Dear my friends 36





本日のによる補習は休みだと悠里に伝えた。

最近は一や瑞希以外も見るようになった。

どうやら、の補習の仕方にもB6のメンバーは興味があったらしく、じゃあ、ローテーションでという話になった。

瑞希は少し不満そうだったがそれでも承諾し、は清春と瞬はセットにならないことを条件にそれも引き受けた。


用事を済ませて帰宅の途につく。

所謂裏路地と呼ばれる道の前に差し掛かって足を止めた。

裏路地と言うものは大抵近道になっているはずだ。

「通ってみようか...」

呟いてはそちらに足を向けた。

暫く歩いていると、迷った。

「んー...」

来た道を戻るか。

そう思って回れ右をしたら人にぶつかってしまった。

謝ると人生2度目のナンパと言うか、因縁をつけられてしまった。

「ぶつかったことに関しては謝ります。それ以上は飲めません」

そう断ると男たちが声を上げて脅し始める。

腕を掴まれて顔を顰める。

ちょっと、痛い...

「おい、何してんだよ」

毎日聞く声。でも、その声音は初めて聞くものだ。

「手ぇ、離せ。そいつはオレの幼馴染だ」

そう言った一の言葉に男は慌てて手を離す。

「まだ何もしてないから!」

「な!?」

そう言って男たちは慌てて走って去っていった。

学校で噂には聞いていたが、一は本当に噂の事をしていたようだ。

「何やってんだよ。裏路地は危ないって、何となくでも想像つくだろう?」

でも、自分を心配してくれるその声と表情はいつもの一で変わらない。

「補習は?」

が問うと

「あー、サボっちまったなー」

と少しだけばつの悪そうな表情を浮かべた。

「先生落ち込んでるかもよ」

「明日は出るよ」

そう会話をしながら並んで歩く。


「ハジメ先輩!」

呼び止められたらしく、振り返ると以前に「いい気になるな」と言った男の子が立っている。

「あっちで喧嘩してますよ!行きましょうよ。先輩が加わったらあっという間に終わっちゃいますよ!!」

目を輝かせて少年は言う。

「あー...」と言って一はを見下ろす。

「や、いいわ。誰かが襲われてるわけでもないんだろう?こいつを巻き込むわけに行かないし」

そう言っての背中を押してこの場を去るように促した。

「ちょ..!ハジメ先輩!?」

「お前も危ないからとっとと帰れよ」

そう言って名前を呼び続ける後輩を振り返らずにの手を引いてその場を後にした。

「ねえ、ホントだったんだね」

の言葉が何を指してるのかが分かって一は視線を逸らす。

「何か、噂を聞いたときには何だか想像つかなかったけど」

「幻滅しただろ?」

呟くように低く一が言う。

「うーん、喧嘩はよくないけど。ハジメちゃんが何で喧嘩するのか。それが知りたいかな?」

「...刺激が足りないからだよ」

「誰かを傷つけたら、満足できるの?ナイフとか、そういう道具に頼って、それを使って誰かを傷つけて。それでハジメちゃんは満たされるの?それに..!」

がまだ言葉を重ねようとしたら唇を塞がれた。

「“ハジメちゃん”ってさっきから言ってるからな。10回目のペナルティだ」

これ以上に自分を否定してほしくなかった。だから、咄嗟にとった行動がそれになった。

「で、一。話を戻すけど」

「戻すのかよ!!」

があっさり何でもないことのように言うから一も驚いて思わず突っ込んでしまった。

「てか、お前。オレにキスされたのに気にならないのか?こう...気まずいとか」

寧ろそういう風になってほしいと思ってこの場でキスしたのに。

「犬に舐められたと思ったらそこまでは...」

の言葉に一がムッとした。

「何でにゃんこじゃないんだよ」

「問題はそこ?だって、こんな大きなにゃんこはいないでしょ?」

今度はが笑いながらそう突っ込む。

「さっきの一を呼び止めてた子。知り合いなんだよね?」

「あー...何か懐かれてさ」

少しだけ困ったように一が呟く。

「前も、先生にちょっと突っかかってさ。アイツ、オレを勘違いしてるよ」

「小さい子は喧嘩が強い人が強い人だって思っちゃうからね」

の言葉を耳にして彼女を見下ろす。

「オレが弱いって言いたいのか?」

「まだ、ナイフを持ってるのならね。拳を交えるだけの勝負だったらまあ、男同士の友情を温めるのにアリかな?って思う..かな?『強いな、お前』『お前だって、やるな』とかそういう展開で」

の言葉に一は「何だよ、それ」と噴出した。

「...オレも、辞めたいって思うようにはなった..かな?」

「出来れば、わたしも一に無意味な喧嘩はやめてほしいよ」

が応えると「ん、」と一も短く応えた。









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桜風
08.9.5


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