| シャワーを浴びて髪を乾かしていると携帯が鳴る。 表示を見ると“ハジメちゃん”と表示されている。 「もしもし?」 「おー。、今暇か?」 「用件によって暇か暇じゃないかが決まる」 の返答に苦笑して「花火しね?」と一が言う。 「花火ぃ?ていうか、今何処にいるの?」 「ベランダ出てみ?」 そう言った一に従ってベランダに出て下を見下ろすと七瀬を除くB6が揃っていた。ついでに悠里までいる。 「どういう集まり?」 「補習の帰り。花火しようって話になって。というか悟郎が言い出してさ」 なるほど、と納得した。 「あのさ、適当でいい?服」 既に部屋着と言うか、ジャージにTシャツと言う見事に寛いでいる服だ。このまま寝てしまっても全く問題ない。 「いいんじゃね?」 「では、お付き合いしましょう」 とは言うものの、流石にジャージはないか...? 「ちゃーん!この間、ゴロちゃんごめんね?ゴロちゃんと約束したから大変だったんでしょ?って。あれ、ちゃんって目が悪いんだ?」 眼鏡を掛けて降りると悟郎が聞いてきた。 「あ、ううん。こっちこそ約束破ってごめんね。あと、これはコンタクト外しちゃったし、面倒くさいから眼鏡にしたんだ」 「似合う、似合う...」 「トゲー!!」 「やっぱりガリ勉だなァ?」 清春が言う。 「まあ、勉強のし過ぎで目が悪くなったのは認めますけどねぇ」 笑いながらが答えた。 「チッ。厭味だっつうの!!」 「わかってるっつうの!」 が清春の口調を真似て返すと面白くなさそうに清春は顔を背けた。 「で、何処でするの?」 「河原。少し向こうに行ったらあるだろう?公園はご近所さんが近いから迷惑になりそうだしな」 このメンバーだと、と小声で一が付け足しては笑いながら頷く。 暫く歩いて河原についた。 「七瀬くんは?」 「バンドの練習が上がってから、時間があって気が向いたら来るって。」 なるほど、と納得して早速花火を手にする。 「瑞希もこれでしょ?」 そういってが瑞希に花火を渡す。 「こらこら。お前らなにいきなり線香花火だよ!それは最後のお楽しみ!!」 そう言った一に取り上げられた。 と瑞希は膨れっ面を一に向けるが、全く相手にされなかった。 「せっかく花火相撲できると思ったのにね」 の言葉に瑞希は頷く。 「ほら、お前たちもこれ持って」 そう言ってそれぞれに花火を持たせる。 「トゲー、火には気をつけてね」 が言うと「トゲー!」と嬉しそうに声を上げた。 「トゲーは、本当にが好きだね」 「まあ、瑞希の言うところのお母さんらしいからね。世のお母さんというものは子供に好かれるものなのでしょう?」 の言葉に瑞希は難しそうな表情を浮かべた。 「人によるとは思うけど...でも、B6の中ではあまりそういうことを口にして言わない方がいいと思う。色々とあるから」 誰がどうだとは聞いていないが、は頷いた。 家庭環境は人それぞれだということは自分が一番良く知っている。 「瑞希ずるーい!」 そう言って駆けてきたのは悟郎だった。 「ゴロちゃんもちゃんと一緒に花火をするの!」 「いいよー、火頂戴」 悟郎の持ってきた勢いのある花火からそのままは火をもらってさっき一に持たされた花火に火をつける。 「しかし、庶民はこんなちんけな花火に歓声を上げるのか。まあ、これはこれで楽しいが...」 翼の言葉にと悟郎は顔を見合わせて笑った。 「瞬、これから来るって」 先ほど着信があり、電話をしていた一が声を掛けてきた。 「おー、B6が集まるんだ。というか、集合率高いね」 そう言ってが悟郎を見ると「みんなゴロちゃんに会いたいんだよ」と言って笑っていた。 暫くして瞬が合流してきた。 途端に大きな音がその場に響く。 「な、何!?」 悟郎が驚いて声を上げると 「たぶん、ハルの爆竹か何かじゃないの?って、うるさいね、これ...」 眉を顰めてが言う。 すると少し離れたところで瞬と清春の追いかけっこが始まった。 どうやら、今の爆音は清春が瞬に向かって行ったイタズラの一環らしい。 「まぁた追いかけっこしてるよ...」 呆れたように悟郎が言い、 「いつものこと...」 と瑞希が呟いた。 「おい、担任!」 翼の声がしてそちらを見ると悠里が尻餅をついていた。 「先生?」 「腰を抜かしたようだな。清春の爆竹に驚いたんだろう」 呆れたように翼がいい、 「だって、いきなりだったから...」 と恥ずかしそうに悠里は俯く。 「じゃあ、線香花火でもしますか?」 そう言って一に取り上げられた線香花火を取ってきて悠里に渡す。 これなら屈んだまま遊べる。 「清春!!」 怒鳴り声が聞こえ、そちらを向いたら清春が何かを投げてきた。 足元を駆け回るそれはねずみ花火だった。 「きゃあ!」と声を上げて逃げ惑う悠里に対して、はそのねずみ花火踏んで抑えた。 「先生、もう大丈夫ですよ」 そういうを悠里は尊敬の眼差しで見遣る。 「さん、その...ありがとう」 「いいえー」そう言ってまだ火のついているねずみ花火を手にとってそのまま「ハル!返すよ!!」と清春に投げ返す。 流石にその行動は意外だったらしく清春は慌てて逃げた。 ねずみ花火は最後に爆ぜるし、なにより、自分が手を加えた市販よりも少し危険なそれだ。 「自業..自得」 「瑞希君!その使い方、あってるわよ」 嬉しそうに悠里が言う。 何のことだろうと思って瑞希を見ると 「今日......国語」 とぽつりと言った。 ああ、補習は国語だったのか。 それで、瑞希の頓珍漢な答えに悠里は大変疲れた先でのこれだったのだから嬉しくなったのだろうな。 遠くで清春が一と悟郎に説教されている。 流石に人に向かってねずみ花火を放ったことは笑い事では済ませられない。 「ああ、そうだ。わたし、花火なんて小学校以来だ」 は呟いてこの場を見渡す。 中学生の時には、花火なんて大人が居ないと出来ない。 高校に入ってからもそういう機会がなかった。 「楽しい?」と瑞希が聞く。 「うん、楽しいよ」 「......良かった」 瑞希も嬉しそうに笑った。 |
桜風
08.7.25
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