Dear my friends 35





さん、無茶をしたね」

鳳の車に乗った途端そういわれた。

ああ、もう本当に...次に登校したときB6にも怒られるんだろうなー...

そんな事を思ったがそれも何だかくすぐったい気がして少し戸惑った。

自分を心配してくれる存在があるというのはこうも温かいものだったのだと今更ながら気がついた。

「そっか。贅沢だ...」

「何か言った?痛いの?」

悠里が心配そうに顔を覗きこんでくる。

「いいえ」と返しては窓の外に顔を向ける。

痛いと訴えることを知らない。聞いてくれる人がいなかったから。

嬉しいと伝える相手も今までいなかった。でも、今はいる。

学校とはそういうところだったのだ。知らなかった...


「痕は、薄く残るかもしれませんね」

「何とかなりませんか?」

医師の言葉に悠里はそう言ったが医師は首を振った。

「仕方ないですよ。応急処置が少し遅れましたから」

はそう言いながら一のジャージをまた着た。

これ、洗って返さないと...

そんな事を思いながらは診察室を後にした。

「そういえば、先生。まだ言ってなかったのですが」

そう言って切り出したの言葉に悠里は驚いて暫く言葉が出なかった。

「それは、みんなも知ってるの?」

「ナイショにしていてください」

人差し指を口に当ててが言った。

「でも...」と言う悠里に「お願いします」と重ねて言った。

「分かったわ」

「でも、センターは受けますよ。クラス全員が受けないと先生の成績に響くんでしょ?」

の言葉に悠里は俯いた。

「いいえ、そんなの関係ないわ。さんはさんの思うとおりにすればいいもの」

「受けますよ。南先生には恩返しをしたいって思ってますから」

の言葉に悠里は複雑そうな表情を浮かべた。

「全然教師として未熟だけどね。がむしゃらにしてるだけよ」

「それがいいんですよ。先生が一生懸命だから、みんなも少しずつだけど頑張ってるんですよ」

の言葉に悠里は嬉しそうに微笑んだ。

さんにそう言われると嬉しいわ」

「お世辞ではないことも、一応付け足しておきますね」

そう言ったに悠里は噴出した。

鳳には学校に帰ってもらったので帰りはタクシーだ。


病院の建物から出て落としていた携帯の電源を入れるとメールが数通入っていた。

多くは悟郎からだが、一や翼たちからも届いている。

「そういえば、悟郎君は随分みんなに怒られたみたいよ」

みんなと言うと、あの場に残らなかった瑞希を除いたB6だろう。怖いだろうなー...

はダイヤルを選択して悟郎に電話を掛けてみた。

ちゃん!』

「もしもし、ゴロちゃん?大丈夫だから心配しないでね」

『痕は?』

「...綺麗に治るって。だから、本当に心配しなくていいよ。そこにハジメちゃんいる?」

『うん、いるよ。ちゃん、痕が残るようだったらちゃんと言ってよ。ゴロちゃん、責任とってお嫁さんになってあげる!!』

「ダブルウェディングだね...えーと、もし良かったらハジメちゃんと電話変わってくれる?」

の言葉に悟郎は了承して電話を一に渡す。

『どうした?』

「ハジメちゃ..一。ジャージは洗って返すから」

『今、言ったよな?“ハジメちゃん”って言ったよな?!』

「言ってないよー」とは誤魔化すが

『よーし、ペナルティな。もう10回目だろう』

の言葉は黙殺してそう言った。

「違う違う、まだ7回」

が自信満々そういうから「そうだったっけか?」と一は納得した。本当は12回目だ。

『明日は来るのか?というかどっちの肩だ?』

「右。あ...」

自分で答えて思い出した。

家の中にある刃物、特に包丁は右利きのものだ。

は左でもいけるが、包丁自体が右利きしか受付けない。

『飯、作れるのか?』

「まあ、何とかするわ。コンビニって手もあるしね」

『手伝いがいるなら電話しろよ。瞬みたいにバイトを入れてるとかないから大抵暇してるからな』

「心強いねー。さすがB6のお母さん!」

の言葉に「何言ってんだよ」と笑いながら一は返してそのまま電源を切った。

「本当に、一君は面倒見が良いと言うか...」

電話をしているの横に立っていた悠里が苦笑する。

「あ、お待たせして失礼しました」

「いいのよ。明日は大事とって休むの?」

「着替えられたら行きます。ゴロちゃんが気にすると思うので」

さんも本当に面倒見が良いと言うか...さすが、お姉ちゃんね」

悠里の言葉には苦笑を返した。








Next


桜風
08.8.29


ブラウザを閉じてお戻りください