Dear my friends + 16





時間になったため、翼と悠里との待ち合わせ場所へと向かい、2人を車に乗せての家へと帰る。

「そういえば、翼って免許持ってるの?バイクは持ってるって聞いたことあるけど」

「ああ、一応持ってるぞ。たしか、一はもう取ったとか言っていたな。車が欲しいとかって呟いていたぞ」

そうなんだ...

少しだけ驚いた。

いつも車の運転は永田がしているから翼は車の免許なんて持っていないと思っていた。必要ない、と。

一は、前に免許取りたいって言っていたから誕生日も早いし取るだろうなーとは思っていたが...

ん?免許を取ったということは、ちゃんと筆記試験だって受かったということか。凄いな...

「うわぁ...」窓の外を見ていた悠里が思わず声を上げた。

夏だから日が長いが、それでも今の時刻は日が随分傾いている。空が茜色に染まり始めたのだ。

「綺麗ですよね」

が声を掛けると「そうね、凄いわ」と感動したまま声を漏らす。



家に帰ったときには夕日が海に差し掛かった頃だった。

車の中で翼が一にメールを送って会場設営の状況を確認していたので、まだ準備が出来ていないということはないだろう。

「あれ、」とが呟く。

家に明かりがついていない。電気をつけないと家の中は少し薄暗くて過ごしにくいだろうに。

ああ、そうか。演出か...

そう思ってちらりと翼を振り返り小さく笑う。驚くだろうなー。喜ぶかな??

同じく翼もをちらりと見て満足そうに口角を上げた。きっと驚く。喜ぶに決まっている。

そんなことを思っているのだろうと分かっている永田と悠里は顔を見合わせて小さく笑う。2人とも、きっと喜ぶ。

しかし、2人は玄関の前でお互いが先に入るようにと言って譲り合い始めた。

どうにも埒が明かないので永田が心持ち大きな声で「では、さん。さんが先に入ってください。翼様のおっしゃるようにレディファーストです」と言う。

まあ、永田が言うなら、とは家の中に入る。

そして翼がそれに続いて入っていくと『パン』と大きな音がした。

それに続いてたくさん似たような音が家の中に響く。

「誕生日おめでとう、。翼」

皆が声をそろえて言うその言葉にと翼は同時に「は!?」と声を上げた。

そして、「永田さん!」「永田!!」とやはり同時に振り返った。

「まあまあ。とにかく、リビングの方へ」

翼はともかく、はとても混乱していた。

何故、この家に北海道で獣医をしているはずの元母親と、別の誰かと再婚するはずの元母親。それに、帰ってこないといっていた天文バカが揃っているのだろうか。あまつさえ、懐かしい元叔父の衣笠まで居るではないか。

どんな顔をして誕生日を祝ってもらったらいいのかが分からない。

「笑顔がよろしいかと思います」

そっと耳元でアドバイスされた。

驚いたが見上げると永田は微笑んで頷く。

「永田さんって、実はエスパーですよね?」

が言うと面白そうな表情を浮かべて永田は笑った。

「それは、トップシークレットですのでお答えできません」

からかい口調で言う永田には拗ねて見せたが、「ありがとうございます」と小さく呟いてリビングの中へと足を進めた。


リビングのテーブルの上には沢山の料理が盛り付けられている。

しかし、これだけ食欲旺盛な男性陣が揃っているのだからすぐになくなりそうだな、と少し可笑しかった。

<大丈夫。日本の最終兵器も投入しているから>

の考えを察した祖父が声を掛けてきた。

日本の、最終兵器...

首を傾げたの鼻に届いた香りで何のことかわかる。カレーだ。

<なるほど、最強だね。でも、ご飯は?>

<炊けているよ。ウチの炊飯器も持ってきているから足りると思うし。ご飯ではなくてもパンで我慢してもらうってのも手だろう?>

祖父の言葉に頷いてはとりあえず料理上手なメンバーで作られたはずの料理に手を伸ばした。









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桜風
09.5.8


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