Dear my friends + 1





バラバラとヘリコプターの音が近づいてきた。

屋上に居た彼女は空を見上げ、そのヘリコプターに表示してある文字を確認して懐かしさと共にため息を吐いた。

『MAKABE』

どれだけ自己顕示欲が強いんだ...

そんなことを思いながら広げていた小型ノートパソコンを閉じ、そばに置いている携帯電話を開けた。

ダイヤルを選択する。

『もしもし』

コールしてすぐに出てきた人物の声がものすごく懐かしい。たった数ヶ月なのに、とても不思議に思う。

「お久しぶりです、永田さん」

さん、お久しぶりでございます。しかし、何故わたくしに...?』

翼にコールすれば良いのではないかと言う意味だろうが、

「話がすんなり通りそうな人をチョイスしただけです」

は返す。

の言葉に電話の向こうの永田は苦笑するが、「だと!?」と翼の声が聞こえた。

『Hello。、何故俺ではなく永田に電話をしたんだ』

不満そうな声で翼が言う。

「久しぶり。というか、まさか病院のへリポートにそのヘリを降ろそうなんて思ってないでしょうね!?」

がそういうと

『Of course。勿論だ。楽だろう』

「遠回りしなさい。あのね、あのヘリポートは救急患者のためにあるものなの。ただ、遊びに来た翼たちが使っていいものじゃないの!というか、ものすごく怖いドクターにどやされるのがオチだから、大人しく別の、近所の真壁財閥の何かのヘリポートを使って陸路で来てよ」

ああ、何かこういう疲れは久しぶりだな...

疲労感に懐かしさを感じながらはそう言った。

『...わかった。だったら今すぐに、ここで降りる』

「は!?」

意味が分からずに聞き返したが、どうやらもう電話に耳を付けていないのか少し離れたところから「永田!準備をしろ」とかいう声が聞こえる。

「え、ちょっと!翼!!??」

ちゃん!』

翼の手からふんだくったのか、今度は悟郎の声だ。

「ゴロちゃん久しぶり。元気そうね。みんなも居るのよね?」

翼と悟郎の組み合わせはちょっとイレギュラーだ。だから、全員揃っていると考えるほうが納得できる。

『うん。センセも一緒だよ』

気の毒に...

同情の気持ちを抑えられず、は俯いた。

そんなの目の前に縄梯子が降りてきた。

え...?

見上げると降下準備をしている清春の姿が見えた。

「ちょ、ゴロちゃん!」

『何?これからボクたちそこに降りていくから。待っててね』

「いや、ちょっと。先生。先生は??」

『ん?居るよ。代わる?』

「代わらなくて良いけど、先生がスカートなら先生が一番に...!」

が慌てて言うと「あー、そっか」と悟郎は納得したようで「ツバサー!」と声を掛けている。

暫くするとヘリのドアのところに昨年、たちの担任をしていた南悠里が姿を現す。

引きつった笑顔で手を振っている悠里にはハラハラしながら見上げていた。

ちょっと、これって入院患者には優しくないイベントだと思う...

そんなことを思いながらは何とか降りてきた悠里の手をとった。

「先生、お久しぶりです。巻き込まれた..んですよね?」

の言葉に疲れた表情で悠里は頷いた。そして、にガシッと抱きついた。感極まっているというか、なんと言うか。常識が恋しい。

「巻き込まれ..た。というか、そうね...さんが渡米した話を聞いたときからこれは決まってたのよ。今年は夏休み全部使って補習なんてことはなかったし」

肩を落としていう悠里に「すみません」と謝っていると次々とB6が降りてきた。

ああ、本当にあらゆる意味で目立つな...

「久しぶり」

が笑顔で彼らに声を掛ける。

ちゃーん!」

悟郎が駆け出すとその首根っこを瑞希がガシッと掴む。

「だめ」

「むー!何さミズキ!!」

ひそかにデッドヒートを繰り広げている悟郎と瑞希を放っておいて翼たちはの元へと足を向ける。

「トゲー!!」

一の肩に乗っていたトゲーがに飛びついた。

「トゲーも、久しぶり!元気そうね」

指先で優しく撫でるとトゲーは嬉しそうに「クケー」と声を上げている。

「あれ、みんな荷物は?」

「あとで車が迎えに来るからそれに乗せてくることになっている」

翼の返事にはため息を吐いた。

「じゃあ、それで来れば良かったのに...」

「驚かせてやろうと思ったんだよ」

苦笑しながら一が言う。

「まあ、驚いた..かな?というか、懐かしくてどうしたら良いのかわかんなかったわよ」

の言葉を正しい意味で理解した悠里だけが深く頷いていた。

「てか、ゴロちゃん。さっぱりしたのね」

そう言っては自分の肩のあたりを叩いた。悟郎は随分髪を短くしている。

ちゃんだって!女の子なのに勿体無いよ!!」

抗議するようにいう悟郎に「入院中は短いほうが楽なんだよ」と返すと何となく納得したような表情を浮かべた。

「じゃあ、ま。とりあえず中に入ろうか」

色々と聞きたいというか説教したい気持ちを抑えては屋上を後にすることにした。









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桜風
09.2.6


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