Dear my friends 13





夏休みが始まって宿題はすぐに終わらせると途端にやることがなくなる。

悠里の行う補習は午前中から始まると聞いた。まあ、涼しい午前のうちに勉強はした方が効率がいい。


8月に入って突然一から『ハワイ行かね?』というメールが来た。

その文章をみて何を考えてるんだろうと心から思った。

だから、電話をしてみたら何でも翼が都内にこの夏のためだけにハワイを作っているらしい。

「意味わかんない」と返したら「とにかく、水着持って集合!迎えに行くか?場所分かるか??」と言われた。

参加は決定らしい。

「水着、持ってないんだけど」

『マジで?』

「マジです!だからわたしは欠席」

が返すと「おーい、悟郎。の買い物付き合ってやらね?」と電話の向こうから聞こえる。

ああ、今は補習の休憩時間なのか。B6が揃ってるのか。

「何?何??ちゃんと買い物!?ゴロちゃん行く!!」

悟郎の声が近づいてきてそう言った。

『聞こえたか?』

「えー、面倒くさい」

が言うが、

ちゃん、ゴロちゃんと買い物が面倒くさいっていうこと!?ゴロちゃんポペラショック!!』

と電話口で大騒ぎされて仕方なく「いつにする?」と出かけることにした。



約束の日、駅前の広場で悟郎と待ち合わせをした。

ちゃん!」

もの凄い美少女が手を振ってスカートを翻しながら駆けて来る。

「お待たせ!待った?」

「いや、そうでもないよ」

「良かった!もうね、ホントにね。センセも今日は用事があるって言ったら補習も途中で抜けさせてくれたんだよ。センセって変わってるよね」

悟郎が嬉しそうに言う。

「頭ごなしに言う人じゃないから、珍しいよね」

も苦笑しながら同意した。

「でも、何でちゃんも制服なの?」

「まあ、早く買い物が終わったら学校でゆだってるみんなに差し入れでも持っていけれたらなって思ったから」

が返すと「ちゃん優しいね!」と悟郎が上機嫌になる。

それから人ごみに向かって足を進める。

瑞希ほどではないが、もあまり人ごみは得意ではない。

ちょっと酔うな、とか足がもつれるなとか思っていたら手をとられた。

「気持ち悪い?人ごみ苦手?ゴロちゃんにしっかり掴まっててね」

そう言って悟郎は意外と力強くの手を引いて目的地に向かう。


「此処って結構可愛い水着が揃ってるんだよ。種類も豊富だし。そうだな、ちゃんなら...」

悟郎が生き生きとしてに似合いそうな水着を探し始める。

もう悟郎に任せてしまえ、とも諦めた。

というか、その方が楽だ。

結局、悟郎が選んだのは彼の好きな色のピンクで今年流行の型のものだった。

が試着してみて、派手過ぎないし肌の露出が著しくないものであったし納得したのであっさりそれを購入した。

悟郎としては半分満足、半分不満だったようだ。もう少し買い物を楽しみたいと思ったらしい。

「差し入れはやっぱアイスかな?ゴロちゃん何処のアイスが好き?」

「もう終わってるかもよ?」

悟郎が言うには、補習の終了は多少悠里の気分しだいってところもあるらしい。彼女が集中していたら、気がついたら日が沈んでいると言うこともあるとか。

「じゃあ、先にわたしたちがお茶をして、それが終わってハジメちゃんにでも電話してみよう。今日も出席してたんだよね?」

「そだね。まだ補習しているなら、アイスを買って。してなかったらもうちょっと遊んで帰ろう?」

話を纏めて悟郎オススメのカフェに入った。

「ねえ、ちゃんはハジメの事件のこと、知ってるんだよね?」

「サッカー部?」

が問い返すと悟郎は頷く。

「詳しくは知らないけど、概要なら何となく想像はついた」

「アレ以来、ハジメはストリートで喧嘩してるんだよね...ハジメ、やっぱり辛いんだよね」

「信頼していた人に裏切られたって言うなら普通は辛いよね。でも、今のハジメちゃんにはB6のみんながいるからね。良かったと思うよ」

はそう言って窓の外を見た。

陽炎が立っている。

猛暑だと言われているこの夏。乗り切るのは大変そうだ。

「ねえ、ハジメってどういう子だったの?」

窓の外を眺めていたところでそう声を掛けられては少しだけ昔を懐かしむように目を細めた。

「B6でお母さんしてるあの顔のままだよ。面倒見が良くて、自分よりも年下には特に優しかったよ。ガキ大将って言えばそうなのかもしれないけど、正義感も強かったし。ハジメちゃんの周りには沢山人が居たな。んー、今のB6は真壁くんがそういう存在なんだろうけど」

が言うと悟郎は面白そうに彼女を見る。

「凄いね、ちゃん。観察力があるっていうか。瑞希に聞いたの?」

「何を?」と問い返すと「ツバサの事」と言った。

「ううん、これも特にこれと言って何も」

「やっぱり観察眼かー」と悟郎が呟く。

違う。

はB6と一緒に居ても部外者を決め込んでいる節があるから全体が見えるだけだ。

結局誰の何にも踏み込んでいない。

これがのスタンスだと言えばその通りだが、時々分かっていて距離を取ったりしているB6の皆が羨ましいと思うこともある。

男の友情だからか。

それとも、やはり彼らだからか。

「ゴロちゃん、羨ましいな」

が呟く。

「え?今何か言った?ごめん丁度聞いてなかった」

「何でもない。何も言ってないよ?」

がそう返したが、悟郎は納得しなかった。それでも、彼女が言いたくなさそうだから聞かなかった。

「話したくなったら言ってね。ゴロちゃん、いつでもちゃんの話を聞く準備はできてるからね」

「B6で一番大人なのはゴロちゃんかな?」

が言うと「そうなんだよね、みんな子供で困ってるんだよねー」と悟郎は笑った。










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桜風
08.7.4


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