A memorial day 13





丘の上にある小ぢんまりとしたレストランで食事を摂った。

子供がいると騒いでしまうこともあろうかと思うので、やはりこういう雰囲気のあるレストランには来辛い。

もちろん、ノルンやヴィンセントはそれなりに躾けているから大丈夫とは思うが、安心しきれないので、やはりこういうところは避けてしまう。

「子供達がもうちょっと大きくなったらこういうところにも連れてこられるんだがな」

イザークの言葉には「まだ随分先になるんじゃないかなー」と呟いていた。

いつまで経っても子離れできそうにないな、とイザークは心の中で苦笑した。

「そういえば、」とが思い出す。

「ノルンの幼年学校、どうしたらいいのかしら?」

「俺が出たところでもいいとは思うが...何かあるのか?」

「マリューさんが、オーブはどうかって」

それは盲点だった。

「なるほどな...」

自分たちの時代には思いもよらない選択肢だった。

オーブはナチュラルもコーディネーターも共存できるその社会を作っていた。何処よりも早く。

それに、オーブだったら自分たちの知り合いが結構いるからいざと言うときには自分たちが行くまでは面倒を見てくれると思われる。

「ノルンって、小さいときは人見知りしまくってたけど、最近は随分と人見知りとかない子になったし。気後れも、まあ、想像できないのよね。早いうちから『世界』を見ておくのも悪くない」

「確かに。一応、資料とかは送ってもらって他のところと比較した方がいいだろうな。あとは、ノルンが決めれば良い。俺は、反対しない」

「だねー。...時代って変わるもんだね」

「変えたんだよ。みんなで」

イザークの言葉にはコクリと頷いた。


車を運転しながら次は何処に行くかと話をしてみた。

はショッピングは特に好きじゃないし、最近は色んな施設ができているが、どんなのがあるのかまではチェックしていないという。

に言われてイザークは少し悩み、「じゃあ、そうだな」と言って次の目的地を決めた。

「『終戦記念博物館』?」

建物の名称が書いてある看板を見ては首を傾げた。

「こんなもん、作ってたの?」

「先月落成式があったんだ」

そう言ってイザークはの手を引いて歩く。

今日、徒歩で移動するときは必ずそうだ。手を繋ぐのなんてどれくらいぶりだ?という感じでも最初は恥ずかしかったが、今しか出来ないことだと思うと積極的に手を繋ぎたくなる。

博物館はやけに大きなつくりだった。天井が高い。

しかし、その理由がそこにあった。

「デュエル?!」

ドッグのキャットウォークのような通路が作られており、そこからコックピットを見ることが出来る。

「何でここに??」

「さあ?俺も最初は驚いた。話が来て、展示をしても良いかと聞かれてな。何処に隠しておいたんだ、って感じだったよ」

「本物?」

「フレームだけな。OSは入ってないし、勿論サーベルや実弾もない。空っぽだ」

「懐かしい...」とはキャットウォークから身を乗り出して眺めている。

「もっと懐かしい、というか驚くものがあるぞ」

そう言ってイザークが案内した。途中、色んなフレームのMSがいた。地球軍が使用したタイプのものもある。

そして、その先にいたMSには目を瞠った。

「ノ..ルン?」

「フレームはオーディンとそうかわらなかったから、オーディンを見て造ったらしい。元パイロットの了承を得ずに、だがな。デュエル以上に俺は驚いた。どうだ?これも、もちろん外見だけだ。中身は空っぽらしいぞ?」

ハッチが開いている。

は先ほど以上に身を乗り出して中を覗いていた。

「...全然違う」

少し悲しそうに苦笑してが言う。

「そうか。あまり中は見たことなかったからな。メカニックたちも調整できないからシートに座ったことのあるやつなんて殆どいなかっただろうし」

「...なんでこんなもの、造ったの?博物館」

「あの、馬鹿げた戦争を忘れてしまったら、その戦争で亡くなった者たちはきっと浮かばれない。そして、戦争を知らない奴らがまた同じように戦争を始めたら、亡くなった者たちは益々無駄死にだ。あの忌まわしい事実を、過去を忘れないためだ」

博物館の中をゆっくり歩いた。

正直な感想は、『懐かしい』だ。

だが、こうして『展示』という形で突きつけられると少し居心地が悪い。

「同感だな」とイザークは言った。

くまなく展示物を見学して博物館を後にした。









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桜風
11.8.1


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