Dear my friends + 3





それではそろそろの家に向かうかと話していると<>と名を呼ばれて振り返る。

「あー...」

なんとも言いがたい表情を浮かべてが声を漏らした。

「誰だ?」

瞬が問う。

「隣の家の人」

彼は大きな花束を持っていた。

、今日も綺麗だね。これを>

そう言ってその手に持っている花束を差し出してきた。

ずい、と自分の前に壁が現れる。

祖父だと気がついてほっとした。

<これをにか。そうかそうか。わしがもらっておこうな>

<あ、いえ...これはに>

そんな押し問答を視界の端に写しながら「じゃ、行こうか」とが言う。

「いいのかい。ジャンは2週間お隣さんだろう?」

楽しげに祖母が言う。

「...あの人、仕事もせずに何してるんでしょうねぇ」

あの軽いノリが何となく父に似ているため正直近くに居て欲しくない人物だったりする。

「まあ、ゆっくり休んでおいで。休めるかどうか甚だ疑問だけどね。星太にもよろしくと言っておいてくれ。ついでに、帰ってきたらあの男にもね。ああ、薬。飲むのサボるんじゃないよ」

祖母の言葉に頷いては病棟を後にする。

去っていくの姿に気がついたジャンが<待って!>と声を掛けていたが、は聞こえなかったことにしてそのまま病院を出て行った。

さん、持ちましょう」

永田がそう申し出てくれた。

「いえ、ありがとうございます。あまり体を甘やかすとどんどん貧弱になっちゃうので」

が断ると

「では、お手伝いできることがありましたらどうか声を掛けてください」

と言う。そして、そっと「お兄ちゃんを頼ってくださいね」と小声で付け加えた。

は嬉しそうに笑う。


病院の正面玄関に着くと高級車が止まっている。

「え、これで?」

「ああ。さあ、乗れ」

何だかこういう感覚のギャップは懐かしいなぁ...

すでに現実逃避をしそうなその気持ちを奮い立たせては促されたとおりその高級車に乗り込んだ。



「そういえば、さっきの...花束男。何なんだ?」

ずっと気になっていた一がさりげなく聞いた。

「んー、何かよくわかんないけど。こっちに来てから家に居るときは毎日花束を届けに来てたんだよね。最初はお花屋さんかなーって思ってたのよ。お隣さんだって知らなくて。でも、花の注文してないのに届けられても困るから、断ったのよ。そしたら、お隣さんだって。
で、入院してからもあんな感じに毎週2回以上は来てるんだけど。いい加減、病院に持ってくる花を考えて欲しいというか...カサブランカは香りが強いからお見舞いに向かないって説明しているのに、カサブランカ。嫌がらせかな??」

数ヶ月前ににこやかに衣笠が話した言葉を思い出す。

やっぱり、はもてるんだ。本人、全く自覚がないけど...ここまでアピールされて気がつかないというのは筋金入りだと思うが、それでも今の時点ではその筋金入りの鈍さに救われた気分だ。約3人ほど。

「しかし、庶民の家でこれだけの人数を宿泊させられるのか?本当に」

「まあ、気に入らなかったら翼はこちらの別荘にでも泊まればいいよ」

さらりとが返す。

そのあっさりっぷりに翼がちょっと拗ねた。

「でも、翼君じゃないけど。ご迷惑じゃないの?お父様とか」

悠里は悠里で翼とは違うベクトルで気になっているようだ。

「ああ、父は..たぶん帰ってこないでしょうから気にしないでください。弟がベッドを整えていると思いますから。それに、こっちって日本と比べ物にならないくらい規模が大きいんですよね」

つまり、全員が眠る場所は確保できるということだ。

「家事は手伝わせてね。お料理とか」

悠里の言葉に車内全員が凍った。

そして、指折りながら色々なメニューを口にしている悠里に気づかれないようにB6はに懇願の視線を向ける。

何でも手伝うから、それだけはなんとしても阻止してくれ、と。

心得ているは頷いて彼らを安心させた。









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桜風
09.2.20


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