| 言葉のとおり、悟郎はすぐに戻ってきた。 「キヨ、ナイス!!」 「悟郎!おっせぇよ!!」 「ん〜、エンジェルちゃん。俺は男に抱きつかれててとても嫌な思いをしたよ」 訴えるアラタに「君が逃げたのが悪いんでしょ!」と悟郎はすげなく返す。 「キヨ、悪いけどちゃんに校内を案内してあげて。ボクはミネミネを捕獲したついでに、補習を手伝ってくるよ。たぶん、タッチーは逃げ切ったと思うし」 「メンドくせェ!!」 そう言いながらも諦めた様子を見せているため、頼めると悟郎は判断した。 「じゃ、ミネミネ行くよ」 「まあ、エンジェルちゃんと並んで歩くってのなら、仕方ないか...じゃあね、ヴィーナスちゃん」 そう言ってに向かってウィンクをした。 「だァから!」 パンフレットを再び丸めて投げそうなを抑えながら清春が抗議の声を上げていた。 「ミネミネ!」 悟郎もアラタを叱る。 廊下を曲がったところで、「ミネミネ」と悟郎が声を掛けた。 「何だい。エンジェルちゃん」 「ちゃんはこれからもこのガッコに遊びに来ることはあると思うけど、ああいうのはやめてほしいな」 アラタは首を傾げる。 「さっき仙道先生にも言われたなぁ...何で?」 悟郎は溜息を吐く。 「人んちの事情だからあまりボクが言っていいとは思えないけど、ミネミネの性格とちゃんのお父さんの性格がかなり似てるんだよ。そのお父さんの性格のお陰でちゃんは超絶に苦労しているから、そういう性格の人にはとりあえず極端に嫌悪感を示すんだ。 ミネミネは分かってるから言うまでもないだろうけど、君のそういうのを全員が全員好きというわけでもないんだよ」 「...まぁ、彼女が望まないなら俺もあんな風に彼女に構うことはしないけど」 随分と大切にしているな、と悟郎を見下ろした。 先ほどの仙道と言い、彼女は何なんだろう... 「んで、どこに行きたいんだよ」 「特にこれと言って。ただ、そうだな...クラスXの教室って残ってるの?」 「確か、物置になったとか聞いたゼ。教室は殆どが改装してあるから、もう昔のままじゃネェらしいな」 清春の言葉にはしゅんとした。 まあ、分からないでもないが... 「オレ様の遺品はまだまだあったけどな」 『遺品』って何だろう...? 首を傾げたに苦笑して清春は校庭へをを案内した。 「バカサイユは?」 卒業するときに翼が寄付したはずだ。 「あれも、数年前に取り壊されたらしいぜ。動物のたまり場になったからとか。けど、今は別のモンが建ってるな」 そう言いながらも清春は自分が仕掛けた悪戯が多く残っている道を選んで案内する。 しかし、の勘と洞察力は相変わらずだったらしい。 「なるほど、遺品ですねぇ」 余裕綽々のに、清春はチッと思わず舌打ちをした。 そして、無傷のままに何か異様な建物のところまでやってきた。 「...何これ」 「アホサイユらしいぜ。キシシシシ」 「何、この被りまくってるネーミングセンス」 遠い目をしながら豪奢なクラブハウス棟と言い張っているだろう建物についての感想を述べた。 「じゃあ、今の聖帝はA6とかってのがいるの?」 「Aは4人だな」 「あ、減った」 笑って言うに「まァなー」と清春は頷いた。 「あれ〜?仙道先生?」 今度は清春が『先生』なんだ、とは興味津々に清春を見た。 彼女の視線にチッと舌打ちをした。期待に応えるようでイヤだ。 「こんにちは、どうしたんですか?あれ〜?彼女さんですか??」 「オレッ様はこんなに趣味悪くねぇ」 「同じく〜!」 は挙手して清春の言葉を全肯定した。それはそれで面白くない。 清春はまたしても舌打ちをする。 「あれ?」とが声を漏らして首を傾げる。 「どォしたんだよ」 「もしかして、方丈君?」 「はい、そうですけど...」 「髪、切った??」 それ以前に雰囲気が違うが、清春の『清秋』の例があるので何とも言えない。 「ああ、もしかして慧に会ったんですか?」 「あ、やっぱり別人?双子??」 「ええ、俺は弟の那智です。生徒会副会長をしています」 兄弟で生徒会か... しかし、彼は... 「ハルとは別の感じだね。清秋君タイプかしら?」 が笑いながら清春を見る。 「むしろオメェタイプだよ」と清春は面白そうな表情を浮かべた。 取り残された感じの那智は首を傾げた。どういうことだ? 「オメェのうまーく被った猫ちゃんを早速見抜かれてンだよ」 「えー?おれはこれが普通ですよ〜」 「そう。ごめんね、失礼なことを言っちゃって」 はすぐに引き下がったが、那智はそれも少し気に入らなかったのかちょっとむっとした雰囲気を纏う。 「キシシシ。はホンッとこういうタイプには強ェよなァ?」 「ハルに強いからね」 「どォいう意味だ、コラ」 の返した言葉が気に入らない清春がそう返すが、は全く気にしていないようで笑う。 「あ、でも仙道先生。部外者は立ち入り禁止ですよ?」 「たしか、教員が許可したら良いンだろ?オレ様も今年1年だけだけど、身分はこの学校の『教員』ってヤツだから、オレッ様が許可している以上、良いンじゃねぇの?一応見張りとしてこうして一緒にいるんだからよ」 「うわぁ、ハルに見張られるようになるなんてわたしも落ちたものだなぁ」 笑顔で言うに清春は渋面を作った。本当に口が減らない。 「じゃあね、方丈那智君。ハル、次行ってみよう!」 清春を促してはグラウンドのほうへと足を向ける。 「結局何なんだ、あの人?」 たちの背中を見送りながら那智は首を傾げた。 |
桜風
09.7.10
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