Dear my friends 46





「と言うわけで、協力してください」

さん?」

二階堂を廊下で見つけて事の経緯を話して協力をお願いしてみた。

流石に突然過ぎたのか、二階堂は困った表情を浮かべている。

「しかし、校長が...」

「だから、校長先生を説得するのに協力してくださいとお願いしているんです。ロックバンドの何がいけないんですか?」

まっすぐに目を見てが問うた。

二階堂が応えあぐねていると

「ロックもクラシックも音楽のジャンルという意味では同じです。日本人とアメリカ人とかいう違い程度のものではありませんか?どちらもホモサピエンスです。日本人は良くてアメリカ人はダメだといっているようなものですよ?」

と畳み掛けてくる。

それからはそのまま延々と説得を続けて結局二階堂を頷かせた。

「じゃあ、真田先生にも声を掛けてくださいね」

そう言って別の教師に当たってみる。

悠里の話だと、九影は今回の話に賛成して一緒に校長を説得してくれるそうだ。



「おい、

「あー、翼おはよう。どうしたの??」

今朝も早く登校して教師の説得に駆け回っていた。

校長一人が反対しても仕方ない。後押しする人物が多ければ頑なに彼も反対することは出来ないだろう。

「聞いたぞ」

「何を?」

「今度こそライブを実現させるつもりらしいな」

「まあ、ね。生徒主体のイベントなら実現可能じゃないかと思って。それに、前の文化祭の時には実現しなくて落胆した生徒が少なくなかったんだよ。あ、でも瞬にはナイショね?まだ出来るかどうかわからないから。出来なかったらまたショックかもしれないし」

が言うと翼ははぁ、と溜息を吐いた。

「まったく。俺に声を掛けてこんとはどういう了解だ!?」

翼の言いたいことが分からないは首を傾げた。

「...了見のこと?」

「この学園に、真壁財閥は結構な寄付をしているんだ。発言力はあるぞ。俺は真壁財閥の次期総帥だ」

ああ、そういえばそういう話も聞いたことがある。

「じゃあ、協力してくれるの?」

「Shit!だから、今そう言っただろうが。お前の耳は節穴か?」

心底呆れたように翼がそういうが、きっとこれは照れ隠しだ。

「...耳に対して“節穴”って表現はないと思う」

呆れながらはそう言ったが、一方で翼のこの申し出はとても助かる。

何か、勝てる気がしてきた。

「...普段のお前らしくない表情だな」

翼にそう言われては首をかしげる。

「凄く、悪代官っぽい表情を浮かべていたぞ。企み顔、というのか?」

「そんな酷い貌してた?」

「俺は、まあ。嫌いではないがな」

その日、昼休みに代変わりした生徒会長を説得して生徒会の推薦ももぎ取った。

それについて岡崎に文句を言われたが、結局彼はもう過去の生徒会長で今は権限がないことを指摘し、黙らせた。


そして、放課後。

と悠里が取り付けた職員室の半数以上の賛成意見と昼間の生徒会の推薦、そして翼の真壁財閥の寄付等の大人の交渉の甲斐もあって、聖帝祭での瞬のヴィスコンティのライブの許可が下りた。

さん、凄いわ!」

職員室の教師の賛成票の半数以上はがもぎ取ったものだった。

「いいえー。多くの大人の習性を利用しただけです」

T6は二階堂と真田以外は悠里が説得したが、それ以外の教師はまだ年若いキャリアの短い悠里の説得に中々動かされなかった。

だから、ダメ押しとばかりにが生徒という立場を利用したのだ。

はクラスXであるが、同時に学年首位で全国模試でも順位は上位だ。

学校の教師というのは成績の良い生徒には甘い。

だから、は勉強をしている。

大人につけ込まれることがないように、と両親が離婚してからずっと勉強をしていた。

親が自分や弟を守ってくれないなら、それ以外の大人を味方につければ良い。そうやって自分を守ってきたのだ。

そのことが今回非常に役立ったと言うだけの話だ。

「じゃあ、私瞬君に報告してくるわね!」

そう言って悠里は駆け出した。

「翼も今日は先生の補習でしょ?」

「ああ、そうだな」

に促されて翼も悠里の後を追った。

ふらり、とがよろけた。

「無茶しすぎですよ」

振り返ると衣笠がいた。

「何だか、嬉しくて。ん?嬉しい?楽しい...?よく分からないんですけど、つい」

が寂しそうに微笑む。

その表情を見て衣笠も目を伏せた。

「さあ、さんは教室で補習でしょう?今日は誰ですか?」

「仙道くんと..斑目くんです」

「両極端な2人ですね」

苦笑しながら衣笠がそう言い、も笑いながら頷いた。









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桜風
08.10.3


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