Dear my friends + 12





「みんなって16日まで居るんだよね?」

リビングで皆にコーヒーを配っていたが不意に言った。

「ああ、そうだけど」

何を確認しているのだろうか。

「もしかして、調子悪い?病院にいく??」

悟郎がはっとしたようにそう言った。

「ああ、ううん。すこぶる快調。そうじゃなくて、さ。誕生日」

が口にした単語に皆少なからず動揺する。

彼女が気がついた時点でサプライズパーティにならない。

の母をしていた獣医は「大丈夫!あの子、自分の誕生日は祝われるものじゃないって信じ込んでいるから!」と笑いながら言っていたのに...!

笑い事じゃない、と正直一はむかついていた。

全く、彼女の生物学上の両親はいい加減彼女に思いやりをもって接したらいいのに...

いや、これでも精一杯の思いやりを向けているのかもしれないな。

そんなことを思いながら「で?」とに話の続きを促した。

「翼って、14日が誕生日でしょう?しかも、ハタチになるときた」

の言葉に、そういえばと皆が納得する。

今この場には翼は居ない。丁度シャワーを浴びるためにバスルームに居るのだ。永田はなぜか付き従ってバスルームの外に控えているとか...

の誕生日を祝う話をしたときに彼は特に自分の誕生日については主張しなかった。

しようと思ったかもしれない。

だが、彼女は生まれてこの方身内に祝われたことがないらしい。星太はお祝いをしたことがあるだろうが、小学生にできることなんて限られている。

このサプライズパーティを成功できるかどうかの鍵は星太にあると思って前以て連絡すると嬉しそうに協力すると言ってくれたのだ。

お陰で秘密裏にこの計画は着実に進んでいる..ハズ。

「で、あー...はどうしたいと思っているんだ?」

瞬が問う。何となく予想できたが、それでも早まって自分たちから次の言葉を引き出してはならない。

「サプライズパーティとかって面白そうだよね」

思考が一緒だな...

何となく皆は遠い目をした。

「私がケーキ作るし、瞬がいるからある程度ご飯とかおいしいの作れると思うのよね。今から考えたらギリギリ準備も間に合うと思うんだけど...」

そう言って同意を求めるように瞬を見上げた。

「ああ、まあ...」

それは元々の計画のうちだ。

最初の計画では、悠里がを連れ出して、その隙に残った人物でケーキとご馳走を、と言うことになっている。翼は彼女へのプレゼントを代表して購入するという大役を請け負っている。

とりあえず、家に居ないことは居ないが、戻ってくるのに時間の指定なんてできないし、が言い出したことなので彼女に外に行って悠里と共にプレゼントを購入してくるように頼むにしてもさっさと戻ってきそうだ。

皆がそれぞれ何とか調整する方法を算段していたら翼がバスルームから戻ってくる気配がある。

「翼には、ナイショということで」

はそう言ってキッチンに向かう。

「...どうした。奇妙な空気が漂っているぞ」

リビングに戻ってきた翼が皆を見渡してそう言う。

「翼、コーヒーでいいの?」

誤魔化すようにキッチンからが声を掛けた。

「ああ、そうだな」

翼の返事に「オッケー」と返してコンロの火を点けた。


食事の片付けてをしていると永田が手伝うといってきた。

この家に来てから本当に永田は色々と手伝ってくれる。沢山特技を持っているので大抵のことはできるとか。

今度、フグを捌けるか聞いてみようかと思うくらい色々とできるようだし、知っている。

「そうそう永田さん」

が言う。

「何でしょうか?」

「8月14日って翼の誕生日じゃないですか」

「ええ、左様でございますね」

永田が肯定する。

「誕生日パーティとか...」

「今年はなさらないそうです。吉仲様とそのようにお話されていました。お誕生日の日はこちらなので、こちらでパーティを開けばいいだろうと吉仲様が仰っておられましたが」

そう言って言葉を終わらせる。

「それって、大丈夫なんですか?ほら、よく分からないんですけど。大企業の責任者ってそういう繋がりが大切だってイメージがあるんですけど...」

サプライズパーティなんて言っている場合じゃない。

そんなことを思いながらが言うと

「翼様のお決めになったことです。後々苦労することができても、それで今年の誕生日のせいになさるとは思えませんよ」

「じゃあ。やっぱり、今年のパーティは盛大にしないと...」

の呟きが耳に届いて永田は思わず手に持っていた皿を取り落とした。

床に着く前にそれを再び掴んだお陰で割れなかったが、我ながら失態だ。

「失礼しました」

「いいえ。何か、凄いものを見た気分です」

呆然と言うに苦笑して「申し訳ありません」と謝った。

「ああ、謝らないでください。そうそう、それで。永田さんにお願いがあるんです」

が改まって言う。

「何でしょう?」

少し構えて問い返した。

「実は...」

先ほど翼がシャワーを浴びているときに皆で話したことを話す。

ああ、それでか...

永田は納得した。だから、あのとき翼が戻ってきたリビングの空気がなんとも気まずげだったのだな。何せ、サプライズパーティを仕掛けようとした相手に別の人物のサプライズパーティを提案されたのだから。

「これは、また...」

少しややこしい問題だ。

「どうですかね?準備とか時間がないと思うんですけど...と、いうか翼をこの家から追い出すってのが大変なんですけど...」

だから、秘書である永田に相談した。何か理由とか用事とか、そういうのを用意できないだろうか。

「わかりました。わたくしにお任せください」

永田のその言葉には安心したように微笑んだ。









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桜風
09.4.24


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