Dear my friends F 3





「あれ、みんなは居ないんだね」

職員室の中に案内されては驚いたように言った。

一応邪魔になってはならないため、放課後に訪ねてきたのだが、職員室にいるB6は悟郎と瑞希、さっき戻ってきた一と瞬の4人だ。

「あー、翼は補習。清春は..またアレだよ、たぶん」

『アレ』といわれては首を傾げたが「ああ、そうか」と納得した。

ここは学校で、清春は少々暇を持て余しているらしい。

「どうぞ」と瞬がコーヒーを淹れてくれた。

「ありがとう、いただきます」と言っては一口コーヒーを飲む。

「しっかし、良く来たな。今の家は遠いだろう?」

「2駅くらいしか離れてないよ。でも、まあ昔は近かったから楽だったけど」

笑いながらはそう言った。

衣笠の伝手で借りていた当時の部屋はもう借りられない。

まあ、いい加減自分も大人になったのだから衣笠を頼ることもできない。それに、今はちょっと連絡を取れない状況だし。

たぶん、彼が翼たちにの帰国を知らせたときがギリギリだったのかもしれない。

衣笠の姉には会いに行ったが、彼女も良く分からないというのだ。

「さっき、ちゃん言ってたけど用事って何?」

「取材の申し込み。青春群像を主題とした話を書いてみたいな、と思ってみたんだけど。正直、学園ものってどんなのだろうって考えたらやっぱり今の学校の様子とか知りたいでしょう?取材先から母校を外すのはなかったからね、私的に」

「そうなんだ。でも、あのシリーズってまだ続くんでしょう?」

今出している児童文学のことだろう。

「うん。だから、取材には1年かけてゆっくりとって思ってる。それこそ、1年間の学校の流れとか知っておきたいし」

「んで、許可は下りたのか?」

「うん。結構簡単に。厳しくなってるって聞いてたから、ダメって言われるかと思ったけどね」

それはまずないだろう。現理事長の方針が方針だ。

の話を聞いていた彼らはそれぞれそんなことを思っていた。


「そういえば」とは顔を上げた。

「ん?」応接机の傍にパイプ椅子を持ってきて座っている一が話を促した。

「教科って何?」

が改めて聞いたので彼らは苦笑した。

「翼が、国語」

「うわ、無理!ありえない!!」

「オレが、地理・歴史」

「大丈夫?」

「俺が理科だ」

「あ、そこはちょこっと安心」

「何で瞬だけ安心とか言うんだよ」

「もー、ハジメ。拗ねない、拗ねない。ゴロちゃんは、ショウちゃんの後を継いで公民だよ」

「不安...」

「んで、清春が数学に、瑞希が外国語」

「そこは、まあ、安心かな。でも、ハルがちゃんと人に被害を出さずに教えられるかなんてのが不安でたまらないんですけど...」

「ありがとう......」

背後から声がしてそのまま頭に体重がかけられた。

「おはよう、瑞希」

「うん、おはよう......いつ、来たの?」

の頭に顎を乗せてそのまま後ろから抱きつく形をとっている。

「ミズキ、離れな!」「離れろ、瑞希!!」

悟郎と一がそう言うが、それはしれっと無視して瑞希は相変わらずにくっついているままだ。

「トゲーに聞いて。トゲーがいちばんに私を歓迎してくれたんだから」

は苦笑しながらそう言った。

「......そうなの?」

「クケー!」

瑞希が問うとトゲーは誇らしげに声を上げてぴょんとの肩に飛び移った。

「おや、講師の先生方」

不意に声を掛けられて一たちは振り返った。

現在、瑞希はから引き剥がされて悟郎の隣に座っている。一は相変わらずパイプ椅子で、瞬はバンド関係の仕事があると言って帰った後だ。

ヴィスコンティーは今ではかなりの人気バンドでドラマの主題歌とかにも決まって瞬はそちらの仕事も忙しいようだ。

も声を掛けてきた人物に視線を向けた。

何か、派手な人だ。

あの葛城とは違うこう..『派手な』としか表現できない感じの人物。スーツが赤って何だ?!

「天童先生」

名前が思い出せずに唸っている一に代わって悟郎が名前を口にして立ち上がる。

瑞希は期待できないし、名前を覚えていないとなれば相手には失礼だから一には黙っていてもらうことにしたのだ。

「うるさかったですか?」

も立ち上がり頭を下げて挨拶した後にそう聞いた。

「ああ、いえ。見慣れないお客様がいらしたので、ちょっと気になったんですよ」

「ボクたちの同期でクラスメイトだった子なんです。久しぶりの帰国になったので母校に遊びに来たらしいんです」

「むしろ仕事なんですけどー」とは軽く抗議をしたが、何故か誰も拾ってくれなかった。

「なるほど。初めまして」

そう言って天童は自己紹介をして「ゆっくりしてくださいね」と声を掛けて去っていった。

「...職員室にはあまり長居しないほうがいいのかな?」

がそう言うと「じゃあ、ゴロちゃんが校内を案内してあげるよ」と悟郎が買って出た。

たぶん、もこの職員室は居心地が悪いのではないだろうか。

「よろしくお願いします」

が頭を下げると悟郎は「任せて」と言って笑った。









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桜風
09.7.3


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