| 昼食を済ませると悟郎が何着かの制服を持ってきた。 何がどう違うかが分からない。 「でもゴロちゃん。一応学校側には許可貰ってるから別にこのままでも...」 「いいから!ちゃん、ゴロちゃんとお揃いが嬉しくないの!?」 お揃いって言っても、制服なので学校中の女子生徒はみんなお揃いだ。 「ゴロちゃんとお揃い、嫌?」 顔を覗きこまれては言葉につまり、 「じゃあ、わたしの制服ができるまで借りるね」 「うん!で、どれがいい??」 だから、どれがどう違うか分からない。 「えーと、じゃあ。これ」 取り敢えず一番手前に置いてあるそれを指差した。 「いいよ!ほら、着替えて着替えて」 ...此処で!? 取り敢えず、別室とかで着替えさせてもらいたい。悟郎は何だかんだ言っても男の子だし、それ以外は外見も中身も男の子だ。 「、隣の部屋で...」 寝ていたと思っていた瑞希がそういう。 「あ、そうだね。ちゃんは女の子だもんね」 そう言いながら悟郎がを隣室に促す。 「なあ、瑞希。の家って何処に有るか知ってるか?」 「.........知らない」 そうか、と言いながら一は何かを思っているように呟いた。 ガチャリとドアが開いてが出てきた。 「わー!ちゃんポペラ可愛いよ!!」 そう言って悟郎がに抱きついた。 「ありがとう」 遠い目をしては応える。 もう、何だか疲れた。 「ねえ、午後の授業も出るの?」 を抱きしめたまま悟郎が問う。 「うん、出るけど...」 が返すと 「あー、じゃあ。机の中にオレの教科書全部入ってるからどれでも使っていいぞ」 と一が言う。 午後もサボる気満々のようだ。 「僕は、教室に戻る」 瑞希は立ち上がり、の手を引いてバカサイユの出口に向かう。 「あー!ゴロちゃんも教室に行くー!!ショウちゃんの授業あるし」 そう言っての空いているもうひとつの手を取ってスキップしながら引っ張っていく。 「え、ちょっと。待って!!」 先を急ぐ悟郎に対して瑞希はいつもどおりのペースで歩いているため、は腕を引っ張られている状態だ。 大岡裁きを思い浮かべる。 手を離してくれたほうが愛情があるんだよね... そう思いながら、強く握られた右手を左手の痛さに耐えていた。 教室に着くと丁度本鈴が鳴って公民担当の二階堂衝が教室に入ってきた。 彼はをじっと見て、やがて何事もなかったかのように授業を始めた。 「ねえ。ショウちゃん、今ちゃん見てなかった?ゴロちゃんのほうがポペラ可愛いのに!」 「朝と服が違うからびっくりしたんじゃないの?」 拗ねた悟郎の言葉にはさらりと返す。 「そっか、そうだね。ゴロちゃんのほうが可愛いもんね。あ、ちゃんも勿論可愛いよ?」 今更取ってつけられても... そんな事を思いながらも「ありがとう」とは返した。 「一、何を考えている?」 ボーっとしている一に向かって翼が言う。 「んー、いやな。確かは親父さん側についていったはずなんだよな」 「どういうことだ?」 「あいつんち小学校を卒業した日に両親が離婚したんだよ。で、も、弟も親父さん側についていったんだって。それで、弟は海外に居るのにはこっちに居るだろう?じゃあ、親父さんはどっちにいるんだろうか、って」 腕組みをしながら窓の外を見る。 「母親はいるんだろう?」 寝ていると思っていた瞬が話しに入ってきた。 「んー、まあ。たぶん日本に居るとは思うけど...」 「元々両親の仲が悪かったのか?」 「いや、別に。関白だったけど、そんなに険悪だったわけじゃないと思う。あんまり親父さんのほうとは話したことはないんだけどな、オレは」 きっとこの場にか悠里が居たら「淡白でしょう」と突っ込んだであろう事でも彼らは間違いに気づかなかったためそのままだ。 「じゃあ、母親が面倒を見ているんじゃないのか?普通はそういうもんだろう?」 瞬がそう言い、もう興味がないとばかりにまた睡眠姿勢に入る。 「まあ、そうかなー。でも、この時期の編入ってのが気になってさ。昨日来なかったってのが特になー」 「まあ、半端だがな。知りたかったら聞けばいいだろう。幼馴染なんだろう?」 「んー...だよな」 そう返事をしながら一は何となく腑に落ちない気がした。 聞かない方がいいことのように思えてならなかった。 |
桜風
08.6.20
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