| 夕食までの時間はそれぞれ温泉につかって過ごした。 あまり長風呂が好きではないは途中でギブアップして温泉めぐりを脱落した。 ロビーのソファに腰掛けてオレンジジュースを飲んでいた。 「お?美味そうじゃん」 「これ飲んだらこのあとのビールが美味しくないかもよ?」 頭上から降ってきた声にそう返しては見上げた。 「ちゃんと髪拭いたら?風邪引くよ?」 「ん」と返事をしつつもの持っているオレンジジュースに手を伸ばした一はそれを一口飲んだ。 「あーあ」とが笑う。ビールが美味しくなくなってもしらないぞ。 「先生たちは?」 「温泉めぐり。わたしは途中でギブアップ」 笑いながらが言う。 「あー...好きそうだよな、あの2人」 「バイタリティが違うよ。一は?」 「オレは普段どっちかってとシャワー派だし」 「湯船に浸かったほうが疲れが取れるって聞くよ?」 「まあなー」と一は笑いながら返した。 「ところで、隣に座っていただけないかしら?そろそろ首が痛い」 ずっと90度で見上げているのでそろそろ首が痛くなってきた。 「ああ、悪い」と一がの隣に座る。 「あー」といいながらソファに体を沈める。 「おっさんくさいよ?」 が言うと「そうかー?」と返す。 「なあ、。あとで...」 隣に座った一はの指に自分のそれを絡めながら声をかけた。それに対して特に応えないはその代わり嫌がらない。 「ん?」 オレンジジュースに手を伸ばしながら一に視線を向けて話を促すと「あーーー!」と声がして思わず振り返る。 「ちゃん!」 「あ、ゴロちゃん」 また邪魔された...在学中から結構邪魔されていたことを最近はよく思い出す。 仕方なく、一はのオレンジジュースに手を伸ばしてまた一口もらおうと口をつけた。 「ね、ちゃん。あとで露天風呂一緒に入らない?」 ブフーーー!!と一がオレンジジュースを吹いた。 かろうじてから顔を背けたので叱られることはなかったが、は驚いたように一を振り返る。 「待て、悟郎」 むせながらも抗議をしようと試みる。 「それ、いい......」 いつ、どのタイミングでここにきたのか分からない瑞希が頷いている。 「ま、待て。というか、瑞希。お前はいつの間に来てたんだ!!」 「さっきから......ね、。一緒に入ろう?前に先生も一緒に入った......」 怪訝な表情を浮かべて一を見ると「前にここにB6+α会で来たときに」と肯定した。 悠里は本当に何と言うか...とは感心した。 「んー、パス」 あっさり断るに「えーーー」と悟郎が抗議の声を上げる。 「いや、それが普通だろう」 一が突っ込みを入れる。 「のぼせちゃったし」と。 え、いや。そこ?!のぼせてなかったらいいのか??!! 一はちょっと泣きたくなったがは一を見てニッと笑う。その笑顔の裏にある意図が分からない... 「えーーーー!!」とやっぱり悟郎と瑞希は納得いってないようだ。 は「だーめ」と断って、一が持っていたオレンジジュースを飲み干してソファから立ち上がる。 悟郎と瑞希の抗議を軽く流しながら歩いているとお土産コーナーの傍にあるゲームコーナーの前に差し掛かった。 はお辞儀をするように頭を下げた。 そこへオレンジ色のピンポン球が飛んできた。 「あで!」 一に当たった。 「大丈夫?」とが振り返るとあごを擦る一が苦笑している。 「おう。って危ないだろう?」 そう言って転がったピンポンを拾って投げた。 「すみませーん」 ニコニコと笑っているのは那智だ。あの笑顔は確実にを狙ったものと思われる。 「へったくそー」 が笑いながら言うと「ははっ、手元が狂っちゃって」と語尾にハートマークをつけて那智は言う。 「あ!ゴロちゃんいいコト思いついた!!」 確実に自分にとっていいことではないだろうな、とと一は2人揃って遠い目をした。 |
桜風
10.8.6
ブラウザを閉じてお戻りください