| 瑞希の家に着くと葉月が迎え出てくれた。 「久しぶりね、ちゃん」 「うん、葉月お姉ちゃん。会えて嬉しいよ」 が言うと葉月は家の中に入るように促した。 今日は久しぶりだから、と葉月が夕飯をご馳走してくれるという話になっていたらしい。 は葉月の仕度の手伝いをする。 「僕も、何か手伝う?」 「いいよ、瑞希。トゲーと仲良く待っていて」 「相変わらず手際がいいわね」 と葉月が楽しそうに夕飯の仕度をしている姿を少しだけ面白くないと思いながら瑞希は眺めていた。 「そういえば、おば様は日本に居るのよね?おじ様は?」 「金髪美女のお母さんが待っているかもしれないっていう状況。星太と共にアメリカ」 「おじさん、今度はアメリカの大学に行ったの?」 本日の夕飯は日本食の代表といえるであろうカレーライスだ。 「うん、突然アメリカに。星太は嬉々として着いていったんだけどね」 「ちゃんは行かなかったの?」 「反抗期ってやつかな?」 苦笑しながらが言う。 「でも、お陰でまたに会えた」 瑞希の言葉にも「だよね」と笑った。 「おば様は北海道って聞いたから...保護者は?学校に入るのに保護者が居ないと面倒でしょう?親戚だったんだし、私が保護者しても良いのよ?」 葉月の言葉にははにかんだ笑顔を浮かべた。何だかくすぐったいような気がする。 「こちらでの保護者はもういるから。ありがとう」 の家は親戚付き合いがなかったと聞いたことがある葉月と瑞希は不思議そうに顔を見合わせた。 食事を済ませて葉月にもう少し、と引き止められたが書店が閉まってしまっては大変だからはすぐに斑目家を後にした。 帰宅する途中に大きな書店がある。 瑞希の家は比較的学校の近くだ。 指定されている教科書を購入してはそのまま自宅を目指した。 「あれ?ちゃん!?」 声を掛けられて振り返ると本日からクラスメイトになった風門寺悟郎が居た。 飼い犬のミニチュアダックスフントを連れている。 「わ、可愛いね。この子、名前は?」 膝を折って、ミニチュアダックスフントの頭を撫でる。 「でしょ?パゥって言うんだよ。ちゃんは、今帰り?」 「瑞希の家に行ってその帰りに本屋さんに寄って教科書を買いに行ってたの」 なるほどと納得しつつ悟郎はの持っている重そうな紙袋を見た。 「もう遅いし、送るついでにゴロちゃんが持ってあげようか?」 悟郎の言葉には首を振って「ありがとう」とやんわり断った。 「そう?大丈夫?最近この辺りも治安が悪いんだよ?」 そう言っての様子を伺う。 「大丈夫」とはもう一度断って自宅へと向かった。 「何だ、もう教科書はいいのか?」 HRが終わって教室に入ってきた一はの机の上を見て苦笑した。 「毎回借りてたらハジメちゃんが困るでしょ?」 「いや、全然」 笑いながらそう言った一は自分の席に向かった。 悟郎は2時間目前に教室に入ってきた。 どうやら、昨日は珍しく朝から揃っていただけのようでB6はバラバラと午前中にやってきていた。 昼食時になり、は本日はお弁当を持参している。 B6たちはぞろぞろと教室を後にする。 「あれ、は?」 キョロキョロとバカサイユの中を見渡した。 「今日は呼んでないだろう」 翼が言う。 「...呼んじゃダメか?」 「別に構わんが」 溜息交じりに翼が応え、「さんきゅ」と一が返すが「あ、」と声を漏らす。 「番号、まだ交換してなかった」 携帯を持っているだろうが、番号を交換していないため連絡を取ることができない。呼びに行くのは些か面倒くさい。 「あれ?ミズキは交換してるんじゃないの?」 昨日に会ったときには瑞希の家に行ったと話していた。 「うん、聞いた...」 そう言って携帯を取り出した。 「借りるぞ」とそれを受け取って一が操作を始める。 『もしもし?』 と受話器の向こうから声がした。 「あ、か?オレだけど。今日もこっち来ねぇか?」 『お弁当持ってきた。あと、それどころじゃないっていうか...』 そんなことを返すの声に重なって複数の女子生徒の声がした。 「どうした?一緒に誰か居るのか??」 『まあ、居るといえば居るかな?偶然同じ学校に通う偶然同じ性別の知らない人が』 の言葉に一が首をかしげる。 「それって..赤の他人」 電話口から漏れたの声を聞いて瑞希が呟く。 「どういうこと?」 分からない、と一が瑞希を見る。 「昨日、が女子に囲まれてた」 「ん?」 「それってぇ、苛められてたって事じゃないのかァ?キシシシ」 楽しそうに清春が言う。 「あー、なるほどな。オレ、ちょっと迎えに行くわ。先食ってて。オレのは残しておいてくれよ」 そう言って一はにもその旨を話して瑞希に携帯を返して一がバカサイユを出て行った。 「ていうかー...ハジメとちゃんって、本当に単なる幼馴染?」 悟郎の言葉に「さあな」と興味なさそうに翼が答え、食事を始める。 「てかさ、転校生はとりあえず苛めとけってのはやめとかないか?」 の元にやってきた一のその一言でとりあえずその場は納まった。 「んー、やっぱり大変そうだからさ。翼に頼んでやるよ。一緒にバカサイユにって」 「逆効果...」 「大丈夫だって!よーし、取りあえず今からバカサイユに行こうな」 何が大丈夫なのか。 そして、チャイムが鳴るまであと30分。 バカサイユまでの移動時間を考えたら教室で弁当を食べた方がもの凄く効率がいいと思う。 そう思ったが一に手を引かれており、ついでに抗議してもこうなったら聞いてくれそうにないのでは諦めた。 |
桜風
08.6.29
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