Dear my friends 12





期末試験もは学年トップだった。

中間テストのような大騒ぎにならなかったが、それでもまたカンニング疑惑が掛けられていた。

「みんな暇だね」

の零した感想はその一言だけだった。


学生にとっては待ちに待った夏休みがすぐそこに迫っている。

「星太は、アメリカから帰ってくるのか?」

昼休憩時に一が夏休みの予定を聞いてきた。

「ううん、たぶんずっと向こう。父親も向こうにいるし」

は本を読みながらそう返す。

「は!?え、ちょっと待て。おばちゃんと暮らしてんの?」

「言わなかったっけ?独り暮らし」

の言葉に一は言葉を失くし、瑞希も一人暮らしだとは思っていなくて驚いた表情を浮かべた。

「おばちゃんは?」

「北海道」

「ああ、沖縄な?」

一の言葉には言葉に詰まった。

「もう一度。何?」

「だから、北海道って沖縄にあるんだろう?」

は暫く遠い目をした。

「ちょっと。ここに日本地図、大まかなのでいいから描いてみて」

本に挟んで栞代わりにしていた学校のお知らせプリントを広げては言った。

「ん?おお、いいぜー」

鼻歌を歌いながら一が自分の頭の中の日本地図を描いていく。



暫く描いていた一が「出来た!」と声を上げたのでは顔を上げて適当な紙を栞代わりにして本と閉じた

そして、一の描いた日本国を見て絶句した。

「ハジメちゃん、九州は何処行った?」

が問うと

「此処。ほら、九州」

と得意げに言う。

「それ、四国のあるべき場所」

「ん?そうか?」

「北海道は何処行った?」

「だから、北海道って沖縄だろう?」

そう言ってそこを指差した。

確かに、北海道の形をしたものがある。南に。日本の最南端に。

「これ、鳳先生に見せに行ってみても良い?」

のその反応で大いに間違いがあるのは分かった。

だが、正しい日本の形が分からない。

「ついでに、日本にある都道府県は全部でいくつ?」

「52!」

トランプの枚数だな、それ...何が増えたのか後で聞いてみよう。

「47です。先生も大変ねー」

はそう呟いて遠い目をした。

「正しい日本地図はこんな感じかな?」

はサラサラと別の紙に線を引いていく。

「うわぁ、ちゃん。意外とイラスト上手いね!」

の背後からその手元を覗き込んだ悟郎が感嘆の声を上げた。

「ありがと」と言いながら手を動かして日本地図が出来上がる。

「こんな感じ。北海道はこれ。北の大地」

「キタキツネがいるんだよな。あと、エゾ鹿とか」

動物の事だったら分かるのに...

何だか本当に『好きこそ物の上手なれ』って単語が頭に浮かぶ。

「えーと、じゃあ。は夏休みにアメリカとか北海道とか行く予定は?」

「ゼロ。都内から出るつもりは皆無。大人しく高校3年生に相応しい夏休みを過ごそうかと思ってるけど?」

「んじゃ、時々遊びに誘うわ」

「行くかどうかは微妙だけどね。てか、ハジメちゃんたちは補習でしょ?」

の言葉に苦笑しながら「少しくらいは付き合えよ。てか、ヤなこと言うなよな」と一は返した。

「え!?じゃあ予定がないならちゃんも今度ゴロちゃんのストリートに付き合ってみない?」

ストリートって何だろう。ストリートと言えば...

「ストリート...ファイト?」

「それはハジメ!ゴロちゃんはゴロちゃんの描いたイラストを販売してるの。どう?興味ない??」

それは知らなかった。

「そうだね。1回くらいは行ってみたいかも」

「1回といわずに毎回、ずっと一緒に!ね?あ、でも。ちゃんって夏に弱い??何か春よりも痩せてない?無理なダイエットは体に良くないよ?」

悟郎が顔を覗きこんでくる。

「夏バテ。毎年なんだけどね。何とかならないかなって思ってるんだけど...」

「食生活に偏りがあるんじゃないのか」

寝ていると思っていた瞬が話に入ってきた。

「あ、ごめん。起こした?」

「いや、別に。というか、。ちゃんと栄養を考えて食事は摂れ。ひとり暮らしで体調を崩したら何だか無駄に悲しくなるぞ。それでなくともは見た目から言って体力がなさそうだしな」

「そんなに儚げ?」

がからかうと瞬はふん、と鼻を鳴らしてまた机に顔をうつ伏せた。

「照れてる照れてる」

こそっと悟郎がそう言い、もクスクスと笑っていた。










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桜風
08.7.4


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