Dear my friends 64





病院についてそのまま一が救急外来へと運ばれていった。

救急車で運ばれている間も一は目を覚まさなかった。

悠里に連絡を入れてくると言って席を外していた葛城が戻ってくる。

「子猫ちゃん、急いでこっちに向かうって言ってたぞ」

そう言いながら缶ジュースを渡してくる。

は徐に鞄から財布を取り出してコインを葛城に渡す。

「おいおい、奢りだ」

「でも、先生は借金で首が回らなくなったから鳳先生の家で居候をしているって聞いてます」

「...誰から?」

「あらゆるところから」

葛城は「ック〜!」っと額に手を当てて天を仰ぐ。

「でも、葛城先生。瞬からお金を借りるのだけは辞めてあげてください。彼は自分のバイトだけで生活しているらしいので。結構切り詰めてるんじゃないですかね」

冷静に言うに「あー、はいはい。肝に銘じておく」と葛城は適当に返していた。

あんなに一の事を心配して泣いていたのに、今は冷静に諭し始めている。しかも、教師を。


「葛城先生!さん!!」

暫くして悠里がやってきた。

後ろには瑞希を除くB6が居る。

瑞希は病院は好きではない。

ちゃん、大丈夫!?」

悟郎が駆けてきてにそう聞いた。

「うん、わたしはハジメちゃんのお陰で。でも...」

そう言って治療室に目を向ける。

丁度医師が出てきた。

「草薙一君の保護者の方は?」

「今、連絡を取っていますがまだこちらに来られそうもないそうです。私は学校の担任です」

「では、取り敢えず担任の先生にお話しておきましょう」

そう言って医師が悠里に中に入るように促した。

ストレッチャーに乗せられた一が出てくる。

「これから病室に行きますね」

「入院ですか?」

が心配そうに聞いた。

「ええ、でも2、3日で退院できますよ。足の骨が少し折れているというかひびが入っている状態です」

「足!?」

一は再び大学に入るとサッカーをすると言っていた。

「治りますか!?ちゃんと、今までどおりに動きますか??」

「大丈夫ですよ、若いですし。何より、車が当たってこれで済んだのですから」

看護師が安心させるようににそう言って一を連れて行った。

、着いていっていいぞ。警察が来たら呼びに行ってやる」

葛城に言われてたちはその看護師についていった。


、警察とはどういうことだ?」

「交通事故だから。その場にいたし。現場検証とか、目撃証言とかそういうのがあると思うって聞いたから」

なるほど、と納得した。

「坂下がお前を突き飛ばしたんだってな」

翼の言葉には驚いたような表情を浮かべたが

「臨時職員会議が開かれている。流石に、これは犯罪だからな」

「ま、フツーに考えて退学になんじゃねぇの?ヘチャを殺そうとしたんだろう?」

「...わたしが転校してきたから。ハジメちゃんが変わったからって。凄く思い詰めたように言ってた」

が呟くようにそう言った。

「でも、ちゃんが転校してこなかったらハジメはたぶんずっと『刺激が足りない...』とか言いながら喧嘩を繰り返してたよ。ちゃんが来てからハジメの喧嘩の回数がパラッペ減ったもんね」

悟郎がそう言って仲間たちに同意を求める。

「まーなー」と清春。

「そうだな。すぐにはなくならなかったが、減ったようだな」と瞬も請け負う。

「それに、お前が来なかったら俺たちは受験できていなかっただろうな。少なくとも、今回受けた大学は」

翼の言葉に「そうだよ!」と悟郎が言う。

「まあ、あの坂下の求めるような一は居なくなったが。それはのせいではないだろう。だから、お前を傷つけようとした坂下は刀剣違いだ」

「今何てった?!」

が思わず聞き返す。

「だから、坂下の求める..」

「じゃ、なくて。何違い?」

「刀剣」

「見当!ああ、合格発表が怖い...」

は頭を抱える。

「Shit!せっかく慰めてやっているのなんだ、その態度は!!」

頭を抱えたに翼が言う。

「うん、ありがと。...ありがとう」

「い、一度言えば分かる!何度も“ありがとう”を繰り返して言うな」

何だか調子が狂う。

「2、3日入院と言っていたな...取り敢えず、入院の準備でもしておいた方がいいんじゃないのか?手続き的なものは先生がしてくれるだろうし」

瞬の言葉に「そうだな」と翼が同意した。

「一の鞄はどれだ?家の鍵が入っているだろう?」

「あ、葛城先生が持ってくれてる」

の言葉に翼は「ホスト崩れが持ってるんだな」と確認して出て行った。瞬もそれに続く。荷造りを手伝ったらその足でバイトに行くそうだ。

遅れると連絡を入れてはいるが、早く行かないと生活費が厳しくなるという。

「んじゃ、オレ様も帰るわ。ヘチャ、適当なところでお前も帰れよ」

そう言って清春も出て行った。

ちゃん、大丈夫?」

「うん、大丈夫。葛城先生が呼びに来るまでここに居る」

「...じゃ、ゴロちゃんもここに居る」

そう言った悟郎には驚き、彼の顔をじっと見る。

「いいの?」

「いいよ。ちゃんと一緒に居るのって、楽しいし。って、この言葉は今の状況から考えたらポペラ不謹慎かな?」

そんな事を言う悟郎に「ありがとう」とが言う。

「どーいたしまして!」

悟郎は笑顔でそう応えた。









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桜風
08.11.21


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