| 「―――というわけらしいぞ」 瞬はから話を聞いた翌日、バカサイユに集まったB6と悠里にから聞いた話をした。 本日もは欠席だった。 「そう..だったんだ」 悟郎が俯く。 は周囲に気を配る。 悠里が学年主任に理不尽に責められているところに出くわすと助け舟を出すし、クラスAの生徒から言いがかりをつけられたクラスXの生徒が居たら代わりに喧嘩を買って言い負かして助ける。 でも、彼女はそれを自分に向けられることはないと信じていたといったのだ。 「そういや、確かにおばちゃんがの事を心配したっていうの見たことない..気がする」 一もポツリと呟いた。 ピンポーンと朝からチャイムが鳴る。 は面倒だと思いながらドアの覗き窓から外の様子を見た。 そこにはスーツを着た担任の南悠里が立っていた。 無視をしようかと思ったが、何だか気が引けてドアを開けた。 「おはよう、さん」 「おはようございます。あと10分で予鈴ですよ?」 「そうね、一緒に学校行きましょう」 は面倒くさそうに溜息を吐いた。 「あっれー?センセだ!!」 新しい声が加わってはエレベーターホールの方を見た。 「ポペラおっはよー!ちゃん、学校行こう。下で瑞希とも会ったよ」 「、先生おはよう...」 「取り敢えずさ、今日も学校行くつもりないんだけど」 が面倒くさそうに返した。 「先生。遅刻したらピッカリコンビがたぶんうるさいですよ」 ピッカリコンビ。つまりは校長と学年主任のことだ。 その2人を思い浮かべて悠里は溜息を吐いた。 「センセ、ちゃんはゴロちゃんとミズキに任せて学校に先に行って」 悟郎が言うが 「今日は行く気ないから。ゴロちゃんも瑞希も学校に行きなよ」 とが返す。 「えー!ちゃんの居ない学校、ゴロちゃん楽しくない!」 「行こう..学校」 悟郎と瑞希が訴える。 だが、は学校に行くそぶりを見せない。 「...わかった。今日はもう遅いからゴロちゃん諦めてあげる。でもね、明日も来るから!何時だったら準備できる?」 「......8時?」 が応えると悟郎は嬉しそうに微笑む。 「うん、ゴロちゃん明日8時にちゃん迎えに来るから!約束だよ?」 悟郎の言葉には数回小さく頷く。 「じゃあねー!また明日ねー!!」 元気よく手を振って悠里と瑞希を引っ張って悟郎はエレベーターホールに向かった。 「悟郎君?」 あっさり引いた悟郎に悠里が困惑気味に声を掛ける。 「ちゃんって自分のペースは崩さないけど、自分で約束したことは守ってくれるんだよ。でしょ?ミズキ」 「......うん」 瑞希が溜息のような同意を示す。 「そうなの?」 「そうだよ。だから、明日からはちゃんの事はゴロちゃんとミズキに任せて!ちゃんも言ったけどセンセが遅刻ってやっぱりまずいでしょ?大丈夫!泥船に乗ったつもりでポペラ任せて」 「悟郎君。泥船じゃなくて、大船ね?泥の船だったら沈んじゃうわ」 項垂れて悠里が言う。 「あれ?ゴロちゃん間違っちゃった??あは」 軽く笑って悟郎は気にせずに学校に向かった。 翌朝、は此処最近久しぶりに早起きをした。 今日は8時に悟郎が迎えに来る、 仕方ないので学校に行くことにした。 悟郎が迎えに来てくれるのは、かなりありがたい。学校に行くきっかけになる。 7時頃に起きてシャワーを浴びて制服に着替える。 ピンポーンとチャイムが鳴り、は慌てて時計を見たがまだ7時半だ。 誰だろう、と思ってドアの覗き穴から外を覗うと目の前に白いトカゲが見えた。 「瑞希!?」 驚いてドアを開けた。 「どうしたの?」 「迎えに、来た...」 「トゲー!」 トゲーがジャンプしての頭の上に載った。 「まだ仕度出来てないし、ゴロちゃんも来てないから...上がる?」 の言葉にコクリと頷いて瑞希が「お邪魔します」と一言言って入ってきた。 「トゲー。今、火を使ってるから瑞希のところにいて」 お弁当作成中であるため、トゲーを連れているのは危ない。油が撥ねるかもしれないのだ。 トゲーは大人しく瑞希の傍に行った。 「眠かったら寝ててもいいよ。ゴロちゃん来たらちゃんと起こしてあげるよ」 瑞希に言うが「大丈夫」と返された。 「ねえ、」 「なーにー?」 「瞬に、聞いた」 炒め物をしているの手が一瞬止まったが「でしょうね」と苦笑した。 瞬に話をした翌々日に悠里と悟郎と瑞希が迎えに来た。 その日の昼に瞬と翼からメールが来たし、意外なことに真夜中のもの凄く迷惑な時間に清春からも意味不明な電話が来た。 「今まで、の事心配した人が居なかったかもしれないけど。ううん、おばさんたちは心配していなかったかもしれないけど。僕は、を心配する」 「...うん。あり..がとう」 「先生も、悟郎も。一も瞬も、たぶん翼も。もしかしたら清春も心配してるし、これからも心配する」 「クケー!」 トゲーがひときわ大きな声で主張する。自分を忘れている、と。 「ああ、勿論トゲーだっての事をもの凄く心配してる」 「はい」 「だから、諦めて心配されてよ」 フライパンをコンロから外して代わりにケトルをおいた。 「瑞希はコーヒー飲めたっけ?」 「僕は紅茶の方が好き」 「飲むでしょう?」 「うん」 弁当を詰めてエプロンを脱ぐ。 紅茶を淹れたマグカップを持って瑞希の元に行き、「熱いから気をつけて」とテーブルの上に置いた。 「、返事は?」 瑞希に確認されて 「はい。多大なるご迷惑をおかけしました」 と正座をして頭を下げた。 「僕は、いつもが気にかけてくれているのは嬉しいよ。いつもありがとう」 「それは、別に何でもないよ」 「だから、お互い様」 「...ありがとう」 の言葉を受けて瑞希は手を伸ばしての頭を撫で、暫くはそれを大人しく受けた。 |
桜風
08.8.4
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