| 1時間くらい車に乗っていると郊外に出る。 そこからまた数時間車を走らせてやっとの現在の住まいに到着した。 「ったく、田舎だなァ〜」 車から降りて伸びをして清春が言う。 「ねー、ホント。何を考えてこんなところの家を買ったんだか」 は否定するどころか全肯定で応えた。 「姉ちゃん!」 家の中から少年が出てきた。 「ただいまー。ハジメちゃんたち、来たよ。弟の星太」 軽く紹介してはそのまま家の中に入っていった。 「ハジメ兄ちゃん!?うわ、でかくなったね」 「いや、それってオレの台詞じゃねーの?」 笑いながら一が返す。 星太も笑いながら「そだね」と言って家の中に入るように促した。周囲の客人にもしっかりと挨拶をする。 「しっかりしてるな。中学生だろう?」 先を歩く星太の背中を眺めながら瞬が呟く。 「あー、そういやそうだな。でも、しっかりしないとが大変だってのはたぶん星太も分かってたんだろうからな。仲良かったと思うし」 一はそう返しながら目を細めた。 「星太、ベッドはどう?」 「あ、俺。ベッドメイキングが出来なかった」 に聞かれてそう応える。 「んじゃ、お姉ちゃんがやろうか」 弟には皆にコーヒーを出すように言っては2階に上がる。 「ハジメ兄ちゃんは俺と同じ部屋ね。誰かどうしても俺と同室にならないと難しかったんだ」 「おー、いいぜ」と一は軽く返す。 「星太くん、コーヒーは私が淹れるわ。いいかしら?」 そう申し出た悠里に「ありがとう」といいかけて彼女の背後の姉の友人たちがそれはもう力いっぱい首を横に振っているその光景に絶句し、 「あ、ううん。僕が淹れます。先生は座っていてください。お客様にそんなことをさせたって姉にばれたら、僕は怒られてしまいますから」 と何だか棒読みでそう言った。 「気にしなくていいのに」と悠里は続けたが 「おい、ブチャ。弟がに怒られるって言ってンだ。ここは譲ってやれ」 と清春が言い、 「そのほうが....いいと、思う」 と瑞希も言う。 「あー、じゃあ。オレが手伝うわ。懐かしいから昔の話とかちょこっとしたいし」 そう言って一が星太を促した。 「さっきの、何?アレでよかったの??」 不気味な光景を目にした星太が一に問う。 「あー、うん。先生な。ものすごく優しくて、生徒想いのいい先生なんだけど。料理が壊滅的にアレなんだ」 遠い目をして言う一に「あー...」と星太は掛ける言葉が見つからない。 「お母さんだった人と、同じってことか」 呟く星太に 「瑞希情報だと、おばちゃんの方が上らしいけどな」 と情報提供する。 「了解。姉ちゃんが病院にUターンなんてなったら可愛そうだから、俺も協力するよ。先生の手料理を阻止すればいいんだね?えーと、コーヒーとかも」 「ああ。更に言うとトーストでもダメらしい」 思いがけない難敵が現れたようで、星太は気を引き締めた。 「そういえば..アレが瑞希兄ちゃん?」 ちょっと振り返って眠たそうな表情を浮かべている人物を見ながらそう言う。 「ああ、そうだけど...覚えてねぇの?俺のことは覚えてたのに??」 「瑞希兄ちゃんにはあんまり遊んでもらってないから。ハジメ兄ちゃんはサッカーのない日とかは日が暮れるまで遊んでくれてたし、兄ちゃんがサッカー始める前まではそれが毎日だっだし」 なるほどなー、と瑞希をそっとのぞき見ながら一は頷く。 「まあ、そうだなー。しょっちゅう眠たそうにしてるし、突然寝たりするけどいいやつだぜ。行動が読めないけどな」 ニッと笑ってそういう一に星太は少し安心した。 一は変わってないようだ。姉からそう聞いていたが、自分が目にして改めて安心する。 その後、コーヒーを淹れながら一に姉の友人たちの話を聞いた。 個性的な姉の友人たちになんだか苦笑がもれてしまったが、それでもそれだけ個性的だったから姉の気持ちを変えられたんだろうな、と何となく納得した。 |
桜風
09.2.20
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