| 一はリーグ中ということもあり、家にいることのほうが少なかった。 何より、此処最近のスケジュールはアウェイゲームが主だった。 ホームゲームが多い期間は、のスケジュール的に難しかったのでこうなった。 せっかくが家にいるのに、と一は少し面白くない。 とはいえ、時差なしで時間を共有できているのは嬉しい。 家に帰ると部屋の電気は消えていた。 ちょっと遅かったからもう寝ちゃったのか、と少し寂しいなーとか思いながら部屋の中に足を踏み入れた。 「うぉあ?!」 正座したがいた。 「ど..どうしたんだよ、」 一も荷物を床に下ろして正座した。 のそばのテーブルにはワインがおいてあった。 1本は倒れているにもかかわらず中身が零れていない。 ...2本?! はアルコールには強いほうだ。 それは日本にいたときに何度か一緒に飲んでたから知っている。 だが、が強いのは日本のお酒だ。 日本酒や焼酎などで、ワインやウィスキーなどは苦手だと言っていたし、見ていた一もそうだなと納得していた。 だが、ワイン2本... たぶん、自分の購入していた飲みかけのものだったのだろうが、それにしてもきっと彼女の飽和量を超えている。 「、大丈夫か?」 微動だにしないが心配になって一が顔を覗き込む。 「ハジメちゃん」 あれ、懐かしい呼ばれ方だ。 そう思いながら「なんだ?」と返すとビシッとは目の前を指差して「そこに正座」と言った。 何だろう。 怒らせたのかな? 何で?何が原因だ??というか、既に正座しているぞ。 「どうした、」 「正直に答えてください」 微妙に呂律が回っていないを少々心配しながら「はい」と頷く。 はうつむいて何事かを口にした。 「え?わりぃ、聞こえなかった。もう1回」 聞き取れなかった一が人差し指を立ててそういった。 最初、一の言葉にぐっと詰まった様子を見せただったが、意を決したように拳を握って頷いた。 「一は、我慢してる?」 しゅんとなって上目遣いでそんなことを聞かれたら我慢できなくなってしまうのだが... なんてことを思いながら、「具体的に、何を?」と聞いてみた。 「セックス」 あまりにもダイレクトな表現に一は思わず咽る。 よかった、何か液体を口に含んでいたらそれを見事に霧吹き状態でに吹きかけるところだった。 だが、今はそんなことは瑣末な問題だ。 もう1回、確認のために今が口にした単語を聞いてみたいと思ったけど、いい加減本気で怒られそうだ。 今既に顔を真っ赤にしているのだ。 いや、これはワインのせいで赤いのかもしれないが... 「んー、」と一は腕組みをした。 目の前のはいたたまれないようにもぞもぞと足を動かしている。 「何で、いきなりそう思ったんだ?」 正直、の持つ思考の流れとは思えない。 誰かに言われて初めて気がつくようなことだろう。ちょっと悲しいけど、それがだし。 は渋々といった感じに日本での同居人との会話を話した。 ああ、やっぱり... 一は苦笑した。 心配してくれるのは嬉しいけど、このに対してどうやって収拾をつけろというのだろうか、あの人は。 しかし、このことで文句を言っても笑顔でさらに親指を立てて「もう良いからやっちゃいな!」って言われそうだ。 母親としてどうなんだろう... 「ハジメちゃん?」 考えていると心配そうにが名前呼んでくる。 「ああ、うん。そーだなー...正直、おばちゃんの言ったとおり..かな?」 正直に答えるとはまたしてもぐっと詰まったように固まった。 だが、そこは頑張ってみるらしい。意を決したような瞳を一に向けてきた。 ちょっと、本気で可愛いんですけど...!! なんて誰も訴えを聞いてくれる相手がいないのに一は心の中でそんなことを思った。 「じ、じゃあ...」とが言ったので「ストップ」と一が続きを止めた。 は面食らったように目を丸くしている。 「なんで?」 首をかしげてが問う。 「んー、やっぱさ。今のって思考が鈍ってるだろう?」 「鈍らせたんだけど...」 何だ、計算してのことか。 苦笑しながら一は「そっか」と頷いた。 「けど、それって酔った勢いでってやつだろう?」 はしゅんとなった。全くもってそのとおりだ。 一は頭を優しく撫でた。 「ありがとな」 はこくりと頷く。 「今度、が素面のときにオレ聞くから。ホントは正直、今でもものすごく抱きたいんだけな」 そういっての額にキスをした。 口ではないことを不思議に思ったはきょとんと一を見上げる。 「今そっちにキスしたら絶対に止まらないから」 苦笑していう一には赤くなって俯いた。 |
桜風
12.8.19
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