Dear my friends F 6






「本当に地球に優しくない学校経営だねぇ...」

一通り校内を見て回った。

殆どの校舎が建替えや内装工事で当時の面影を残していない。

「ま、骨が折れるナ」

ポツリと呟く清春の言葉には頷いた。

「くまくま〜!」

変な鳴き声が聞こえては足を止める。

「何、これ」

「ああ、クマ」

はじっと清春を見上げた。そんなもの、見れば分かる。

「マスコットってやつじゃネェのか?ナギは喜んでたぜ」

「ふーん」と言いながらはクマを持ち上げた。着ているダウンジャケットのようなものを捲ってみると物凄く嫌がられた。

このクマからは敵視されてしまった。

「あら、嫌われた」

が感情を込めずに現状を口にすると

「お前、出会い頭にスカート捲りするようなモンだろうが、それ」

と清春に指摘されたが「うわ、それサイテー」とやはり客観的な感想を口にする。


職員室に戻ると悟郎と翼も居た。

翼の傍に控えている永田と目が合ったが、は少し気まずそうに視線を逸らす。

「では、翼様。少し席を外させていただきます」

永田は翼に向かってそっと言い、職員室を後にした。

永田の背を見送って翼は深い溜息を吐く。

一たちも少し居心地の悪そうな表情を浮かべた。

「んで、悟郎。嶺はちゃんと補習受けたのか?」

「まぁね。このゴロちゃんが一緒に居て逃げられるとは思わなかった分、状況把握力があるんじゃないかな?」

肩を竦めて悟郎が答える。

「キヨのほうこそ。ちゃんとちゃんの案内したの?!」

「クマを見つけて嫌われてきたよ」

が応えるとピクリと悟郎の眉間に皺が寄る。

「クマ?」

「クマ?クマってあのクマさんか??かっわいいよなぁ〜!!」

話題に食いついて来たのは一だ。聖帝のナナツゴロウの異名は伊達ではない。

「で、さ。さっきハジメたちと話してたんだけど。これからみんなでちゃんの帰国おめでとう会しない?ま、そんな大げさなものじゃなくて、こう小ぢんまりしたの。シュンにはメール入れておいて、来れる様だったおいでってさ」

悟郎の言葉には笑った。

「モチ、一の奢り?」

「え!?何でオレ??!!」

「いいンじゃね?ナギ、契約金かーなーり貰ってたしな」

キシシと笑いながら清春が同意する。

「そうそう。しかもユーロで。円に替えたら相当な額でしょう??」

がそう続ける。

「そうか、今日は一の奢りか。店は俺がspecialな場所を紹介してやろう」

「え、ちょ..ちょ、待て!」

「北森先生もどうですか?」

が不意に話を振った。

振られた真奈美は驚いて振り返る。

「え、私ですか?」

「そう、北森先生です。瑞希とトゲーも行くでしょう?」

が机に突っ伏している瑞希に声を掛けた。

「うん」と溜息と区別がつかない返事が返ってくる。トゲーは勿論元気良く「トゲー!」だ。

瑞希たちの返事を聞いては再び真奈美に視線を向けた。どう返事をして良いのかわからない表情だ。

「センセちゃん、おいでよ。新米教師の給料じゃ中々口に出来ないものが出てくるお店なんだから」

翼が予約の電話を終えて瞬に連絡を入れている。

「えー、と。でも、その..さんの帰国おめでとう会なんですよね?それだったら、私はお邪魔なのでは...」

「わたしが最初に声を掛けたのよ。良いじゃない。ほら、アレだ。今日の嶺君?の件のお詫びと思って」

にそういわれて真奈美は目を丸くした。

「それだったらオレ様に詫びるべきだ」と清春が地味に主張していたが、それは全員に黙殺される。

の言葉に真奈美は驚き、物凄く恐縮した結果「じゃあ、お邪魔します」と少し遠慮がちにそう言った。

「じゃ、わたしは事務室に寄らなきゃいけないから。学校での取材の許可が下りているから、立ち入り許可証が発行されるんだって」

はそう言って職員室を後にした。









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桜風
09.7.10


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