Dear my friends 34





廊下を駆ける音が近づいてきて部屋の前で止まったかと思うと勢いよくドアが開いた。

!!」

永田はゆっくりと振り返り、「斑目さん」と呟く。

この場に永田がいること自体に瑞希は驚いたが、それよりも心配なのはだ。

「大丈夫?!」

「クケー!」

「うん、永田さんに手伝ってもらって冷やしてる最中」

「斑目さんがいらしたということは...他のB6の皆さんにばれてしまったと言うことですね、さん」

「うわぁ...」と呟いて肩を竦めて顔を顰める。

動かすと痛い。

「なんですぐに言わなかったんだよ!!」

「斑目さん、ここはお任せしてもよろしいでしょうか」

永田の言葉に瑞希は頷く。

さん。他に呼んで欲しい方はいらっしゃいますか?」

「南先生をお願いできますか?女子更衣室に入れるのは先生だけなので。『お手数をおかけしますが、ジャージを取って来てください』ってと伝えていただけますか?」

「かしこまりました」と一礼をして永田が保健室を後にした。

「大丈夫!?」

「うん、まあ...てか、何で瑞希は気づいたの?」

の言葉に瑞希は怒りを露にする。

「バカ!女の子なんだから、痕がついたらどうするんだよ!!第一、火傷の治療は特に迅速に行わないといけないだろう!?はそれくらいちゃんと知ってるだろう!!」

怒鳴りながらも甲斐甲斐しくの肩を冷やすようにタオルをこまめに替えてくれる。

「うん、そうだけどさ。ウチのクラスで何かがあったら先生も大変だろうし、必要以上に責められるでしょう?やっぱりあのクラスは、って」

瑞希がこれ見よがしの深い溜息を吐いた。

「他の人の事なんてどうでもいいだろう?今朝だってクラスの人たちが何か脈絡のないことでの事を責めてたって聞いたよ。そんなクラスメイトを庇うことなんて...」

「まあ、ねー。でもさ、何かね...」

「そういうけど!はいつもそうやって...!」

まだいい足りない様子だったが、廊下を駆けてくるその足音を耳にして瑞希は口をつぐんだ。

さん!」

勢いよくドアが開いて息を切らしながら悠里が保健室に入ってきた。

「先生。ジャージは...」

「見つからなかったから、一君が貸してくれたわ」

何故...

遠い目をしてそれを受け取った。

時計を見ると随分と肩を冷やしたことになる。もういいだろうか。

「瑞希、ちょっと着替えるから」

の言葉に頷いて瑞希は一旦廊下に出た。

「手伝うわ」と申し出てくれた悠里の厚意には甘えることにした。

「どうして早く言ってくれなかったの?永田さんから聞いたときには本当に驚いたわ」

「まあ、大事にしたくなかったんですよね。火傷は慣れているつもりでしたし」

の言葉に悠里が痛ましそうな表情を見せる。

「病院には私が付き添うからね」

断ろうと思ったが、丁度いい機会かもしれない。

「お願いします。でも、そうなると...クラスの方はどうされるんですか?」

クラスXは副担任がいないクラスだ。未だに誰が副担任になるか揉めているらしい。

「他の先生にお願いするしかないわね...」

「せめてT6の先生方に頼んだ方がいいですよ。多少なりともB6の相手には慣れていると思いますから」

の言葉を聞いて「そうね」と呟き、「衣笠先生の手が空いていらっしゃったらお願いしてみるわ」と言った。

確かに、衣笠なら清春も押さえ込めるだろう。あの聖帝の小悪魔が唯一恐れる人物だ。適任かもしれない。


だぶだぶの一のジャージに着替えたため、廊下にいるはずの瑞希に声を掛ける。

「......病院?」

「私が付き添うわ。タクシー呼んでくるわね」

悠里が慌しく保健室から出て行った。

の荷物は?」

不機嫌な瑞希に言われて「あー...」と呟く。

「女子更衣室の中。瑞希には頼めないね」

「女子に、頼んでみる。待ってて」

そう言って瑞希も部屋を出た。

「おやおや。永田さんから聞きましたよ」

瑞希と入れ違いで人が入ってきた。衣笠だ。

「あー、ご迷惑をおかけします」

ぺこりとが頭を下げると衣笠はいつもどおりの穏やかな笑顔を浮かべたまま

さんはあまり大人に迷惑を掛けた経験がないから、まだまだ迷惑を掛けてもいいですよ」

と言う。

「さっき、南先生がお話されていたんですけど。南先生が病院に付き添ってくださるらしいので、教室の方は衣笠先生にお願いしようか、と」

「ああ、そのことならさっき廊下で悠里先生にお会いしたときに聞きましたよ。大丈夫、僕がしっかり指導しますよ」

「先生のその笑顔で“指導”って言われるともの凄く怖く感じるのは何故でしょうか?」

「よく言われます」

やはり穏やかな笑顔を浮かべたまま衣笠が言う。

「病院、ですけど。大丈夫ですか?」

は苦笑して

「今回はもう仕方ないです。ああ、明日以降数日休むかもしれません」

と呟く。

「担任の悠里先生が把握されたらそれでいいですよ」

そんな話をしていると悠里が戻ってきて、「鳳先生が車を出してくださるって仰ってくださったわ」と言われては天を仰いだ。

何だか大事になっている。

「あ、さんの荷物!!」

そう言って悠里が慌しく保健室を出て行こうとした途端、瑞希が戻ってきた。

の鞄を手にしている。

「あ、瑞希ありがとう」

「瑞希君。さんは早退ということになるからクラスのみんなにはそう伝えてね」

悠里にそう言われて瑞希は頷いてに心配そうな視線を向けた。

「大丈夫だって」

が笑顔を浮かべてもその表情は変わらなかった。









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桜風
08.8.29


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