| 帰宅するとなんだか少し家の中の様子が変だとは気づく。 その様子を見て、ああ、しまったなとイザークは思った。 人の気配が多いとやっぱり違和感くらいは覚える。はこれでまだ気配とかには敏感だ。 伝えるのを忘れていたことに気がついてイザークは眉を寄せた。 「お客様、多いね?」 が声をかけると「そうだな」とイザークも返す。 ドアを開けると途端にパンと鋭い音がしては思わずイザークに背中を預けて昔拳銃を下げていた腰に手を回す。 「あー、うん。ほら、やっぱり止めとこうって言っただろう?クラッカー」 呆れたようにディアッカが言う。 「だってー...」と言ったのはフレイだ。 「へ?あの..はい??」 の頭上にたくさんの『?』が浮かんでいる。 背中を預けた相手はクツクツと笑っている。 「イザークさん?」 が恨みがましく名を呼んだ。 「まあまあ」と宥めてイザークはノルンを見た。 母の意外な反応を目の当たりにした彼女は少し驚いた様子だったが、イザークの視線に気がついて頷いた。 「ママ、こっち。あのね、もう驚かないでね。いや、驚いてほしいんだけど、さっきみたいな驚き方はやめてね?」 子供に釘を刺されてちょっとへこんだ。 だって、ビックリしたんだもん。銃声に似てたんだもん... 「や、あそこで咄嗟に反応できるがすげーだけだから」とディアッカは苦笑した。 もう一度ドアを開ける前にノルンに念を押されては頷いた。もう驚かないぞ、と。 ドアを開けて一歩中に入るとまたクラッカーの音がした。それと同時にべろんと何かが垂れてきた。 見上げるとくす玉で、『結婚記念日おめでとう』という垂れ幕が垂れている。 暖簾のようにそれを腕で避けて部屋の中を見渡したは、中にいる人物に驚いて固まる。 何故、オーブの代表とプラントの代表がいるのだ...? これにはイザークも驚いたらしく、ノルンを見た。 「お手紙、出したの」 「どうやって?」 「まずね、ルナお姉ちゃんにキラお兄ちゃんに渡してもらって。キラお兄ちゃんからラクスお姉ちゃんに渡してもらって、ラクスお姉ちゃんからカガリお姉ちゃんに渡してもらったの」 ノルンは意外と顔が広いんだなぁ... 自分とイザークの立場を考えればおかしくないが、それでも何と言うか。『知らない』ということは最強だと感心した。 「...ところで、ノルン。これは、一体何かしら?」 の言葉に皆が驚く。ひとり、イザークだけが苦笑していた。 「ママとパパの結婚記念日だって...違うの?」 「ああ、そっか。そうだったわ。覚えてた?」 「残念ながら、覚えてたよ」 の問いにイザークは苦笑して頷いた。 「ママ!ダメだよ!!結婚記念日を覚えていないと離婚になっちゃうんだよ!!」 目に涙を浮かべてノルンが慌ててそう訴えた。 何のドラマを見たのだろうか... 「離婚になっちゃうの?」 またしてもイザークを見てがそういう。 「今のところは考えていないな」 イザークが返した。 ノルンは目の前で安心して胸を撫で下ろす。「パパが優しい人で良かったね、ママ」とノルンが言うので「そうだねぇ」とは返した。なんだか特に心が籠もっていない。 相変わらずの2人に昔から馴染みのある者たちは苦笑した。 何だか平和だなぁ、と。 「これ、ノルンが考えてくれたの?」 部屋の飾りやテーブルの上にある料理。その他手作り感が溢れている。 「うん。皆に協力してもらったの。ホントはパパにもナイショだったんだけど、でも、人の口に戸は立てられないって言うから」 残念そうにそういったノルンに皆は噴出すのを何とか堪えた。何か、この子実年齢以上の精神年齢ではなかろうか。何と言うか、『おしゃまさん』を通り越して『年寄りくさい』と思う。 が驚いたのでノルンは大満足を得ることが出来、パーティが始まった。 それにしても、この人数をこの部屋にというのは無理があるのではないだろうか... 「庭も開放しよう」 イザークの提案には頷いた。 ミリィが楽しそうに部屋の中の様子を写真に収める。 「ゆっくりしてってよ」とが声をかけると「ええ、ありがとう」と言いながらレンズを向けてきた。 「ねえ、」 レンズ越しのままミリィが声をかけてきた。1枚パシャリ。 「なに?」 「あのラストチャンス...ありがとう」 随分昔の話だ。 「それは、ディアッカの執念よ」 の言葉に「そうかも」とミリィは笑った。 「何の話?」 タイミングよくやってきたディアッカにとミリィは顔を見合わせて「なんでもない」と声をそろえて答え、笑った。 「行かないのか?」 不意に声をかけられてフレイは慌てる。 「な、何よ!?」 「あいつ、人の反応を見て楽しむタイプだからな。そこは肝に銘じておいた方が良いぞ?」 イザークは先ほどからカガリたちと談笑しているラスティを遠巻きに見ていたフレイに声をかけた。 イザークに見透かされていることがとても恥ずかしくてフレイはプイとそっぽを向く。 「たまには素直になってみるのも悪くないぞ。あいつは、自分のタイミングを崩されるとそのまま崩れかねないからな」 言うだけ言ってイザークはまた別の客の方に足を向けた。 「何なのよ」と呟くが、フレイはもう一度ラスティに視線を向ける。すると目があって、目を逸らしたのは自分よりも先にラスティの方だった。 あれ?と思ったが、何となく口角が上がる。何せ、ラスティが「しまった」という表情をしていたのだ。 フレイは背筋を伸ばしてラスティに足を向ける。ラスティを見れば少し別の場所に苦い表情を向けていた。視線を辿るとその先にはイザークで彼はとても楽しそうに笑っている。 |
桜風
11.8.15
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