| 4月のうちには結構一や瑞希と仲が良いということからやっかみを受けていただったが、中間テストが終わってからはそういうのがなくなった。 原因は中間テストの結果だ。 テストの結果上位50名までは掲示板に張り出されているのだが、クラスAを差し置いてトップに名前が挙がったのがクラスXのだった。 テストの結果で満点を取ったのが5教科中3教科もあった上、彼女のクラスがクラスであるためカンニングを疑って特にクラスAからの言いがかりを受けていたが、は顔色ひとつ変えなかった。 「一。は昔からああだったのか?」 意外な結果に瞬が問うた。 「んー、どうだったかな?小学生の時って確かに平均点よりは上だったと思うけど。あんなもの凄い成績だったとは記憶してないなー」 「それって、ナギの記憶力の問題じゃねぇの?キシシシシ」 清春が茶々を入れるが、「そうかもなー」と一はそのまま受け取る。 「しかし、ウチのクラスのやつがトップってのは何とも違和感があるな」 「だよなー。凄いよな、」 好奇の目を向けられるに視線を向ける。 彼女は全く気にしていないらしく、家から持ってきた本を読んでいる。 「ふふふ、大騒ぎですね」 この校内の騒ぎを楽しんでいるのは職員室内でも衣笠だけだった。 「だから、やはりクラスAに編入させるべきだったんですよ。彼女は要らない中傷を受けているんですよ?」 鳳が軽く抗議をしてみるが、今言っても後の祭りだ。 「でも、さん本人が気にしていないみたいですし」 そう言って窓の外を見る。 本日の授業が終了したため、下校中の生徒が正門に向かっている。 その中にの姿がある。 ひそひそと陰口を叩かれている様子なのに彼女は背を伸ばしてまっすぐ顔を上げて帰宅している。 のテスト結果が騒がれたのは半月ほどで、その後は沈静化していった。 やがて6月になり、体育祭の季節になる。 「体育祭は全員参加です」 悠里の言葉には眉間に皺を寄せた。 「明日、出たい競技を聞きますから考えておいてくださいね」 そう言ってHRを終えた。 「ちゃんは何に出る?ゴロちゃん、応援団するんだよ!可愛いチアガールなんだよ!!」 チア..ガール?? まあ、悟郎なら有りか...と思いながら「楽しみね」とは返した。 6月にはいるとB6もそこそこ補習に出席するようになった。 とはいえ、週2回が平均値だ。 は補習に残る彼らにさよならを言って職員室に向かった。 「衣笠先生」 「はい、何ですか?」 「体育祭はどうやったら競技に出ずに済みますか?」 「医師の診断書と保護者の一筆が必要になるでしょうね」 理由を聞かずに衣笠はそう言った。 医師の診断書のときには表情を変えなかったが、“保護者の一筆”にの顔が嫌悪に歪んだ。 「保護者って、衣笠先生ではダメなんですよね?」 「そうですね。今回は学校行事の事ですから、僕が書くわけにはいかないかなと思いますよ。でも、運動量を要さない競技だってあるんですよ?検討してみてはどうですか?」 そう言って昨年のプログラムを渡してくる。 受け取ってはその場で眺める。 確かに、走ったり飛んだりしなくても良い競技はある。 「失礼します」と声がして生徒が入ってきた。 岡崎勇次。 にとってはもうひとりの幼馴染だ。 一には関わるなと言われたが、目の前にいるのに無視をすることはどうだろうと考えていた。 「ちゃん、だろう?」 昔のように名を呼ばれた。 岡崎とは小学校は同じではなかった。 ただ、岡崎と一がサッカーのリトルリーグでチームメイトだったため、とは面識があったし、一にとって岡崎は親友であったため、ともそれなりに親交はあった。 「どうして君のような優秀な生徒がクラスXなんかにいるんだ?中間テストの結果を見て驚いたよ。うちのクラスの生徒たちはかなり困惑していたけどな」 苦笑しながら友好的に声をかけてくる。 「久しぶり、だね。勇ちゃん」 「そういえば、校内では噂になってるけど。B6なんかと一緒にいるって本当か?品性を疑われるからやめたほうがいいぞ。特に、草薙なんかと」 静かに岡崎の言葉を聞いていただが、徐々に眉間皺が寄る。 「心配してくれるのは有り難いけど、わたしの交友関係にケチつけないでね」 ニコリと反論を許さない笑顔を浮かべてそう拒絶した。 流石にそれは意外だったらしく、岡崎は二の句を継げずにいた。 「衣笠先生、ありがとうございます。これはお借りしてもよろしいですか?」 先ほど受け取ったプログラムを軽く掲げて聞くと 「どうぞ。さんは去年いなかったから体育祭の様子が分かりにくいとは思いますけど、クラスの誰かに聞いてもいいでしょうね」 と承諾された。 「では、失礼します」 はそう言って職員室を後にした。 |
桜風
08.7.1
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