え、でも...」

「エザリア様の服だったら、良い生地を使っているだろうし。まあ、体型的にどうかってのはあるかもしれないけど、そこもちゃんとお考えになって選んでくださっていると思うよ。苦手だったら、その生地を使って別の服をあつらえたら良いし。それは、構わないんでしょう?」

そう言ってエザリアに視線を向けたら彼女は微笑みながら頷いた。

「で、では..あの。遠慮なく戴きます」

フレイの返答に満足したようにエザリアは微笑んだ。









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桜風
11.7.18


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