Dear my friends 67





サッカー部からの預かりものと岡崎からの伝言を携えては一の家に向かった。

今日は瑞希が一緒だ。

断固として手を繋ぐことを主張されて首を傾げながらも了承した。


先ほどの経緯を話する。

「あの、バカ...」

一が呟いた。自分はもう気にしていない。

だから、こういう形でケジメをつけなくても良かったのに...

そんな事を思っている一に「そうだ」と言っては岡崎に言われたとおり額にキスされたことも話した。

「...あ?」

複雑そうな表情で一が聞き返す。

「だから、勇ちゃんがおでこにキスしたの。それを、ハジメちゃんに話すようにって」

あのヤローーーー!!

心の中で一は絶叫した。

最後の最後に何てことしやがった!!、と。


取り敢えず報告は済ませたから、とは買い物に出てしまった。

そして、何故か瑞希が自分を敵視している。

「あのさ、にキスしたのは勇次だかんな?」

「でも、誰かに八つ当たりしないと収まらない」

待て!!堂々と“八つ当たり”と口にするな...!

「何で、オレ?」

「一は岡崎の幼馴染であり......相棒だから」

待ってくれ...

ちょっと思い切り、その言葉通り八つ当たりだ。

「てか、は何で平気なんだ?おでこにとは言え、キスされたんだろう?あいつ、キスされた意味分かってんのか!?」

以前自分がキスをした時だって何事もなかったように接してきた。

つい数秒前にキスしたというのに、普通に話を続けた。今回の岡崎のようにおでこではなく、口。

つまり、正真正銘のキスだったのに...

「悟郎がそれを問い詰めたら、『猫に舐められたと思ったら...』って言ってた」

「何で勇次がにゃんこでオレがワンコなんだ!?」

言って一は慌てて自分の口を塞ぐ。

「...今のどういうこと?一もにキスしたことがあるってこと?!」

目が据わっている。瑞希の目が据わってるけど、トゲーの目も据わってる。

やばい、卒業式に出られないかも...

「や、ほら。話をしててな。オレが犬っぽいって話になって...」

「ホントに?......ホントにに何もしてない?トゲーに誓える?!」

「し、してない!してない!!うん、してない」

ブンブンと何度も頷く一に対して瑞希の疑いの眼差しはじっと一に注がれている。

「......怪しい」

「トゲー...」

じぃっと疑いの眼差しを2対向けられている。

どうしよう...どうしたらこの話題終われるだろう??


一がダラダラと嫌な汗をかいていると「ただいまー」と明るい声でが帰ってきた。

助かった、とばかりに一は息を吐く。

流石に本人が居るところでこの話題を振らないだろう。

瑞希も小さく舌打ちをしてのほうへと足を向けた。

それを確認して一はが預かってきたという寄せ書きを袋から取り出した。

最も目立つショッキングピンクのペンで「悪かった」という文字が一番に目に入った。岡崎の言葉だ。

、これ。勇次は何で色が違うんだ?」

に顔を向けると瑞希が後ろからに抱きついて顎を頭の上に乗せている。はその状態をまったく気にしていないらしく、「ちょっと重い」という文句を口にしていただけだった。

「ああ、それ?初めは勇ちゃんのメッセージがなかったの。で、わたしが無理やり書かせた」

がニッと笑う。

押し切られたんだ...

その遣り取りを想像して一は口元を緩める。

「そっか」

「うん、ハジメちゃんの今までのサッカー人生にはずっと勇ちゃんが居たでしょ?もの凄く余計なお世話かなとも思ったけど...」

そうだったな、と思い出す。

「や、嬉しいよ。ありがとな」

「それは良かったわ」

はそう言って穏やかに笑った。









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桜風
08.12.5


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