| 夕方になると清春が来て、夜には永田を引き連れた翼もやってきた。 「瞬は来るのか?」 翼がお土産を渡しながらそう聞く。 確かに、お土産持って来いとは言ったが... 「まだ連絡ない。来るかどうかもわかんないって言ってたでしょ?てか、翼はお家の用事はないの?」 がそれを受け取って聞いた。 「ああ、終わった。おい、。drinkくらいさっさと出せ。気が利かんな」 雑巾絞り茶でいいなら今すぐ出してやるのに!! そう思いながら「何が良いのさ」と聞く。 「コーヒーで良い。ああ、庶民の豆でいいぞ」 「そりゃ、お気遣いどうも」 昼間、一と買い物に出てもらったのは近所の百均で食器を購入するためだった。足りないのは分かってるし。 勿論、食材も購入している。 「って、ハル!そっちは見たらダメだってんでしょ!!」 「そォ言われると、見たくなるのが人間だろうが!!」 そう言って皆がいる部屋と続きになっている部屋のドアを開けた。そこはが寝室にしている部屋だ。 「...ヘチャ。片付け、下手だな」 呆れた風に言われた。 「違う!こっちにあったのを取り敢えずそっちに投げただけよ!!」 思い切り不本意な評価であるため、ムキになって否定し、ドアを閉めに向かう。 「ん?ちゃん。アレ何?」 そう言って部屋の中を指差した。 「ん?ああ...」 は苦笑してそのまま応えなかった。 「って、ハル!部屋に入るなーーー!!」 ドタドタとの部屋の中に入り、悟郎が指摘したそれを取ってくる。 「バイオリン?」 「、バイオリン習ってたのか?」 瑞希が呟き、一が感心したように聞く。 は深く息を吐いた。 「習ってない。最初の家から引っ越すときにあったから何となく持ってきて、そのまま勉強の合間の気分転換に本を見ながら練習してみたの。だから、素人のまま」 「おい、。俺のdrinkはまだか!?」 清春が部屋の中を色々漁り始めたのでそれを止めていると翼に言われた。 「ああ、すみませんね。行き届きませんで」 「全くだ!」 本人に悪気がなくても、ムカつくことはムカつくよなー... そう思いながら、は翼と永田のコーヒーを淹れ終って2人にカップを渡した。 「で、一応聞くけど。ハルと翼。今日はどうするの?」 「ぁあ?どういうことだ?」 「オレたち、泊まるつもりで来てるんだよ。雑魚寝になるけどな」 その言葉に清春はきょとんとしたが、「へぇ...じゃあ、オレ様も泊まってやるぜ」と言い、「ふむ。面白そうだ。狭いのは庶民の家だから仕方ないな」と翼もその気になってしまった。 が一応永田を見ると「私は頃合いを見て帰宅させていただきます」と言った。 これが、普通の反応だろう。常識だろう!? 「なあ、。1曲弾いてくれよ」 一が言う。 さっきからチラチラとバイオリンを見ていたからいつか言うだろうと思っていたが... 「近所迷惑だからダメ」 「えーーー!ゴロちゃんもポペラ聞きたい!!」 一と悟郎のわがまま攻撃に時々瑞希の「聞きたい」という呟きが合いの手のように入る。 あー、本当ににぎやかだなと思っていると携帯が鳴った。 「もしもーし」 「ハル!人の携帯に勝手に出ないで!!」 鳴ったのはの携帯なのに、出たのは清春。 がそのまま奪い返して「もしもし」と気を取り直して言うと「ああ、仙道もいるのか」と瞬の声がした。 「バイト終わったの?」 「ああ、終わったが...本当に全員集まっているのか?」 「うん、瞬が来たら全員集合。もう5人も6人も同じだから好きにしていいよー」 が苦笑しながら言うと「じゃあ、今から行く」と通話を切った。 「どうでもいいけど。みんな夕飯どうする?作る??」 そろそろおなかが空いてきた。 悟郎が山のように持って来たお菓子も随分食べたが何だか物足りない。というか菓子を食べていたのは殆ど一と悟郎と清春だ。 「んー、でも。さっきからちゃんずっと何か作ってたし...ピザ取ろうよ。ゴロちゃん、ピザが食べたなり!!」 「ピザかー、いいな!」 一が同意する。 「Pizza?!まあ、いいだろう」 「よーし、ヘチャ。チラシくらい持ってるんだろう?早く出せ」 ...なんか、自分がB6の小間使いのように思えてきた。 たしか、ここら辺に... そう思いながら先日自分の家のポストに入っていた宅配ピザのチラシを探し出して清春に渡した。 再び部屋の中がにぎやかになる。 何を食べるかで揉め始めたようだ。 「あのさ、一が居るんだから。少しくらい多くても始末してくれるよ。あの胃の中に」 面倒だなーと思いながらが言うと「任せとけ!」と一が得意げにグッと拳を握る。 「じゃあ、ゴロちゃんはこれが食べたい!」 「オレ様はこれだなー」 「......これ」 「じゃあ、俺はこれだな」 「は?オレはこれがいいんだけど」 本気でみんな1枚ずつ注文するのだろうか... 自分の常識が通じない。 「みんなの摘ませてもらうつもりだから。瞬はどうするんだろう」 「と同じくこの中で食いたいの食わせりゃいいんじゃないか?」 そう言いながら一が携帯を取り出して注文を始める。 「翼って、こういうの食べるの初めて?」 「ああ...そうだな」 いつも自分が口にするものは一流のシェフが作ったものに限っている。 「じゃあ、初体験だ?」 「そうだな。まあ、まずいのを覚悟しておく」 「...まずくはないけど、口には合わないかもね」 は苦笑しながらそう声をかけてキッチンに向かう。 翼が持ってきたお土産の処理をしなくてはならないのだ。 |
桜風
08.10.10
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