Dear my friends + 2





小脇に小型ノートパソコンを抱えては自分の入院している病棟に向かう。

その後ろをぞろぞろとB6と悠里、永田がついて歩く。

ああ、目立つ...

周囲の視線を集めているこの集団にはそっとため息を吐いた。

「トゲーは隠れててね」

がいうと彼女の着ている服のフードの中に入っていった。

「オイ、。どこ行くんだよ」

清春が面倒くさそうに言う。

「だって、入院中の患者が外泊するならドクターの許可が必要なんだもん。申請はしているけど、今朝の検査の結果如何によっては不許可になるし。そろそろ巡回の時間だから部屋に戻っていないと放送で呼び出されるし」

の言葉にそういうものか、と彼らは納得した。




名前を呼ばれて振り返ると白衣を着た女性が立っていた。

顔などの見た目は東洋系だ。

<さっき屋上に居たヘリは何だい?何かあったのかい?...ああ、彼らがあの?と、いうか..瑞希じゃないか>

そう言って彼女は瑞希の前に立った。

瑞希はやはり病院の空気というか雰囲気が好きではないらしく、目の前に立ったドクターに訝しげな瞳を向けている。

<覚えてないかい?と、言っても確かに殆ど会っていないね。葉月は元気かい?>

その言葉で彼女が誰か何となく想像できた。

のおばあちゃん?>

瑞希が問う。

彼女は頷いた。

<しかし、『おばあちゃん』といわれるとどうも一気に年を食った気がするね>

笑いながらそう言う。

、2週間だったね。許可できるよ。ただし、調子が悪くなったらすぐに病院に帰ってくること。良いね?守れなかったらもう外泊は許可できないよ>

ドクターの言葉には頷いた。

「ちょっと部屋に置いている荷物取ってくるね」

目の前で展開されていた英語での会話だったが、の言葉で外泊の許可が出たことを理解する。

「何か手伝うことがあるかしら?」

悠里の言葉に「大丈夫です」と返しては部屋に向かった。


「さて」とドクターが改めてB6たちに向き直る。

不意に彼女の口から漏れた日本語に逆に戸惑ってしまう。

「日本語が話せるんですか?」

悠里が問う。

「まあ、一応ね。昔は『日本人』だったからね」

苦笑しながらドクターが言った。

「キミが、真壁翼。B6のリーダー的な存在で..友情に篤い人間だってね。草薙一。の幼馴染だ。君がいなかったらあの子はもっと荒んでいただろうね。七瀬瞬。生活の知恵袋仲間だと聞いたよ。風門寺悟郎。君はイラストを描くのが得意らしいね。とても優しいB6のムードメーカー。仙道清春。いたずら好きのバスケットマン。意外と面倒見が良い。去年の夏にが倒れたときには世話になったってね、ありがとう。そして、瑞希。久しぶりだね。元気になったね、良かったよ」

B6全員の顔をひとりひとり見ながらドクターが言う。

何故自分たちのことを知っているのだろう、と疑問を口にしようとしたら彼女は悠里を見る。

の、担任の先生だね。あの子が、1年世話になった。色々と難しかったと思うけど、それでも指導し続けてくれてありがとう。そして、あー、永田とか言ったよね。あなたにもが世話になったって聞いた。ありがとう」

のばあちゃんは、何でオレたちのことを知ってるんだ?」

一が言う。

「ああ、あの子のベッドの枕元に写真が置いてあるんだよ。卒業式の日に空港で撮ったものだと言っていた。大切そうに飾ってね。これは誰か、と聞いたらそう教えてくれたんだ。自分の数少ない友人たちだ、とね」

優しい目をしてそう言う。

<ハニー>

野太い男性の声がした。

全員が振り返ると熊のような大男が向かってくる。

あの九影がまだかわいらしく見えるのだ。全員が少し構えた。

<ああ、丁度いいところに来たね。の友達が迎えに来てくれたよ。こちらが、去年の担任の先生だ>

大男は悠里に向き直ると突然ハグをする。

全員の時間が止まった。

<話はから聞いています。ああ、貴女がを助けてくれた先生ですね。感謝します>

「あ、あの...」

悠里が困って声を出す。

「た..担任から離れろ、熊!」

翼が慌てて悠里を救出しようと奮闘を始めた。

<おじいちゃん!先生を放して。困ってるでしょ!?>

が戻ってきた。

<ああ、。当分会えないんだね。毎日お前のことを思いながら私は眠りにつくよ。愛しているよ>

くるりと振り返った熊は今度はにガシッと抱きついてそのままなにやらわめいている。

慣れているらしいはため息を吐いただけで抵抗はしない。

<2週間くらいのものじゃないか。18年間会わなかった数ヶ月前に比べたらあっという間だよ>

呆れたようにの祖母がそう口にした。









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桜風
09.2.6


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