| 「おい、斑目」 声を掛けらて振り返るとよくに突っかかっていたクラスAの生徒が立っていた。以前にカンニング疑惑を向け、更には彼女の父親を以って彼女を侮辱した人物。 元々一度見たものは忘れないが、彼の事はそういった経緯もあって忘れない。 「あら、1年一貫して36位を貫き通したギリギリクラスAの...誰だっけ?まあ、初志貫徹って素晴らしいことだと思うわ」 は覚える気がないものは覚えない。 彼女は天才ではなくて、努力で手にしたその実力だから。勝手に頭に入ってきてそれが留まることはないのだ。 「お前に声をかけてるんじゃない!斑目、お前があの点数を取れるはずがない。そいつと違ってB6だろうが!!カンニングしたとしか思えん!!」 あれ?何か少し認められてしまっている。というか、何かあればカンニング。時々奇跡とか思えないのだろうか...? はそう思いながら瑞希を見上げ、それを受けて瑞希は面倒くさそうに溜息を吐いた。 「行こう、」 そう言って瑞希はの手を取り、彼を無視してバカサイユへと足を向けた。 「実は僕、天才だったんだ」 他の誰にも言うつもりはなかった。 だが、B6のメンバーにだけは言うとセンターを受験すると決めたときに決めていた。 「...は?ミズキ、今なんて?」 悟郎が聞き返すが瑞希は彼に視線を向けて 「というわけだから」 と話を結んだ。 「What...?ちょっと待て、どういうことだ!?」 一斉に皆がに視線を向ける。 「まあ、そういうこと。瑞希はお馬鹿さんのフリをしてたの」 「知ってたのか!?は知ってて瑞希に補習とかしてたのか!!!???」 驚いた風に一が言う。 「まあ、そうだね。わたしがサボってたときの授業については逆に瑞希に教えてもらってたし」 がさらりと言い、皆が唖然とする。 「え、ちょっと待て。マダラは、ヘチャよりも頭が良いってことか!?」 「天才、だから」 いつものテンションで瑞希が応える。 ポカンと皆は面白い顔を並べたが「まあ、いっか」と誰かが言った。 「ちょっと驚いたけどなー」 と一が笑いながら言う。 が瑞希を見ると嬉しそうに微笑む。 ヒトが嫌いでも瑞希が学校に行っていたのは、きっと彼らが居たからだなと納得した。 本当に、緩いというか。安心する存在だ。 「ホンチャンの試験はどうすんだ?」 一が聞いた。 「まだ、決めてない。受けないかも...」 「そういや、は何処を受けるんだ?」 「ヒミツ〜!大丈夫、みんなの受験勉強ちゃんと見てあげるから」 は軽くそう言ってその話題をかわした。 「まあ、ちゃんならより取り見取りだよねー。ん?ちゃん将来何になるの?」 悟郎が問うと「研究者以外の何か」とが短く応えた。 この瑞希の告白に同席していた悠里は驚いたようにに視線を向ける。 何となくだが、の性格や得意な教科、好きな教科を考えたらそちら向きだと思う。 だが、その職業は両親と同じになる。 だから、きっとそれは嫌だったのだろう。 「ちゃんって、どうして勉強してるの?」 「大人が黙るから」 「どういうこと?」 「学校内では、成績が良かったら多少の事には目を瞑ってもらえるし。成績がいいからという理由で庇われたり。まあ、学年主任見てたら分かるでしょ?」 は成績がいいので、多少の事には学年主任自ら目を瞑っている。 1週間以上学校をサボっても何の厭味も言われなかった。 「学生である以上、1日の半分近くは学校で過ごすからね。大人受けがいいほうが色々と得なのよ」 はただそれだけのために勉強をしたと言う。 「...ちなみに、。どれくらい勉強してたんだ?」 好奇心に負けて瞬が聞いてみる。 「だいたい8時間以上かな?中学以降の話だけど。小学生のときまでは放課後は遊んだりしてたから」 皆はの言葉に絶句した。 8時間の勉強時間って...自分たちがやろうと思ったらもの凄く大変そうだ。 シンとした空気を払拭するかのようにはパンパンと手を叩いて「ま、わたしの話はこれくらいでいいでしょ?」と話を終える。 「それはともかく。みんなのセンター結果を見せてもらったけど。頑張れば行けるでしょ」 が軽く言う。 「って!ヘチャ!何で知ってんだよ!!」 「今更隠すような点数じゃないでしょ?ほーら、皆、志望校教えなさい。あと1ヶ月しごいてあげますよー」 両手を軽く閉じたり開いたりしながらは不敵な笑みを浮かべた。 「うげー!」と悲鳴のような声を出して瑞希以外は顔をゆがめた。 その様子を瑞希は嬉しそうに眺める。 皆の進路希望を聞き、それについて悠里と対策を話した。 「、一緒に帰ろう」 瑞希が言うとが断った。 これから書店に行くと言う。 「まさか、みんなの受ける学校の問題集を...?」 「一度解いてみないと傾向がわかんないでしょ?」 「でも、の受験は?」 瑞希の言葉には微笑んで何も返さなかった。 「じゃあ、ね。明日は一緒に帰ろう。...って、まさか瑞希はまだ補習受けるの?」 「うん、趣味」 やな趣味だ... 自分よりも賢い人間を教えるなんて。 「カモフラージュ」 何の!?と言いたかったがは言葉を飲んで頷いた。 瑞希は言い出したら聞かない。さすが、末っ子。 どこかすっきりしたような表情を浮かべている瑞希には苦笑して手を振って帰っていった。 |
桜風
08.10.31
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