Dear my friends 37





最近、は学校で敵意に満ちた視線を背中に受ける。

が、まあ。いつもの事かもしれないと思って放っておいた。

教室移動の際、階段を下りていると背中を押された。

「瞬、避けて!!」

そう言っては床を蹴って階段から飛び降り、の先を歩いていた瞬は慌てて避けた。

着地しては暫く屈んでいた。

流石に階段の上から飛び降りたら足が痛い。

、突然どうしたんだ?」

「あ、いや。足を踏み外して。蒲田行進曲もびっくりな階段落ちをする勇気がなかったから、飛び降りた方が安全かと思って。ほら、瞬って反射神経はいいから」

そう言って苦笑いを浮かべるに瞬は大仰に溜息を吐いた。

「お前なぁ。俺が怪我をしたらどうするつもりだったんだ。ベースが弾けなくなるだろうが」

あー、もうね。はいはい...

そう思いながら「ごめんね」とは謝った。

、水色」

先に階段下に下りていた一がイタズラっぽく笑いながら言う。

一瞬何の事だか分からなかったはきょとんとしてやがて赤くなる。

「忘れろ!今すぐ忘れろ!!普段の記憶力の悪さを最大限に発揮してよ!!今がそのチャンスよ!!」

そう言いながら背伸びをして一の頭を振る。

本日のの下着の色がそれだったりする。

頭を振られている一は「ははは」と笑いながら「水色」ともう一度言った。

「黙れーー!」

が一のほっぺを引っ張ってみる。

ぶっと噴出し、やがて爆笑を始める。

「一、面白い顔!!」

「ひへぇ、へぇははへ!」

そう言いながらの頬を引っ張る。

「おい、じゃれてないで早く行くぞ。猫と犬。遅れるぞ」

と一は手をぱっと離した。

「翼、オレがにゃんこだよな!」

まだ拘るか...

は苦笑しながら1歩足を勧めて振り返って階段の上を見ると一を慕っていたあの男子が憎しみを込めた視線をに向けていた。

先ほど階段を蹴る前に一度振り返ると彼の顔が見えたがもしかして気のせいだったかもしれないと思って確認のために振り返ってみるとあの彼の姿があった。

ちゃん?置いていくよ?それともサボる??」

悟郎に声をかけられて「今行く」とは駆け出した。


それから校内での嫌がらせは続いた。

「おい、最近何か変じゃねぇか?」

清春が聞いてきた。

「わたし?」

「じゃなくて、お前の周り。いや、オメェはいつも変だけど。階段をしょっちゅう踏み外してるし、植木鉢が降って来るし。おかしくねぇの?」

「心配してくれるんだ?優しいねー、ハル」

がからかうように言うとチッと舌打ちをしてどこかに行ってしまった。

しかし、明確な理由が分からないのだからどうしようもない。

でも、たぶん一がらみなのは想像がつく。

もの凄く彼が一を慕っているというのは分かっているから。



「おっまえ!なんで俺のイタズラに引っかからないくせにこういうのには掛かるんだよ!っつうか、犯人分かってんだろ!!言えよ!!」

ずぶ濡れになり、教室に戻ってきたを見て清春が切れた。

「バケツをひっくり返したような雨水が...」

「雨なんて降ってねぇだろうが!あー、もう!!」

もの凄く悔しそうだ。

清春のイタズラに引っかからないのは仕掛けがあるから。それが目の端に入って違和感としての注意力を働かせることに繋がっている。けど、それを言ったらもっと凝ったイタズラを仕掛けられかねないから清春には言わない。


「ホントか!?」

教室の隅で瞬と一が話をしていた。

今回のバケツ事件を瞬が目撃していたのだ。犯人が誰かも見た。

「ああ、お前を慕っているあの下級生の..何と言ったか。あいつが2階からバケツをひっくり返していたぞ」

「坂下...」

名前を低く呟く。


ジャージに着替えて戻ってくると教室から駆け出した一とすれ違った。

その表情を見ては首を傾げた。

もの凄く怒っている。

教室の中に入ると瞬と目が合った。何か知ってるような表情を浮かべている。

「一、どうして出てったの?」

聞いてみると先ほどの一との遣り取りを教えてくれる。

「坂下君って、何組だっけ?」

悟郎を捕まえて聞いてみた。彼は意外とそういうことを知っている。

「たしか、Aだったと思うけど...」

「ありがとう」と言っては駆け出した。









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桜風
08.9.5


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