| 一と瑞希がテストを受けている間には悟郎に貰ったノートのコピーを自分のそれに写し始める。 が欠席している間、悟郎は全ての授業に出て板書をしてくれていたのだ。「内容はさっぱりペロポンと分かんなかったけど、ちゃんなら黒板に書かれたものを見ただけで分かるんじゃないかなって思って」と言いながらコピーを渡してくれた。 もの凄くありがたい。 瑞希に聞けば分かるかと思うけど、学校の授業のレベル以上の話になりそうだから、ノートを見て分からない箇所を聞かないと大変なことになるだろう。 ストップウォッチを確認するとあれから30分経っている。 数学は写し終わり、現在国語だ。 コピーにはいたるところに悟郎の愛犬のイラストが散らばっており、退屈しながらも一生懸命板書をしてくれていたのがよく分かる。 顔を上げて一と瑞希の回答を覗き込む。 一は、6割は無理そうだ。 生物の問題はなるべく動物に関わるものを、と作ったがそれ以外の化学や物理の範囲となれば全く解けていない。 残念だな... 瑞希はもうシャープペンシルを置いている。というか、寝ている。60点ぴったりで手を止めたんだろうな。 テーブルの上を走ってトゲーがやってきた。暇になったので遊びに来たようだ。 仕方ないのではシャーペンの先でトゲーを突きながら残りの時間を過ごした。 すぐ傍で行っている悠里の補習では清春と瞬が大騒ぎをしている。 「さすが...」 辞めたとはいえ、何年もスポーツしていた人物の集中力は侮れない。 今の集中力は猫への愛かもしれないが、この集中力があればこのまま頑張ればあるいは、と思う。 「はい、おっしまーい。シャーペン置いて」 が言うと「うがー!」と一がテーブルにシャーペンを放った。 「あー、無理!あー、出来なかった!!瑞希はどうだったんだ?」 瑞希の解答用紙を覗き込む。 「お前、山張ったのか!?」 解答用紙が意外と白いそれを見て一が声を上げた。 「......うん」 溜息のような肯定の言葉を吐いた瑞希に「すげー」と一は声を漏らす。 「んじゃ、まずはハジメちゃんから」 一が神妙な面持ちでの手元を見守る。 結果。 「48点」 「がーーー!やっぱり6割切った!!」 「5割も...切ってる」 ポソリと瑞希が突っ込む。 「瑞希、うるさいぞ!」 「じゃあ、ハジメちゃん。明日は何が良い?理科以外で」 が明日の補習の科目を問う。 「オレが決めていいのか?」 「うん。どうぞ?」 「うーん...国語!国語なら普段から話してるしな」 「間違いだらけの日本語をね」 は冷静に突っ込みをいれ、 「ま、にゃんこスポットは繰越ね。ちなみに合格点について、明日は7割以上ね。で、次回テストの前に今日の間違った箇所の解説したいんだけど、今日するのと明日のどっちが良い?」 と続ける。 「んー、今日聞いたほうが頭に入るかも。で、瑞希の結果は?」 促されては瑞希の添削をする。 は「やっぱり...」とこっそり溜息を吐いた。 「60点ジャスト。オッケーですね。でも、解答していない箇所の解説はするからね。瑞希も待ってるように」 コクリと頷いた。 まずは一の理科の解説を済ませ、本日の悠里の補習は国語なので一はそのままそちらに合流した。 猫スポットがかかっているため、一のやる気は意外と持続している。 「解説、いらないよね」 が苦笑しながら言うが 「ううん、解説。聞く」 と瑞希がからかうような表情を浮かべてそう言った。 「趣味悪いなー」 クスクスと笑う瑞希には肩を竦めた。 「じゃあ、先生。お先に失礼します」 の声に悠里の補習を受けていたメンバーは驚き、一に解説を求める。 一は先ほどまで自分たちが受けていた補習の方法を口にした。 「だから、一君はこっちにも出てるのね?」 「そう!だから先生、続けてくれ!!」 一の意気込みに翼たちは呆れもしたが何となくつられて真面目に補習を受け始めた。 「瑞希、今日何か用事ある?」 「特にはないけど。どうかした?」 手を繋ぐという約束を果たしながら帰宅しているが瑞希に声を掛ける。 「わたしがいなかったときの授業のノート、ゴロちゃんがとってくれてたんだけど。わかんなかったところがあったから教えて欲しいなーって」 の言葉に瑞希は笑顔で頷いた。 「分かった。じゃあ、僕のうちで勉強しよう」 かなり上機嫌で瑞希はそう言い、少し歩調を速めて自宅に向かった。 |
桜風
08.8.15
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