Dear my friends 27





約束の時間に迎えに来た悟郎に「抜け駆けー!」と瑞希は責められた。

に宥められた悟郎は手を繋いで登校してくれるならと条件を出して引き下がった。


久しぶりに学校の正門を潜ったは何だか居心地が悪い気持ちを感じる。

取り敢えず、悟郎と手を繋いでいるこの状況がさらに居心地の悪さを倍増させているような気がしてならない。

「おや、さんはやっと登校ですね」

職員室の窓から様子を目にした衣笠が少し安心したように呟いた。

「ああ、本当ですね。これで南先生の苦労がひとつ減りますね」

衣笠の呟きを耳にした二階堂も窓の外の光景を目にして呟いた。


が教室に入ると一瞬時間が止まったような空気になった。

あれだけ生徒が沢山いる中で一と大喧嘩したのだ。仕方ない。

喧嘩をしたと言うか、一方的にが一を責めただけなのだが...

お陰で一のファンからの視線が一番痛い。

は俯きかけたがそれでも顔を上げた。

その様子を見て悟郎は何となく納得した。

にとっての防衛方法がこれなのだ。俯けば誰かに責められる隙を与えることになる。

だから、いつも顔を上げて背筋を伸ばしているのだ。隙を作らないようにと心がけていたんだ。

「大丈夫だよ、ちゃん?」

不思議そうにが悟郎を見る。

「ゴロちゃんが居るよ?ミズキも、トゲーも。ハジメと仲直りできるまでちゃんと一緒にいてあげるから。だから、大丈夫」

ニコリと微笑む悟郎に「ありがとう」とは照れくさそうに視線を逸らして呟いた。


「はいはいはーい!ゴロちゃんポペラいい事思いつきましたー!!」

授業の間の休憩時間に悟郎は職員室でそう叫んでいた。

は瑞希に任せている。

「えーと、悟郎君。どうしたの?」

突然自分の傍でそう叫ばれて悠里は困惑気味に問い返した。

「センセって、ゴロちゃんたち6人を独りで見てるでしょ?それってもの凄く大変なことだと思うんだよね!」

「それは、君たちが苦労をかけているからでしょう」

二階堂が突っ込むが悟郎は黙殺した。

「でね、ゴロちゃん考えたの。さて、問題です。クラスXには去年と違うところがひとつあります、それは何でしょう!はい、ショウちゃん」

「は?えー...」

突然話を振られて二階堂は言葉に詰まった。

さんがいる、ということですか?」

「キヌちゃん正解!!」

ビシッと指を差して悟郎が言う。

「そうなんだよ、センセ。ちゃんが居るんだよ。クラスAを差し引いて学年トップで全国模試でも上位をキープのちゃんが居るんだよ。しかも、ちゃんはハジメの幼馴染でミズキの親戚だからあの2人は任せてもいいんじゃないかな?任せるってのはおかしいか。そう。手伝ってもらったらどうかな?」

「...“差し引いて”はないと思うわ。正しくは”差し置いて”、ね?でも、貴方たちの指導は教師である私の仕事なのよ?」

やんわりと断ったが

「でも、それはいいアイデアですよね?」

と衣笠が言う。

「衣笠先生?!」

悠里が驚いた声を上げる。

「勿論、無理強いは出来ないからさんが良いと言わないとダメですけど。でも、手伝うくらいいいじゃありませんか。生徒間で勉強を教えあうことを悪いだなんて誰がいえますか?まあ、草薙君と斑目君が彼女に何か勉強を教えることが出来るかどうかは、現在のところ疑問ですけどね?」

ニコリと微笑みながら教師として大先輩の衣笠が言う。

「えーと、じゃあ。さんに話してみます」

「それがいいよ!じゃね!バイビ!!」

悟郎は嬉しそうにそう言って職員室を出て行った。

「風門寺君は友達想いの良い子ですね」

衣笠がそう言い、「はい!」と悠里は嬉しそうに頷いた。


次の休憩時間、は校内放送で職員室に呼び出された。

数日サボったからそれで呼び出しか、と諦めて溜息を吐いた。

「ついていく?」

瑞希が心配そうに声をかけてきた。

「いいよ。自業自得。自分のしたことが返ってきただけだからさ」

そう言っては教室を出て行った。

瑞希が振り返ると一も心配そうにの出て行った教室の入り口を見ていたが、瑞希と目が合うと気まずそうに視線を逸らした。

その様子を見ていた翼は溜息を吐く。

「ハジメもしょうがないなー」

悟郎が呟いた。

「......仕方ない」

「まあ、そうだろうけど。やっぱりね、ちゃんがいないバカサイユも何だか物足りないしねー。早くピロポ〜ンと仲直りしてほしいよね」

瑞希は悟郎の頭を撫でて自分の席に戻った。








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桜風
08.8.4


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