Dear my friends + 8





「ああ、そうなんだ。まあ、星太も嬉しかったのよ」

朝食を済ませて片づけをしているに清春が今朝の話をし、聞き終わったは笑いながらそう言った。

「どォゆーことだ?つか、今までがあいつ助けてやってたんじゃねェのか?」

「うん、まあね。でも、やっぱりお姉ちゃんの背中に隠れたくないってのがあるんじゃないの?男の子だし」

そう言って蛇口を捻って湯を止め、布巾を手にする。

「ハルってお姉ちゃんいたよね、確か」

清春はしぶしぶ頷く。

「ハルはお姉ちゃんの背に庇われて平気?」

「全く全然これっぽっちも平気じゃねェ。つか、なるべく構わないでほしいくらいだ」

「あ、そうなんだ」とはいいことを聞いたという表情で相槌を打っている。自分もあまり弟に構わないようにしようと思ったのだろうか。

「けど、ナギは庇ってたりしなかったのか?」

は苦笑した。

「そりゃ、もうあのお兄ちゃん気質全開だったわよ。星太がいじめられてたら私が星太を庇って、その私を一が庇って。でも、引っ越してからはそういう人が周りに居なかったんでしょうよ。あの子もあの子なりに気を張って生活してたんじゃないのかな」

「ふーん」と清春は相槌を打った。

自分にも弟が居るが、星太とは感じが違う。何となく新鮮な感じだ。

「ハルは、大学でバスケしてるの?」

「まあ、高校のときに比べたらやってンな」

「せっかくこっちに来たんだからNBAとか見て帰れば?プロバスケって、NBAだよね?」

の言葉に清春はこれ見よがしにため息をつく。

「バカか。今はオフシーズンだっつうの」

清春に馬鹿にされて少し引っかかったものの、「そーですか」とは返す。

「そーいや、ナナのバンド。結構順調らしいぜ」

「お?とうとうメジャーデビュー??」

「さァ?そこまでは知んねぇけど」

そう言うだけ言って清春はキッチンから去っていった。



「ポペラたっだいまー!」

写生してくる、と出て行った悟郎が戻ってきた。

「お帰り。暑かったでしょう?何か飲む?」

「ボク井戸水飲んでくる」

お気に入りになったようだ。

は悟郎にコップを渡すとそのまま悟郎はキッチンの裏口から出て行った。暫くして水を汲んだコップを持った悟郎が戻ってくる。

はダイニングのテーブルについていた。

「そういえば、キヨは?」

「さあ?さっきまで話をしてたけど、どこかに行ったよ。ゴロちゃん、スケッチブック見せてもらっていい?」

ダイニングテーブルの上に置かれているスケッチブックを指差してそう聞いた。

「どうぞ。えーと、ここからだね」

の前に座って先ほど写生してきたページを悟郎が開く。

何枚か捲っていくと風景画の中に、動物画もあった。

「あれ、この子近所の野良猫だわ」

そう言ったの手元を悟郎が覗き込む。

「ああ、それ。ボクが写生してたらハジメがやってきて、そしたら猫が寄ってきたからついでに写生したんだよ。さすが聖帝のナナツゴロウってカンジだよね」

懐かしい呼び名には笑う。

国を問わず、やはり一には猫が寄ってくるみたいだ。

「今度別の国でも寄ってくるか見てみたいね」

が言うと「そだね」と悟郎も頷く。

「でも、ゴロちゃん描くの速くなったんじゃないの?さっきの時間でこれだけスケッチしてくるなんて...」

が驚いたように声を上げると

「へへ。ボクもばんがってるから!ちゃんは、こっちでの生活はどう?」

「病院食であの量はないだろうってくらい食べさせられてる。今度会うときには横に1.5倍くらいになってるかも」

が冗談めかしてそう言うと

「少しぽっちゃりした方が可愛いよ」

と悟郎が言う。

『ぽっちゃり』のレベルで抑えられたらいいなー、と思いながらは部屋の壁掛け時計を見る。

さあ、と風が入ってきた。

「今日は何だか風が強いね」

そう言ってが悟郎に視線を向けると悟郎は慌ててスケッチブックを抑えている。

その動きにつられてがそれを見ると見慣れた人物が描かれている。

「ゴロちゃん?」

「あ!あー...見つかっちゃったー。むぅ〜!風のバカ!!」

「いつの間にこんなに描いてたの...」

呆れと驚きを含んだ声音でが問うた。

捲れたページには毎朝鏡で見ている自分の顔があったのだ。

ちゃん、ご飯作ってるときとか意外と集中してるみたいで、全然気付かなかったんだよ」

悟郎の言葉には困ったように笑う。

「もー、何でこんなにスケッチしてるのよ」

少し抗議するようにが言うと悟郎は息を呑む。

これは..チャンス?

現在、この空間には自分と以外いない。

居たらきっと邪魔をする瑞希も一も居ないのだ。

ちゃん、ボクさ...」

悟郎がそう言うと玄関ホールあたりで人の声が聞こえ始めた。









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桜風
09.3.27


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