Dear my friends 60





学校中がそわそわし始めた。

ちゃん!」

悟郎が声をかけてきた。

「あのねー、ゴロちゃんねー。ちゃんにお願いって言うか、相談っていうかがあるの」

「何?」

キョロキョロと悟郎は周囲を見渡して「此処ではなんだから、屋上に行こうよ」と誘われてはそれに従った。


「相談とは?」

「あのね、明日。ちゃんの家に泊まっていい?」

「...お泊り補習?」

の言葉に悟郎は頬を膨らませる。

「ポペラ違うよ!もう!ちゃんもオトメでしょう!?明後日は何の日?!」

「お菓子屋さんの策略によって世の男性陣が踊らされる日」

「そう!バレンタイン!!」

は少し、否かなり厭味を込めていったのに、悟郎は全くそういうのを気にしないで肯定した。

「それで、家で..ゴロちゃんが作るの?」

ちゃんも作るに決まってるでしょ!あ!!センセも誘ってみようよ」

「どちらでも」

の返事に「オッケー!ゴロちゃん、ポペラ楽しみ〜!!」と言いながら悟郎はを置き去りにして屋上を後にした。

しかし、悠里もか...

以前悠里手作りの弁当を目にしたことがある。

何故か真っ黒だった。

ご飯もとろけていた。

でも文明の利器、炊飯器を使って作ったらしい。

悠里の家の炊飯器が凄く特殊な造りなのだろうか。彼女がそれを不思議と思っていないということは、彼女の家でご飯を食べようとすればあれがデフォルトだということだ。

「凄いなぁ...」

ある種の天才だと思う。


「ポペラお邪魔しまーす!」

「お邪魔します...」

本当に悟郎と悠里が2月13日にやってきた。

何を作るかわからないから、材料は自分たち持参と言うことを告げて集まったのだが...

「先生は何を作られるのですか?」

「チョコよ。まあ、溶かして固めるだけのものにしようかと思うの。みんなにメッセージを書くの」

それはいい。

凝ったのを作ろうとして失敗したら大変だ。時間がないのだから。

「ゴロちゃんは?」

「んー、マフィンかなぁ?ちゃんは?」

「お煎餅」

「「し、渋い!?」」

の返答に悟郎と悠里の言葉が重なる。

「甘いものばかり貰うんだろうから、少ししょっぱいのが欲しくなると思いまして」

あのB6だ。

貰うチョコが少なくないはずがない。

頭がちょっと..否かなり悪くても顔は良い。

とりあえず目の保養になる。一般的に言えばきっと。

そして、彼らは今のところちゃんと卒業できそうだ。と言うわけで、今年が最後のチャンスとなる。

そりゃ、多いだろうなー。

「ゴロちゃん、去年はどれくらい貰ったの?」

「んーと、えーと...ポペラ覚えてない、かな?ちゃんと渡してくれたものもあるけど、教室の机の中に入ってのとかあって。お返しは全員に出来なかったし」

意外と義理堅いんだな...

感心しながらは自分の作る煎餅の製作を始めた。

悟郎は慣れているのか、中々良い手つきだ。

だが、悠里は少し不器用なところがあるようで手伝った方が良いのだろうかと悩む。


「ねえ、味見してみて」

そう言って悠里に差し出されたものを見ては絶句した。

悟郎にはバカサイユで渡すときの楽しみがなくなるから、と言って今回の味見をさせないことにしたらしい。勿論、形状も見せない。楽しみが減る。

「...先生は、味見されたのですか?」

念のために聞いてみる。

「ええ、したわ。ま、溶かして固めるだけだから。でも、一応ね?」

まあ、原材料的には問題がないのだから死ぬことはないだろう。形は、ウニだが。それもたぶん気にしてはいけないところなのだろう...

「いただきます」

ちょっとした冒険と言うか、色々と覚悟を決めてそれを口にした。

...何故!?

溶かして固めただけと言ったのに。

「食べられます」

簡潔にはそう応えた。

「美味しいかしら?」

「何と言うか。新しい味にめぐり合った気分です。斬新ですよ」

日本語って素晴らしい...!

今日ほど母国語を素晴らしいと思ったことはない。

「そう。美味しいのね。じゃあ、後はメッセージを...」

そう言いながら悠里はホワイトチョコのペンで皆へのメッセージを書き始める。

そんな悠里の背中をは憧憬の眼差しで見詰めていた。

それに気づいた悟郎はどう言って良いか分からず、見ないフリをした。

悟郎は菓子を作り終えたら何故かに補習をされている。

今日、放課後も悠里の補習を受けたというのに...

ちゃ〜ん、ゴロちゃんポペラ疲れちゃったよー!」

「大丈夫、ゴロちゃん意外と体力有るから」

が却下してそのまま勉強を続ける。

結局悟郎が開放されたのは悠里の手作りチョコのラッピングが終わるまで続いた。









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桜風
08.11.7


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