| の母に会った翌日、学校に行くと今まで見たことの無い表情で怒っているが待ち構えていた。 「よー、おはよ。、どうしたんだよ」 「ゴロちゃんから聞いたけど、あの人のところに行ったって、ホント!?」 鬼のような形相でが問い詰める。 「あの人?...おばちゃんの事?」 「ホントだったの?!」 ぎこちなく頷く。 「何でそんな余計なことしたのよ!やめてよね、迷惑だから!!」 「おい、ちょっと待て。一は...」 翼が間に入ろうとしたがはそれには取り合わずに一を睨みながら見上げている。 「に何も言わずにおばちゃんに会いに行ったってので嫌な思いをしたのなら謝る。けどな、この間のの態度が気になったんだよ。おばちゃんと話をしたら何か分かるかもって思ったんだよ」 パシンと乾いた音が廊下に響く。が一の頬を打った音だ。 「誰がそう言ったの?誰がわかってってお願いした?!バカじゃなの!それって単にハジメちゃんのエゴでしょ!!」 言葉に詰まって何も言い返せないで居たらが続けた。 「じゃあ、わたしがハジメちゃんがサッカー部を辞めた理由を聞いて回ったらハジメちゃんは嬉しい?!迷惑でしょ!」 “サッカー部”という単語を聞いて一の表情に剣が差す。 「何でそんな話になるんだよ」 「同じなのよ!ハジメちゃんにとってのそれはわたしにとってあの人なのよ!!」 「...ちゃん」 悟郎が彼女の肩に手を置くが、それを乱暴に払う。 「触らないで!構わないで!!みんな大嫌いッ!!」 はそう言って廊下を駆けていった。 「お前がにあの話をしたのか、翼」 「いいや、違う。それは濡れ鼠だ」 「...濡れ衣、の間違いじゃないの?それ」 呆然との背中を見送っていた悟郎が突っ込みを入れた。 どうやら悠里の補習は無駄になっていないみたいだ。 翌日からは学校に姿を見せなくなった。 が帰った日には一応瑞希が彼女が置いて帰った荷物を持ってマンションを訪ねたが、家からは出てこなかったため、ドアの前に荷物は置いて帰った。 あれから1週間経ったある日、特売の時間に併せては近所のスーパーに向かった。 本日は何を食べようかと考えながらスーパー内を歩いていたら目立つ赤い長い髪が目に入った。 野菜コーナーにそれがいる。 まあ、自分は彼のように目立つ存在ではない。気づかないだろう。 「この野菜には傷がついている」 店員にそんな事を抗議していた。 そういえば、野菜の傷はちゃんとチェックするようにって前に言われたなと思い出しながらは買い物を続けた。 レジで精算を済ませて自宅から持ってきたエコ袋に購入したものを詰めていると真横に背の高いのが横に立った。 見上げるとさっき避けた赤い髪の七瀬瞬だった。 「久しぶりだな」 「...ちす」 七瀬を見ると、彼もちゃんとエコ袋を家から持ってきているようだ。 「七瀬くんって、B6の中で唯一と言うか。結構生活していくうえでの一般常識を備えてるよね」 何だか可笑しい。 学校の成績は「50点満点?」って聞きたくなるような成績なのに、一般の、というかおばあちゃんの知恵袋的な知識は結構豊富だったりする。 「当然だ」 「これから、バイト?」 「今日はバイトはない。バンドの練習はあるがな。、例えば交差点があったとする。交通量が多いくせに信号が変わるのが早い交差点だ」 何を言い出したのか、とは反応に困っている。 「そこにお婆さんが居た。凄く沢山の荷物を抱えた腰の曲がったお婆さんだ。何だか困っている様子だ。それを目にしたらお前はどうする?」 「はあ?」と不可解な表情を浮かべては瞬を見上げる。 瞬は早く答えろと視線で促した。 「そりゃ、声を掛けるよ。『何かお手伝いできませんか』って」 「草薙がやったことはそれと似たようなもんだと思わんか?」 の視線が鋭くなる。 「あいつがやったことは声をかけずに、勝手に重そうな荷物を持って先に交差点を渡ったようなものだろうがな。けど、お婆さんに声をかけるって言ったのその気持ちと同じ..似たようなもんだったんじゃないか?」 に睨まれているがそれに動じず瞬はそう続けた。 睨み続けても瞬は全く態度が変わらず、は溜息を吐いた。 「七瀬くん。バンドの練習まで後どれくらい時間が取れる?」 七瀬はポケットから携帯を取り出して時間を確認し、「10分程度なら」と返してくれた。 「じゃあ、ちょっと付き合ってくれる?」 「降りかかった船だ。仕方ない」 瞬の言葉には溜息を吐き、 「付き合ってくれるのは嬉しいけど。正しくは“乗りかかった船”ね?」 は荷物を持ってスーパーを後にし、瞬もについてスーパーを出て行った。 |
桜風
08.8.1
ブラウザを閉じてお戻りください