Dear my friends 45





「何、それ...」

この学校に転入してきて一番意味の分からない言葉を聞いた気がした。

「ハジメ、ちゃんに話してなかったの?」

「や、瑞希辺りがいうかと思って」

「......翼」

「What!?俺か!!??いや、俺は清春が言うかと思っていたぞ...」

「なァんでオレ様がヘチャに態々教えてやらなきゃならねェんだよ。貧乏生活仲間でナナ辺りが言ってやるもんじゃないのか?」

「はあ?!何で俺になるんだ。こういうことを嬉々として話すのは風門寺だろう?」

見事にループした。

凄い、みんな...

は変なところで感心しながら誰が詳しく話してくれるのだろうかと待ってみた。

「えーとな?聖帝祭ってのは...」

結局、一が教えてくれるらしい。


「正装!?」

「そう、女子はイブニングドレスね。ゴロちゃん、去年もポペラ可愛いドレスだったんだよ」

は一度深呼吸をして笑顔を浮かべた。

「しかも、男子のエスコートがないといけないって...うん。わたし、その日は風邪を引いてお休みするわ」

「いやいや。お前、堂々とサボる宣言するなよ」

呆れたように一が言う。

「それがいい、うん。そうするから気にしないでー」

ははは、と笑いながらが言う。

「えー、一緒にドレス着ようよ!」

悟郎がそういう。

ああ、悟郎は今年もドレスなんだ。

「翼、今年もゴロちゃんのドレス作ってね!ちゃんもお揃いで」

「What!?何で俺がお前のドレスを作らなきゃならんのだ??」

頓狂な声を上げて翼が抗議をするが、結局悟郎の粘り勝ちとなった。

「ほら、お揃いを作ってくれるんだよ。あ、翼。センセのも!!」

「あー、分かった分かった」

面倒くさそうに承諾する。

「いや、さん欠席でーす」

挙手してが言うがそれは誰も拾ってもらえず、誰がエスコートをするかという話し合いが始まった。

先生もいるから6人のうち2人が今年はエスコート有りだなとか確認している。

「もっしもーし!」

「ああ、気にしなくていいから。それとも、希望者いるのか?」

「いないけど。わたしの意見は何処に??」

一に訴えるが「欠席以外の意見なら多少聞くぞ」と返されて項垂れた。

何だってこの人たちは本人の意見なしに話を進めるのだろうか...

「くじで決めたら?早く終わるよ??」

が投げやり気味に言うと全員がポンと手を叩いた。

「さすがだな、。学年トップは伊達ではないと言うことだな」

「どーもー」

心から感心されては遠い目をしながら応えた。

くじの結果、悠里は悟郎、は瞬となった。

というか、こうなったら聖帝祭の前日に薄着で過ごして本当に風邪でも引いてやろうか...

何となくそう思いながら6人の光景を眺めていた。

「ゴロちゃん、早く先生に申し込んでこないと。先生方も参加なら生徒を誘う先生なんていないだろうから先生方が話してるかもよ」

「そんなの、ポペラ許せない!ゴロちゃん、行ってきます!!」

敬礼をしてダッシュでバカサイユを出て行った。

「まあ、くじで決まったことだし。瞬、を頼むなー」

「ふん。全く、草薙は本当にの兄貴のようだな」

照れくさいのか、瞬はそう呟く。

「本当にねー...」

苦笑しながらも同意する。

「あ。でも、わたしダンスなんて出来ないよ。ワルツとかでしょ?」

の言葉にみなの視線が集中する。

「マジで?」

「世の女子高生は普通踊れないものなのよ?常識。常識だからね!!」

自分は悪くないと訴える。

「まあ、リードがよければ踊れるだろう。気にするな。庶民なんだから仕方ない」

翼の言葉に「ケッ」と言いたくなったがそれは我慢した。

いくらなんでも品がないし、本人に悪気が全くないのだ。


「話は変わるけど、冬休みこそおじさんたちこっちに帰ってくるんだろう?正月があるし」

「帰ってこないと思う。この間ニューヨークのカウントダウンに行くって星太からメールが来たし。北海道の人は白鳥を見に行くってメールしてきたし。というか、夏休み前も似た会話をしたよね」

「ひとり?」

瑞希が問う。

「うん、ひとりの年越しだよ。気が楽でいいよ」

が言うと瑞希がすっくと立ち上がった。

「瑞希が、遊びに行くって」

一が訳す。

「別に構わないけど...ただし、何か食べ物を持ってくるように」

「......餅」

「おー、いいね!お正月らしい。ついでだから、昼から来て大掃除手伝ってよ」

さらりとそう言う。

おいおい...

その場にいた全員がそう突っ込みをっころの中で入れたが、「うん」と瑞希は頷いた。

「ありがとー!」

は笑顔で礼を言う。

「んじゃ、オレも行くわ。暇だし」

「ありがとう、お礼に勉強見てあげるよー」

今更、今の言葉を取り消しってワケにはいかないだろうか...

一は心から後悔した。



悠里に今回の聖誕祭の話をされて彼女も自分と同じ感覚であることに多少なりとも安心した。

「先生、ちょっとご相談と言うか...提案?」

が言う。

「何かしら?」

「文化祭で実現できなかったこと、実現させてみませんか?」

の言葉に悠里は目を丸くしたが、力強く頷いた。

文化祭で悠里は瞬のヴィスコンティのライブが出来ないか校長に直談判した。

が、剣もほろろといった感じで却下されたのだ。

「今からなら結構根回しが出来ますよ」

あの時は悠里が突っ走って独りで何とかしようとしたから却下されたのだろう。

「やってみましょうか」

悠里はそう言って拳を握る。

「目指せ、聖帝祭ライブ!!」

拳を天に突き上げてそう叫んだ。

「ちょ、ちょっとさんも!!」

「は!?」

「目指せ、聖帝祭ライブ!!オー!!」

「...おー」

もの凄くノリの良い先生だということをすっかり忘れていた...

ここでも自分の意思というか意見が流されそうだと今更ながらに後悔して来た。









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桜風
08.9.26


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